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オリジナルスパイス

 立原えりか先生の童話教室に通っていた頃、拙作について、先生から「貴女はメインディッシュは作れない人。そのかわり誰よりも素敵なデザートを作るわ。メインがいくら美味しくても、デザートがつまらなければ、そのコースは台無しなの。自信を持って書きなさい」と言われた。たしかに、大庭園ではなく箱庭のような、宮殿ではなく人形の家のような世界が、私は好きだ。
 詩作にも同じことが言える。一介の主婦でしかない私の詩は、日常的なささやかなテーマでしかない。ただ、仕上げに、オリジナルスパイスを一振りする。たいていは、気がついてもらえないが、ズバリ指摘されると嬉しい。『水栽培の猫』の感想のお便りの中に、私のスパイスをきっちり嗅ぎ取ってくださった方がおられた。
 私の大好きな詩をお書きになるIさんからのお手紙を1部引用します。

「金魚」も美しいひねりのある一篇で好きです。鐘が「鳴る」と書いて、次の行に「釣鐘草」で受けるテクニック、すごくかっこいいです!!

「金魚」の終わりの3行は、こんな感じ↓。

夕刻を告げる鐘が鳴る
スコットランドの釣鐘草だ
奥さんの腕に、金魚はもう、いない

「スコットランドの釣鐘草」は、イギリス民謡の名称であると同時に、Iさんご指摘の通り、前の行と呼応させた。ぽぽんたのIさんが気がついてくださって、感激した。

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