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眠る指

レモネード鎖骨は私語を醒めてをり

濡れゆけば咎なき肉よ谷崎忌

喉笛のごとく洗へば茄子鳴きぬ

ダチュラ、雨 肩に寝息のかかるまで

眠る指ときおりぎゆつと熱帯夜

調律のあなたに残る蛍ゐて

ルビのなき吐息が夜顔に溜まる

小筆めく指で残暑の膚をなぞり

渦ふたつあをくぶつかる鰯の眼

抱擁は背を軋ませて天の川

(100年俳句計画No.309,2023年8月号『100年の旗手』より)

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