喫茶マーガレット

フルタイム勤務の母。創作が好き。 「わたしの祖母」連載始めました。 不定期更新ですが、…

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フルタイム勤務の母。創作が好き。 「わたしの祖母」連載始めました。 不定期更新ですが、よろしくお願いします。

最近の記事

婚姻数は激減中…の記事を読んで感じたこと

ネットニュースでこの記事を読みました。 この記事を読んでショックを受けました。 気持ちの整理のために『書こう』と思い、noteを開きました。 まず、この記事について批判・反論はありません。これは、あくまで個人の感想です。 そして、「妊娠・出産・育児」が女性のすべてではないこともあらかじめ申し上げておきます。 私は30代子持ちの共働き女性ですが、記事の20代・30代の方の意見は「わかる、わかる」と思いました。 しかし、私の場合「結婚・育児が大変」と知ったのは、実際に自分

    • わたしの祖母 -2-

      私が遊びに行くと、大ママはごはんを準備して待ってたくれる。 私が車を停めやすいように、駐車場を空けていてくれる。 自分は飲まないのに、私のために食後にコーヒーを淹れてくれる。 私が落ち込んでいる時に、電話をかけてきてくれる。 私にとっておばあちゃんだけど、 母親以上に温かさを感じることがある。 大ママって優しい。 子どもの時から、大人になってもずっと好きで尊敬できる人。 そんな人が身近にいること、 そんな人の孫でいられること、 とても幸運なことだと思う。 だから

      • わたしの祖母 -1-

        祖母は77歳になった。 祖母はとても元気な人だ。 いつも笑顔で底抜けに明るい。 優しいけれど、性格が良いというよりかは良い性格をしていると思う。 料理上手で、お喋りが好き。 お裁縫も得意。 わたしは、そんな祖母が大好きだ。 祖母は今で言う『ワーママ』だった。 祖父はわたしが生まれる前に亡くなっている。 母と叔父、二人の子どもを女手ひとつ働きながら育てた。 祖母が44歳の時、わたしが生まれた。 若くしておばあちゃんになった祖母は、 「おばあちゃんと呼ばれるのは、いや

        • 【作詞】雨読

          雨が降る こんな日は 家でのんびり本でも読もう きみさえ側に居てくれたら どんな場所でも 心は晴れ 目で追うたびに 好きになる 羅列された文字 心響く言葉 紙の質感 重さ 香り いろんな世界へ連れ出してくれる もっときみと居たいな 時間がないなんて そんな寂しいこと ほんとは言いたくないんだよ 忙しすぎる日常にさよならして きみとただ二人だけの世界へ行こう あっという間に 過ぎる時間 こんな風に 夢中になれるのは やっぱりきみしか居ないんだよ 雨音がひどくなる ザアザ

        婚姻数は激減中…の記事を読んで感じたこと

          【小説】露草と淡色 最終話

          昂平が亡くなってから一年が過ぎた。 あれから佳乃は月命日に海に行くようにしていた。その日が平日なら休暇をとるようにした。 休暇の手続きは随分流暢になったものだ。 月命日の日だけ、佳乃は昂平のことを考えた。 それが自分が背負える罪悪感の範囲だった。 以前と何も変わりなく同じように生活しているつもりだったが、佳乃の見える世界は淡く現実感がなかった。 感情が乏しくなったとも言われる。以前から冷静な方ではあったが、その類じゃないらしい。 佳乃には自覚がなかった。 こどもたちや

          【小説】露草と淡色 最終話

          【小説】露草と淡色 第9話

          昂平の葬儀の帰り道、 佳乃は恵美とあの海に行くことにした。 葬儀は昂平の希望で、身内だけで執り行われた。 それ以外にも親しかった者も数人来ていた。 その中で高校の同級生は佳乃と恵美の二人だけだった。 「久しぶりに会うのがこんな機会になっちゃうなんてね。」 恵美は言った。 佳乃と恵美は年に1回程度会うようにしていた。 佳乃が家庭をもち、会う頻度は減ったが会えば話は尽きなかった。 恵美は建築関係の会社に就職し、仕事に邁進していた。 「あたし、牧野くんのこと、ずっと好きだ

          【小説】露草と淡色 第9話

          【小説】露草と淡色 第8話

          この手紙を読んでいるあなたへ この場所のことを知ってる唯一の人 高校時代はよくここへ来て、 一緒に散歩したり話をしたりした人 わたしはあなたにお礼を伝えたいと思いました。 ただそうするとあなたに迷惑をかけることになると思うので、手紙を書きます。 わたしは高校時代、あなたに救われました。 自分のことを話さないわたしをあなたはそっとしていてくれた。 それがとても嬉しかった。 少し自分のことを話そうと思います。 あの時のわたしは、母親を亡くし、心にぽっかりと穴が空いて

          【小説】露草と淡色 第8話

          【小説】露草と淡色 第7話

          海沿いの遊歩道を歩く。 この道を昔は二人で歩いていたなんて幻のようだと思った。 遊歩道は以前と変わりなく、子ども連れの母親や高齢の夫婦などが散歩しており、平日の午後のゆったりとした時間が流れていた。 仕事帰りのスーツ姿の自分に違和感を感じながらも、歩きながら佳乃は昔のことを思い出していた。 クロマルはとても昂平に懐いていた。 どれくらい一緒にいるのかと聞いた時、「まだそんなに経ってない。」と答えられた。 それでもクロマルを優しく見つめる昂平や昂平にじゃれるクロマルの姿から

