見出し画像

航跡

如雨露よりしろい躰のはじまりぬ

青葉騒こゑゆだねたき河畔かな

半夏生うぶ毛はやがて消える雨

爪先はあやめの影をほたほたと

滝やいま見果てぬ書架となりにけり

十薬にたつぷり触れて袖さみし

欲情の果てに涼しき紙やすり

主夫と云ふ手妻を枯らしなめくじり

姉に星混じりあふまで藍浴衣

思惟ならむ西日に疼く航跡は

(100年俳句計画No.308,2023年7月号『100年の旗手』より)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?