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風通しの佳い抒情
木村恭子さんから、個人詩誌「くり屋」103号をいただいた。ゲスト詩人に山口美沙子さんをお招きして、4作品を掲載。
山口美沙子 大いなるもの
木村恭子 窓(20)
葉書
窓(21)
後書きも、ご自身は意識しておられないかもしれないけれども散文詩さながらであるから、5作品掲載ともいえる。「窓」は、毎号2篇ずつ連載され、タイトルは同じだが、それぞれ独立した作品。窓から目にした日常の1コマを、穏やかな声でゆっくり語りかけるように綴っている。私が今回1番好きだったのは「葉書」。これは大人の恋の詩かもしれない。言葉の選び方、配置に全く無駄がなくて、音読しても心地よい。風通しの佳い抒情が、木村さんの詩のスタイルだと思う。
葉書
図書館へ本を返した日は
エコバックの中に
時々 活字が剥がれて落ちています
「は」だの「が」だのに混じって
「の」や「を」が
今日は
「コネチカット」という長い活字が底に横たわっていました
でも
「雨」という活字は残っていませんでした
このあいだ 袋をさかさまに振ったら
「帽子」という活字がこぼれてきたので
「落葉樹」でも残っているのではないかな
もっと振ってみました
そうしたら
「廃駅」が落ちてきました
だから
袋になんか入れないで
手のひらを水平に掲げ
その上に乗っけて歩きます
ポストに
あなたへの葉書を入れに行く時
(全文)
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