【小説】露草と淡色 第7話
海沿いの遊歩道を歩く。
この道を昔は二人で歩いていたなんて幻のようだと思った。
遊歩道は以前と変わりなく、子ども連れの母親や高齢の夫婦などが散歩しており、平日の午後のゆったりとした時間が流れていた。
仕事帰りのスーツ姿の自分に違和感を感じながらも、歩きながら佳乃は昔のことを思い出していた。
クロマルはとても昂平に懐いていた。
どれくらい一緒にいるのかと聞いた時、「まだそんなに経ってない。」と答えられた。
それでもクロマルを優しく見つめる昂平や昂平にじゃれるクロマルの姿から