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私がBARで働いていたころに出会った、ころがされていた?男

いらっしゃい。

わたしは毎朝、満員電車で
出社している。

この間、友だちと話している中で
満員電車が楽と言っていたんだ。

その子は女性。
とくに女性だったら、
おじさんの匂いとか嫌じゃない?
って聞いたら

___もたれかかれていいじゃん!

と、非常にポジティブな回答だった。
そのような気持ちを見習いたいものだ




▶︎カラオケBAR

アルバイトの話を前にしたよね。
わたしは学生の頃
カラオケBARでアルバイトをしていた。

カラオケBARとは
あまり聞きなれないと思う。
ほぼスナックと思っていい。

カウンターがあって、
棚にお酒が並べられている。
わたしはバーテンダーなので
カクテルを作る担当。

お店にはママがいて
お客さんの隣に座って接待。

自分のことを「僕は」と
言うようになったのはこの頃から。
お客様に「俺」は失礼だから。

◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
大学がおわったら出勤。
田舎の商店街にお店があり、
家から自転車で10分くらい。

カウンターとトイレの掃除、
入り口前の掃除を済ませる。
サザエさんの三河屋さんみたいな人が
お酒を持ってお店にやってくる。

カラオケの電源をつけBGMを流す
そのあと、晩ごはんとなる
賄いごはんを食べて仕事がはじまる。

賄いごはんは、ママの手料理。
一人暮らしで料理しないわたしには
非常にありがたかった。



▶︎カクテル

わたしは常にカウンターの中にいる。
テレビドラマでBARのシーンを見るたびに
一度あの中に立ってみたいと思っていた。

手前には水道蛇口
みがきおわったコップが脇にある。
シェイカーと計りを手前に置く。
カウンターテーブルには
デンモクが置かれている。

カウンターからは
お客さんの仕草がよく見える。

氷を指で回してウイスキーを飲む人
仕事に関して熱く語る人
それを遠目で聞く後輩らしき人

そこからの光景は面白い

◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
白いワイシャツに黒いエプロン
エプロンは腰から下につける。
蝶ネクタイで首元をきめる。
ワイシャツの袖をまくる。

手を前に組み、姿勢を正す。
カクテルの注文がきたら
シェイカーに氷をひとついれる。

リキュールというお酒の原液を
シェイカーに入れて振る。

カシャカシャと音がするのは
中で氷が移動している音だ。
リキュールが混ざりやすいようにと
冷たいお酒を飲めるように
氷を入れるのだ。

シェイカーの蓋を人差し指でおさえる。
少し隙間をあければ、
中から綺麗にまざったカクテルが流れる。
さくらんぼを添えて完成。

わたしはドヤ顔をきめる。



▶︎お悩み相談所

入り口の鈴がなる。
ドアの上付近についており、
それが鳴ることで来客がわかる。

Kさん、60代男性。
この店の常連で、よく話している。
工務店の経営者だ。
トレーナー姿でやってきた。

カウンターにどっしり座り、
温かいおしぼりで顔をふく。
大きくため息をついて、
カウンターのわたしを見る。

「シュンくん、まずは」

生ビールをくれの合図。

冷えたグラスにビールを注ぐ。
乾き物といわれるお菓子と一緒に
ビールをテーブルに置く。

喉ごしを奏でながら飲みほし
大きく息を吐く。

◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎

____最近の若いものはさあ

乾き物をほおばりながら
ママに愚痴を漏らしている。

どうやらミスをすると
すぐに落ち込む事務員がいるらしい。
Kさんはため息をついていた。

ママは笑顔で話をききながら慰める。
カウンター越しに見ると
小学生の相談を受ける先生みたいだ。
経営者も大変だなと感じる。

わたしも話を聞くことは多い。
1人でくる人は少なからずいて、
ママが席を外すときは
わたしが聞き相手になるわけだ。

まさに、お悩み相談所である。



▶︎へい、マスター

"カランカラーン"

扉があくと、男女が入ってきた。

金髪にスーツ姿の25歳くらいの男性
紫のドレスに包まれたスレンダーな女性
女性は男性よりおそらく年上
カウンターに座った。

おしぼりを渡し、注文をきく。
女性は生ビールを注文。
男性はお酒の棚を眺めながら
テーブルに両肘をつく。

___マスター、おすすめを

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