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詩集について

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拝受した詩集について、書いています。
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記事一覧

木村恭子詩集『食品概覧』

尊敬する地元詩人の木村恭子さんから第8詩集『食品概覧』(私家版、2024年6月30日発行)を頂い…

橘しのぶ
4か月前
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うめのしとみ詩集『どきん どきん』

  うめのしとみさんの第一詩集『どきん どきん』、25篇の詩を収録。「どきん どきん」と題…

橘しのぶ
4か月前
19

清岳こう詩集『脳外科病棟505』

 清岳こうさんは、2022〜2023年度、詩誌『詩と思想』投稿欄の選者を担当なさっていた。2010年…

橘しのぶ
4か月前
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井上正行詩集『目』

 井上正行さんの第二詩集『目』を拝読し、言葉のセンスの良さに、目から鱗が落ちた。井上さん…

橘しのぶ
4か月前
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原島里枝詩集『常夜灯』

 原島里枝さんの第四詩集『常夜灯』を読んでいる。3回目を読み了えたところだから、「読んで…

橘しのぶ
4か月前
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西原真奈美詩集『迎え火』

 西原真奈美さんの詩集『迎え火』を拝読した。 『迎え火』は、私の第四詩集『水栽培の猫』と…

橘しのぶ
4か月前
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詩を書く意味 野木京子詩集『廃屋の月』

巻頭詩は、『汽水域』。汽水とは淡水と海水とが入り混じった状態をさし、湾や河口部分が汽水域にあたる。「母の舟が時間の川霧を押し分けて現れた/空ろな刳舟のようだったが まっすぐ流れてきたので/その日から わたしは死んだ母の舟に乗って生きている(第一連)」。死を、命の句点と捉えるのは、生者の思い上がりかもしれない。死者の側から見れば、それは読点にすぎず、時間の流れの汽水域で生者に寄り添っているのかもしれない。 視点を置き換える行為は、本詩集で繰り返される。扉の裏から見たら表が裏だか

依田義丸詩集『連禱』 

 依田義丸さんの奥様、依田真奈美さんから詩集『連禱』をご恵贈頂いた。闘病中でいらした依田…

橘しのぶ
5か月前
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柏原康弘詩集『詩の故郷吉備スケッチ帳』

 先日、岡山の後楽園で行われた市の朗読会でお知り合いになった柏原康弘さんから第三詩集『詩…

橘しのぶ
5か月前
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泉水雄矢詩集『unbox/開けてはならない』

 泉水雄矢さんの第一詩集(私家版)。20の詩篇収録。その中で、巻頭詩『深淵の里』だけを独立さ…

橘しのぶ
7か月前
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小山修一詩集『風待ち港』

 あとがきに、「‥‥手もとに置いてたのしく読んでいただくことができたなら著書としてこのう…

橘しのぶ
7か月前
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にしもとめぐみ詩集『女は秘密を歩き始めてしまう』

 本詩集は、扉に、リルケの詩の一節を置き、27篇の短い詩から成る。そのいずれもが恋の詩だ。…

橘しのぶ
7か月前
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秋山基夫詩集『花下一睡』

  うららかな春の日、私は、まぁるくすきとおった砂時計の底に体操座りさせられているような…

橘しのぶ
7か月前
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死と愛 粕谷栄市詩集『世界の構造』より

 粕谷栄市さんが詩集『楽園』で、第42回現代詩人賞を受賞なさった。粕谷さんの詩は、以前から好きなのだけれど、意識的に読んだことがないので、先ずは現代詩文庫67(1976年初版・思潮社)を購入。こちらには、第一詩集『世界の構造』(1970年、詩学社)と未完詩集やエッセイなど、初期作品が収められている。『世界の構造』から、一篇、挙げてみる。 死と愛     死んでしまった一人の少女に就いて、書いて置きたい。私の育った町の大きな家具屋の娘で、幼なじみであったのだ。   変わった