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俳句

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#俳句

手が平熱

手が平熱

道化師のまなざし溶けてしやぼん玉

蝶沈む残照を野のなぐさめに

クロッキー手が平熱を苦しめば

らんちうは誤植のやうな泡を醒め

まなぶたに血管透けて遠き雷

八月や千円札に血の掠れ

手花火のあとさきに頰もてあまし

きちきちばつた空のいづこも苦からう

忘れた鞄が流れ星を生んだ

湯に浮かぶ躰は月の器として

黄落や眠りの満ちてゐるやうな

鷹の弧へ肉はほろびぬニュータウン

聖ザビエル祭の

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絵本の海

絵本の海

払暁の蝶に私室の濁りかな

雪解野のいつしか母を余らせる

春の雷グミにはまつろはぬ水中

ぽつぽつと海女ゆふさりを持ち寄つて

近すぎる柳はみづをさみしくする

片耳は山にあずけて田植唄

花樗ゆつくりすべる雨と鬱

跫の遅れて湿る夏座敷

汽水域ゆふなぎに私語ゆづりあひ

送り火や土に親しき空耳と

鶏頭の雫を掬ふ忘れてゆく

梨が喉塞ぐとき骨やはらかし

空つぽの腕のおもさよ鳥渡る

肉うす

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手はちかく

手はちかく

除夜詣火の粉はとほく手はちかく

去年今年灰の変はらず積もれるを

その顔で信号の色知る霜夜

山茶花さざんくわ夜道まつすぐならざれど

江ノ電を追ひ越し初日へと駆けよ

喉仏なぞる白息まざりあふ

けだものら毛を恥じあひて初寝覚

書初は骨這ふ筆の湿りてより

いかのぼり頭蓋の芯に墨匂ふ

雪が降りさう白髪抜きあふえいえん

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近くて遠いものについ

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大晦日108句チャレンジ2023-2024

大晦日108句チャレンジ2023-2024

画竜点睛ゆく年の硝子戸に雨

古日記燃えゆく甘き香を残し

どれだけ愛したつてせいぜいはつゆき

死ぬときの飾りはきつと冬の月

去年今年などと小石を蹴り飛ばす

帰り花てのひらに汝が香は残り

サファイアの裸眼を洗ふ寒さかな

しろさざんくわ自涜はいつだつて習作

いたずらな右手左手ふゆがすみ

いもうとの押し花かろし冬銀河

八王子千人同心に雪重たい雪

臘日の弔ひ盆の窪浅く

甲板の鳴くや玄

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俳句のアドベントカレンダー2023

俳句のアドベントカレンダー2023

12月1日  そばかすを隠さず十二月来たる

12月2日  冬紅葉たいがい置き去りで微熱

12月3日  風邪の子の額にくすむ羽音かな

12月4日  しゆんしゆんとおでんは泣き顔に沁みる

12月5日  羊文学跳ねるよ凍星とともに

12月6日  ひとりぼつち重たい雲を石蕗の花

12月7日  鍋焼饂飩にやけた猫に見られつつ

12月8日  焼鳥にさみしき表題が浮かぶ

12月9日  十二月八日

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ささめごと

ささめごと

航跡の疼く北窓開くとき

息ひとつ置いて絵踏の海ならむ

薄明の蝶に私室の濁りかな

菜の花にやんはり触れて袖に翳

近すぎる柳がみづをさみしくする

珈琲の落ちるながさを鳥曇

春深むレーズンパンに穴刳れば

トレモロはだんだん濡れて藤ましろ

呟きに繋がれて鷺ゆふぐれり

しんにようのつくづく長き溽暑なる

山鳴りをまだ眠らせて花潜

褪色のゆたかな暖簾鱧揚がる

歯車のやうに夏夜の抱擁は

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呟き

呟き

トルソーは人に抱かれて八月尽

AIは秋の答へを窮せざる

二百十日の風はミームと混ざりあひ

捨てアカに呟き月の影ならむ

大丈夫うちの小鳥は湖だから

遊行忌の晴れてドローンしらじらし

スムージー粒を惜しめる星月夜

洋服の中はグロッタ葡萄摘む

コンビニや戀の爛れの螽斯

雁渡しジーパン雨のごとしづか

(100年俳句計画No.310,2023年9月号『100年の旗手』より)

