Sakura

作家の渡辺浩弐さんが好きで、そういう小説を目指して創作活動してます。 ショートショート…

Sakura

作家の渡辺浩弐さんが好きで、そういう小説を目指して創作活動してます。 ショートショート小説を書いています。

最近の記事

行政書士試験の記録

【注:今回のページは他のページと全く関係無い物となります。】 2023年行政書士試験を受けて独学で無事に一発合格しました。 行政書士試験の記録や勉強法など書き残しておきます。 勉強期間:1年2ヶ月(2022.9月末~) 2023.3に第2子出産。家事・育児しながらの勉強でした。 資格取得費用:書籍代12250円 模試1000円 受験料10400円 合計23650円 使用教材: 伊藤塾 ・総合テキスト ・総合問題集 ・新・必修科目115 TAC ・しっかりわかる講義生

    • KのIするもの【ガンキッズ二次創作】

      「もしもし。I-3545148です。」 「ああ。アイか。」平静を装い声を出す。 「先ほど伺ったアドレスに報告を送信しました。」 「受け取った。これで完了だな。どうだ、初仕事の感想は?」 「特にありません。」 「ふっ。優秀で嬉しいよ。これからも続けられそうか?」 「問題ありません。」 「そうか。では頑張ってくれたまえ。」 そこで電話は切れた。 息を吐き出し椅子の背もたれに身体を預ける。 「無事で良かったですね。」 隣から声がかかる。私はその声の主を睨みつける。男はニヤリと意地の

      • 完璧なあなた

        「とても素敵なお家ー!すごいわ。こんなところに住んでいいの?」 「もちろんだよ。」 彼が優しく微笑む。 1回り以上、年の離れた彼と今日から同棲を始める。 場所は彼の所有する高層マンション最上階1フロアだ。 窓からは都会の街並みを見下ろせる。 彼と出会ったのは、私が働いているデパートだ。 私は入ったばかりの新人で、先輩に教わりながらギフトコーナーを担当していた。そこにお客さんとしてやってきたのが彼だった。 とても上品で紳士的な彼に一瞬で目を奪われた。 「とてもお世話になっている

        • もう一人

          「もうどうすればいいのか分からないわ。あの子が部屋から出てこなくなって今日で一年よ。どうしてこんなことに・・・。」 「あぁ。あんなに素直でとても良く出来た子だったのに・・・。」 妻はぽろぽろと涙を流している。 一人息子のユウトは13歳になる。1年前からずっと部屋に引き篭もっていて親が家にいる間は顔さえ見せない。 『ピンポーン』 「誰かしら・・・こんな時間に・・・。」 妻と時計を見る。もう深夜1時だ。 「俺が出るよ。」 念の為、左手にゴルフクラブを握った。 玄関ドアに向かい、チ

        行政書士試験の記録

          贅沢品

          「こうやって家族で食事をするのもずいぶん久しぶりだな。」 父が上機嫌で僕に喋りかける。 「えぇ、私たちがいつも忙しくて、あなたをずっと家に一人にしてしまっているものね。申し訳なく思っているわ。」 今日は数年ぶりに家族揃ってのレストランでの食事だ。 「勉強はどうだ?ついていけてるか?」 「・・・まぁ・・・それなりに・・・。」 「あら、私たちの子どもだもの。あまり期待しては可哀相よ。」 母はそれでフォローしたつもりなのだろうか。 僕が落ちこぼれなのは自分で分かっている。 そもそも

          贅沢品

          渡辺浩弐「世にも醜いクラスメートの話」感想

          今回は小説ではなく、渡辺浩弐さんの最新作「世にも醜いクラスメートの話」の個人的な感想です。 まずホラーストーリーズって時点で超警戒しました。 というのも、前作「ホラー選集」がマジでグロくて残酷で恐ろしいお話多かったから・・・。グロイのだけは苦手なんですよ・・・。 人体を破損するときの描写がリアル過ぎるんです・・・。 買うか悩みすぎて発売から買うまで1ヶ月かかってしまいました。 でもずっと気になるし、先生のyoutube配信でオススメされてるとやはり読みたくなって勇気を出して

          渡辺浩弐「世にも醜いクラスメートの話」感想

          かんおけ

          私はずっとごくごく平凡な人生を送っている。 子どもの頃からどこか冷めた子どもで、子どもらしいヤンチャやイタズラをして親を困らせることも無かった。 素直に親の言うことを聞く良い子だった。 学校に入っても私は問題を起こすこともなく、勉強も運動もとにかく平均的なおとなしく目立たない子だったから先生の印象にもあまり残らない子だっただろう。 そのまま高校、大学へと進んだ。 友人と呼べる人は特に居なかった。 常に上辺だけの会話しかせず、深く踏み込まれることも踏み込むこともしない人間関係で

          かんおけ

          家族の絆

          「父を・・・父を殺しました。」 20歳くらいと思われる若い女性が交番に駆け込んできた。 胸に産まれて数ヶ月と思われる乳児を抱いている。 交番には新人で配属されて半年の私しかいない。 私は急いで上司に連絡を取り応援をお願いする。 そして女性の話を聞いた。 彼女は取り乱していたが、自宅で父と争い包丁で刺したのだと言った。 応援の警官が来て、現場に向かう。 彼女の自宅に入ると、むわっと血の匂いがした。 血の海に男性が1人倒れている。 見るからに死んでいた。 彼の身体には今も包丁が突

