記事一覧
あおい満月 「月のなかの鳥」
詩誌「びーぐる」38号(2018年1月20日発行)を拝受したので、ぱらぱら捲っていて、投稿欄巻頭詩、あおい満月さんの「月のなかの鳥」に出くわした。まさしく、出くわした、という新鮮な感銘を受けた。
月のなかの鳥
あおい満月
私の瞼に咲く花は
いつも明るく黒い色をしている
明るい黒い色は
ナイフで切り刻まれた
唇の笑顔になって
翼のようにひろがっている
空を見上げては
飛び
杉本真維子さんの投稿詩
23年前、「現代詩手帖」2001年4月号に詩を寄稿させて頂いた(『ポーズ』、第三詩集『道草』所収)。懐かしくて、なんとなくページをめくっていると、投稿欄になんと、杉本真維子さんのお名前を発見。杉本さんは昨年、「皆神山」で、第31回萩原朔太郎賞を受賞なさった。個性的ではあるが品格の高いその詩風に、私もぞっこんである。
投稿作品のタイトルは「逃げぬ水」。選者は横木徳久さん、岩成達也さんで、その両方
柏原康弘詩集『詩の故郷吉備スケッチ帳』
先日、岡山の後楽園で行われた市の朗読会でお知り合いになった柏原康弘さんから第三詩集『詩の故郷吉備スケッチ帳』をご恵贈頂いた。「牛窓」「備中高梁」「中洲の里」と題した3部構成で、30篇を収める。それぞれの地に住んでおられた頃、出会った風景を、言葉でスケッチして作品化。ご自分の詩について、いただいたお手紙に「昔の叙景詩というもので、本当に単純な作品ばかり。」とあるが、日常的な言葉で紡がれた詩句は、読
もっとみる依田義丸詩集『連禱』
依田義丸さんの奥様、依田真奈美さんから詩集『連禱』をご恵贈頂いた。闘病中でいらした依田さんは、詩集を纏め了えたものの、完成前の3月14日に帰らぬ人となられた。どんなにか口惜しかったろうと、お察し申し上げる。依田さんとは面識はないが、1948年生まれ、京都大学出身とのこと。私の夫と年齢も大学も同じでいらっしゃる。どこか他人と思われない心持ちで、詩集を拝読した。
収録された19篇の散文詩は、いずれ