          【小説】露草と淡色 第7話

          【小説】露草と淡色 第6話

          出勤途中にメールを確認したが、やはり返事はなかった。 佳乃はもやもやしながらも、昨日のメールを思い出した。 昂平はなぜあんな連絡をしてきたのだろうか。 考えてみても全くわからない。 どこから送ってきたのだろう。 もしかしたら…あの海? クロマルが亡くなったと書いてあった。 彼にとってクロマルは特別な存在だったと思う。 よく散歩をしていた場所。よく二人で居た場所。 クロマルの死が彼の行方不明のきっかけになっているのかもしれない。 もしその場所に居るとしても、 わたしなんか

          【小説】露草と淡色 第6話

          【小説】露草と淡色 第5話

          仕事を終え、帰路についた佳乃は昼休みに昔の思い出を回想したことに少し罪悪感を抱いた。 過去を思い出し、悔やむことに意味なんてない。 今目の前にいる子どもたちと夫との生活を大事にすることが今の私の役目だから。 ーでも、昂平は一体どこに行ったのだろうか。 もしかしたら長期休暇をとり、旅行に行っているだけかもしれない。 噂がどこかで変化した結果もしくはその過程が恵美からの連絡なのではないかと佳乃は思った。現在進行形で今もこの噂は変化しているのかもしれない。 そう思うとこれ以上心

          【小説】露草と淡色 第5話

          【小説】露草と淡色 第4話

          デートと呼べるものではないが、休日に二人で出かける。佳乃、高校1年生の秋。 当日、佳乃はかつてないほどの鼓動を感じていた。 波風立たない心の持ち主だと自負していたが、今日は波乗りさえ出来そうだった。 前回出会った東屋に行くと、そこには既に昂平が来ていた。クロマルは佳乃に気づくとしっぽを振った。 「制服しか見たことないから私服ってなんか新鮮。」 昂平が言った。佳乃も同じことを思っていた。 昂平は涼しげな空色のブラウスに黒色のジーンズを合わせ、白のスニーカーを履いていた。

          【小説】露草と淡色 第4話

          【小説】露草と淡色 第3話

          高校時代、佳乃は学校の帰り道に海に寄るのが好きだった。 自宅の方向とは少しそれていたので遠回りになるのだが、それでも寄っていた。 海沿いは歩道が整備されており、そこはその街に住む人々の憩いの場所だった。 歩道の要所要所には東屋とベンチがあり、 大抵佳乃は東屋の下で宿題をしたり、本を読んだり、ぼーっと海を眺めていた。 母との確執や気の合わない級友へのモヤモヤした気持ちがここへ来ると薄らいだ。 佳乃にとっても心安らぐ場所だった。 「ありさわー!」 「!?」 突然呼ばれ

          【小説】露草と淡色 第3話

          【小説】露草と淡色 第2話

          『あの牧野昂平が行方不明だって。佳乃聞いてた?』 高校時代からの親友である長峰恵美からのメールに佳乃は飲んでいたアイスティーを喉につまらせた。 今は昼休み。事務職である佳乃はデスクワークで凝り固まった体をほぐすため、昼休みは職場の周りを散歩するようにしている。家計のためマイボトルを持参して。木陰のベンチに腰かけてもう一度メール読む。 昂平が? 牧野昂平は佳乃の高校の同級生であり、初恋の相手だった。大学進学と同時に距離ができ、自然と会うことはなくなってしまった。 『何も

          【小説】露草と淡色 第2話

          【作詞】春

          春はすぐそこに きみは遠くに行ってしまう 寒いから冬は嫌いと思ってたのに きみのぬくもり感じられてた季節だったと 今更気づかされる 希望に満ちたきみの可能性を わたしが奪いたくはないから この気持ちはそっと削除しようと いつかまた会えるのかな その時きみとわたしは笑いあえる そんな大人になっているといいな いつも応援してる いってらっしゃい 笑顔で伝えられなかった自分が嫌いで きみをまた困らせてしまった 最後くらい心配かけたくなかったのに もっとうまく笑えてたら 違う

          【小説】露草と淡色 第1話

          随分遠くまできてしまったと彼女は思った。 散歩やランニングの話ではなく、10年の月日が彼女ー有澤佳乃をこの現在地まで運んだことだ。 目の前では二人の子どもたちがけんかをしている。山積みの洗濯物、シンクに溜まる食器。 夫の帰りは今日も遅いようだ。 「ふぅ…」とため息が出る。こんなはずじゃなかったのに。 これが本当に自分の望んでいた生活なのか。 佳乃も働いており経済的には余裕はないにしても、贅沢しなければ十分暮らしていける稼ぎはある。二人の子どもたちも元気だ。 これ以上望む

          【小説】露草と淡色 第1話

          【小説あらすじ】露草と淡色

          彼は一体何処に行ってしまったのだろうー 高校時代の想い人・牧野昂平が失踪したことを知った有澤佳乃。家庭をもち母となり生きてきた彼女は、突然古い感情と向き合うことになる。彼女が信じ生きてきた道、知られざる彼の一面。佳乃の選択する道とはー。 誰もが孤独を抱えながら生きていることに向き合った作品。 ~ 2023年2月26日よりスタートします。 毎週日曜日更新予定です。 よろしくお願い致します😊

          【小説あらすじ】露草と淡色