          家族の絆

          ゆうれい

          ある日、全国の自治体にこんなメールが届いた。 『○月○日、女子中学生・高校生を誘拐します』 学校・警察は対応に追われ大騒ぎだ。マスコミも大々的に報道している。 俺はそれを見て酷く楽しんでいた。 自分がたった一言でこれだけの人を動かす力を持ったすごい人間のように思えた。 そして誘拐事件は起こらず、警察は愉快犯と断定した。 ・・・しかしそれは誤りだ。 俺は実際に誘拐をしている。 とあるカリスマ女子高生のSNSを全て乗っ取ったのだ。 その女子高生になりきり様々な投稿をする。 すると

          ゆうれい

          最期の1日

          「パパーご飯食べたら公園行こうよー。」 4歳の息子ソウタが食卓から身を乗り出し言う。 「おー分かった。何がしたい?」 「ぼくサッカーやりたい!保育園でもね、おともだちとサッカーして、ぼくすごく上手になったんだよ!!パパ見てー。」 それを見て妻が笑う。 「ふふ、ソウタ。ご飯早く食べないと公園行けなくなるわよ。」 「はーい。すぐ食べるから待っててねーパパ。」 「はいはい。ところで大丈夫か?なにかあったらすぐ連絡してくれよ。」 「ふふ。心配性ね。まだすぐには産まれないから大丈夫よ。

          最期の1日

          小説家志望

          「俺、小説家になりたいんだよ。」 「そうか、何かコンクールとか応募してるのか?」 「いや、俺が書いてるのはショートショートと言われる短い小説でな。長いのもいつかは書いてみたいんだがまだまだ。」 「へぇ、でも今ならネットに載せて読んでもらうとかも出来るし、やれば良いんじゃないか?」 「それも考えたんだが、タダでせっかく書いたものをどんどん読ませるのもったいなくないか?頭を捻って出したアイデアなのに。」 「いや、小説家になりたいなら、たくさんのアイデアをどんどん出せるくらいじゃな

          小説家志望

          生きているか

          私の両親は長らく子宝に恵まれなかった。 20年もの間つらい治療をしてようやく私を授かったらしい。 しかし、私は不完全な人間だった。 妊娠初期から手足の欠損が分かっていて、その後は心臓にも異常が見つかった。医者からは無事に生まれても10年の命を言われたそうだ。 周りはこの子は諦めろと説得したが、両親は待望の我が子を産むと決め、そのまま私を産んだ。 私は生まれてすぐいくつもの手術を受けた。心臓にもペースメーカーを入れた。また成長に伴って義手・義足をいくつも取り替えた。 幸い両親に

          生きているか

          ループ

          私は40歳になった。先日、唯一の身内である最愛の母を亡くした。 85歳だったので仕方ないが、母にもう会えないことが悲しくてたまらなかった。 私にはもう何も残されていない。 仕事はただ楽しくもなくやらなければ生きていけないから、母を安心させたいからやっているだけだ。 家庭もなく趣味もない。 つまらない人生だなと独りごちた。 母は厳しくも優しい人で1人で私を育て上げた。 母に出来るだけ親孝行をと思い、働いたお金を貯めて母に渡していたが、遺品を片付けていたら、そのお金には手を付けず

          ループ

          開かずのカフェ

          きっかけは友人との賭けだった。 賭けに負けた私に友人は 「あの商業ビルの都市伝説に開かずのカフェってのがあるんだ。お前行ってこいよ。」と言い、私は渋々そこに向かった。 古い商業ビルに入りマップを見て上の階へ向かう。 カフェのある階に着くと、そこは各種クリニックが入居しているが、やっているのかいないのか分からない暗さと古めかしさ、人けの無さにまるで何十年も前にタイムスリップしたようで、またおばけ屋敷のような怖さもあり足がすくんだ。 目的のカフェはこのクリニックモールの先、突き当

          開かずのカフェ

          ロボット任せ

          僕の生活全てはロボットに助けられている。 食事は調理ロボが食材から料理に変えてくれる。 お掃除もお掃除ロボが家中ピカピカにしてくれる。 その日の服装だってAIに聞けばその日の気候、流行から僕に合う最適なものを選んでくれる。 栄養バランスも運動も映画や音楽さえも僕の好みを熟知したAIが全て最適な正解をくれる。 僕に念願の彼女が出来た。とてもキレイな人だ。 僕は彼女に気に入られるため、服装、デートプラン、彼女との会話の話題さえAIに聞いた。 結果全てがうまく行った。彼女は僕のこ

          ロボット任せ

          ひきこもり

          私はもう数十年ひきこもりだ。 ワンルームの部屋でただゲームをして過ごしている。 自分が子どもの頃のゲームだ。あの頃ゲームソフトをいくつも買えるほどのお金もなくやりたくても買えなかったゲームが今ではいくらでもやれた。 お気に入りのゲームをひたすらやりこんだり、あの頃興味なかったジャンルのゲームさえ、ありすぎる時間で色々とプレイした。 数十年、人と会わなかったが暇とは思えなかった。 自分が引きこもる数年前、ベーシックインカム(最低所得保障)制度が整った。そのおかげで最低限とはいえ

          ひきこもり