JW686 高来県を治めて
【景行征西編】エピソード57 高来県を治めて
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦88年、皇紀748年(景行天皇18)5月。
景行天皇こと、大足彦忍代別尊(以下、シロ)の一行は、還幸(天皇が帰宅すること)と銘打って、筑紫(今の九州)の巡幸(天皇が各地を巡ること)をおこなっていた。
ここは、島原半島。
島か、陸か、確認をするため、宿禰(大王の警護役)の神大野(以下、ワオン)は、海を渡り、山の神、高来津座(以下、クック)に遭遇したのであった。
クック「ここは、神代直で進めてくれないかな?」
ワオン「なにゆえにござる?」
クック「僕にも事情があるんだよ。」
ワオン「事情とは?」
クック「社の紹介をしたいんだよね。」
ワオン「して、その社とは?」
クック「その名も、神代神社だよ。」
ワオン「なるほど・・・。この地を治めた、神代直が建てた社にござりまするな?」
クック「その通り!」
ワオン「して、鎮座地は?」
クック「長崎県雲仙市の国見町神代丙だよ。」
ワオン「左様ですか・・・。では、ごきげんよう。」
クック「ちょっと待った!」
ワオン「まだ、何か有るのですか?」
クック「僕は、山の神だよね?」
ワオン「自ら、そう申されたではありませぬか。」
クック「何処の山か、気にならないの?」
ワオン「気になりませぬ。では、これにて・・・。」
クック「雲仙岳の神様だよ!!」
ワオン「そ・・・そうですか。では、これで・・・。」
クック「二十以上の山々の総称なんだよ!!」
ワオン「わ・・・わかりもうした。それゆえ、帰してくだされ。」
クック「仕方ないなぁ。じゃあ、これからも、高来県のこと、よろしくね。」
ワオン「かしこまりもうした。神代直として、治めて参りまする。されど、この後も、いろいろと出番がありますので、此度は、帰らせていただきまする。」
クック「諾なり。」
ワオン「承諾していただき、かたじけのうござりまする。」
クック「ちなみに、高来県は、長崎県諫早市の大部分、および、島原半島全域を指すよ。」
こうして「ワオン」は、神から解放されたのであった。
そして、ここは、熊本県長洲町・・・。
シロ「そうか・・・。島ではなく、半島・・・すなわち、陸であったか・・・。」
ワオン「ははっ。なお『クック』様との約定がありますゆえ、此度の御幸の後は、神代直として、高来県を治めて参りまする。」
シロ「諾なり。」
たっちゃん「して、大王? 我らは、これより、何処に参りまする?」
シロ「まずは、一休み致しましょうぞ。」
もち「こうして『おい』たちは、長洲町の腹赤にある、深田浦という池で、休憩したんやじ。」
シロ「うむ。では、少し坐りにくいが、この石に坐ろうぞ。」
ナッカ「あっ! 大王!?」
シロ「ん? 如何した?」
ナッカ「坐っちゃったんすね。」
シロ「あっ!」
おやた「御腰の石が誕生した瞬間にござりまする。」
するとそこに、一人の男が近寄ってきた。
男「あのう?」
野見「ん? 何者じゃ!?」
男「我は、朝勝見と申します。『かつみ』と、お呼びください。地元の漁夫です。」
いっくん「名前の読みに『?』が付いてるけど?」
かつみ「詳しい読み方が、わからず・・・。作者の推測です。」
いっくん「それは、しゃぁないなぁ。」
舟木「して、何用で参ったのじゃ?」
かつみ「こちらの魚を捧げ奉りたいと思いまして・・・。」
シロ「魚?」
リトル(7)「うわっ! 腹が赤い魚だ! 父上? 何という魚なのだ?」
シロ「わからぬ。」
リトル(7)「えっ?」
百足「どちらかと申せば、鱒に似ておりまするな。」
モロキ「海人の長である、汝でも、わからぬのか?」
百足「わからぬ。」
かつみ「あのう? そんなに、名前が気になるのであれば、大王が、名付けてくれませんか?」
シロ「ん? 我が、名付けよと?」
かつみ「はい。」
なんと名付けるのであろうか?
次回につづく