死ぬことが目的になる仕事環境とは? -つらい経験が人をやさしくする
先日、10年くらい前からの友人と久々に会った。その際、「まるくなった」とか、「やさしそうになった」と言われて、なんだかうれしかった。きっと社会人になって、クレイジーな企業(というか、プロジェクト)に入り、黒歴史的な体験をしたことは今でも良い思い出にはならないけど、新卒社会人にとってはつらかった。
2年くらい前にFacebookで以下の記事を書いたことを思い出したので、noteでも転記しておこうとおもいます。働き方改革と言われて久しいですが、個人が生き生きと働く社会になればと!
これ読んで自分の入社したときを思い出した。
電通社員を自殺にまで追い込んだ真の要因は、「過労」それ自体ではない
https://www.outward-matrix.com/entry/20161008113552
個人的に労働環境で人を追い込むのは「睡眠時間」×「プレッシャー」で、どちらかというと後者の方がつらい。まずプレッシャーで精神が壊れかけ、睡眠時間が拍車をかけ冷静な判断をできなくする。
戦場。
2011年に入社して3カ月が経ったとき、あるゲーム会社の、ゲームの予算・進捗管理や基礎研究への投資をどうあるべきかなどを検討するプロジェクトに入っていた。資料や議事録を作成し、上司に怒鳴られながらレビューをもらい、またやり直す。とにかくダメ出しとやり直しばかりで、賽の河原の石を積み上げてくような、積み上げては怒鳴られながら崩されるような感じだった。だんだん仕事は怯えながら怒られないためにやるようになり、アイデアも湧かなくなる。上司がラフに書いたパワポのイメージがだんだん作成しながら変だと思って相談したくても、怒鳴られるのが早くなるだけなので相談しない。結果一応に作り上げても、やはり変なので怒鳴られる。しかも、無理に作るから時間も余計かかる。そして、こんなものにこんなに時間がかかったのかとまた怒られる。
だいたい2時間全力で作業して怒鳴られ、また全力で作業してを繰り返し、気がつくと2、3時になる。昼食時間も怒鳴られる程度を下げたいために働くと食べる時間さえない。土日も潰れることも多いし、休む暇がない。ただ、土日も翌週に怒鳴られ続けることに怯えているので、むしろ土日も仕事をした方が前に進む感じがして幾分マシという感覚もあった。
残業時間は確か140〜160時間くらいだったと思うけど、価値が出せていないから仕方ないと思うようになるし、コンサルってそれくらい働くものという概念もあり、自身で正当化するようになる。
ちなみに、会社からは「提出は45か80時間だったか、それ未満で出せ」と指示が来る。自己防衛のために、始業と終業時間だけは正しく、休憩時間を7、8時間とか調整して出すようにしていた。
そんなとき、月曜と18時以降は少しラッキーかもしれない時間だと思うようになる。上司もプロジェクトの辛さに病んでおり(上司はその上司に詰められ、深夜に何度もやり直しさせられたりする)、その上司は月曜はさぼって来ない、18時以降はビールを飲みながら仕事をしていた(5年以上前だからもう書いても良いかな(笑)、プロジェクトルームに篭るとクライアントからは見えない)。モラルもないと思いながら、上司がいないと怒鳴られない、ビールを飲んでる時は機嫌が良いので怒鳴られない。なので、どう考えてもおかしいと思いながらも、今日も飲まないかなと期待していた。
途中で、自分以外に、中途で商社→エンタメ系企業の経営企画的な仕事をしてきた人が入ってきて、上司と自分のクッションになるかと期待したけど、数日で来なくなった。そして、さらにもう1人きたけどその人も2、3日で来なくなった。
他の同期に話したら、全く違う環境で衝撃的だったけど、本当に上司次第だと思う。そして、そんな上司を育てた社風(or 部署の雰囲気・カルチャー)。特に新人の場合逃げ場や、逃げ方を知らない。
冷静には辞めれば良いじゃんとかいう人も多いと思うけど、その冷静さを失うと死にたくなる気持ち、そして、死にたいって強く思うと、それを実現したくなる気持ちに拍車がかかり、ただ死にたくなる。いまはイノベーションの時代だというけど、良い仕事のためにはリラックスや、遊び心といった、努力と根性の世界とは別次元の要素も必要で、働き方と同時に心と体の休み方をしっかり考えるべきだと思う。
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と、ここまでが、当時の内容。こうやって読み返すと、良く生きてられたなと思うけど、当時は耐性が低かったからか、体調不良になり1週間ほど休暇をもらい、その間に上司が逆にいなくなっていた。
新しく来たシニアマネジャーが、あまりの狂気な状況に彼を追い出し、パートナーとの間に入ったからなのだけど、人っていつどうなるかわからない。働く場所は本来かなり慎重に選ぶ必要があるけど、入社するまでわからない場合も多い。引き返せるうちに引き返す勇気も必要だと思う。
きっといいまの会社で「話しやすい」とか「部下に話しかけられたときに、丁寧に対応している」と言われるのは、こういう経験から、自然とするようになったのだと思う。