眠る指

眠る指

レモネード鎖骨は私語を醒めてをり

濡れゆけば咎なき肉よ谷崎忌

喉笛のごとく洗へば茄子鳴きぬ

ダチュラ、雨 肩に寝息のかかるまで

眠る指ときおりぎゆつと熱帯夜

調律のあなたに残る蛍ゐて

ルビのなき吐息が夜顔に溜まる

小筆めく指で残暑の膚をなぞり

渦ふたつあをくぶつかる鰯の眼

抱擁は背を軋ませて天の川

(100年俳句計画No.309,2023年8月号『100年の旗手』より)

航跡

航跡

如雨露よりしろい躰のはじまりぬ

青葉騒こゑゆだねたき河畔かな

半夏生うぶ毛はやがて消える雨

爪先はあやめの影をほたほたと

滝やいま見果てぬ書架となりにけり

十薬にたつぷり触れて袖さみし

欲情の果てに涼しき紙やすり

主夫と云ふ手妻を枯らしなめくじり

姉に星混じりあふまで藍浴衣

思惟ならむ西日に疼く航跡は

(100年俳句計画No.308,2023年7月号『100年の旗手』より)

家族写真

家族写真

淑気満つ小さき眉のあかるさに

生え際のふんはり目覚め初比叡

カプセルや雪眼の母を置き去りに

箸置で作る家族や鷹鳩に

ゆるしあふ菠薐草よ僕は仮面

鳥の巣に家族写真が燃え残る

先回りして草笛の貌を待つ

手花火のあとさきに頬持て余す

保育器にくぐもりて散る大花火

胎の児の重さ検索して白露

シウマイ弁当

シウマイ弁当

シウマイに揺るがぬ隙間秋立ちぬ

唐揚げに醤油の触れて秋暑し

漬け焼きの鮪味濃き残暑かな

黒胡麻の飯よく粘るつくつくし

さはやかに舌怯ませよ筍煮

ゆく夏の小梅ASMR

シウマイに芥子を忘れ風涼し

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久々に、崎陽軒のシウマイ弁当を食した。
子どもの頃、父と野球観戦で横浜スタジアムに向かう途中、横浜駅の売店で必ずシウマイ弁当を買って、スタンド

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ジャイフェス2023に添えて

ジャイフェス2023に添えて

ジャイアン来る黄雀風を蹴散らして

梅雨晴の空き地焦土にして歌ふ

夏雲の湧いてジャイアンフェスティバル

水番のあいつの口はε

汗と笑ふ木村昴を見習つて

空蟬を沈めジャイアンシチュー凪ぐ

妹がための半裸だ嗤つたら殴る

入道雲のはじめたてかべ和也かな

愛滴るクリスチーネのペン先に

やいのび太おまへはおれのもの 溽暑

のび太追ふ剛田武を反故にして

ジャイアン降臨涼しき臍をゆるしつつ

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大晦日108句チャレンジ2022-2023

大晦日108句チャレンジ2022-2023

パンツ穿く数え日の窓しんしんと

鰐の歯に隙間があつて山眠る

雪うさぎ翳なき肉を愛しけり

指で描く絵の泣きやすく冬の窓

マインクラフト寒し愚行権重たし

賀状書くスポンジ状の国ぢゆうへ

風呂桶の音抜けてゆき冬の山

鳥鳴いて家より墓のあたたかさ

フェチズムが脱色されてゐるティッシュ

着膨れてハンドル軽き真昼かな

和菓子屋のあかるく閉ぢぬ木守柿

注連飾る始め終はりに太き指

寒晴に呼

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俳句のアドベントカレンダー2022

俳句のアドベントカレンダー2022

 1日  階段をくるんと廻り十二月

 2日  肝油ドロップ冬の陽をこはさぬやうに

 3日  冬の月抱き寄せて真水とおもふ

 4日  枇杷咲いて晩学の頬やはらかし

 5日  ささやきは毛布のなかの湖に触れ

 6日  オリオンや私信のやうに片笑窪

 7日  冬のパフェ誰かの平凡を逃げよ

 8日  初氷あかるい犬ばかり通る

 9日  蕪漬けてきうきうと夜を探すなり

10日  さぼる日の

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