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JW559 咎められた皇女

【伊勢遷宮編】エピソード18 咎められた皇女


第十一代天皇、垂仁天皇すいにんてんのう御世みよ

紀元前4年、皇紀こうき657年(垂仁天皇26)。

天照大神あまてらすおおみかみ(以下、アマ)の鎮座地ちんざちを求め、倭姫やまとひめ(以下、ワッコ)一行は、船旅ふなたびを進めていた。

登場人物一覧表(倭姫の一行)
登場人物一覧表(三人の大夫)

そして・・・。 

ワッコ「そろそろおかがろうぞ。」 

おしん「こうして、船をけたところが『御津みつうら』と呼ばれるようになったんだ。」 

市主いちぬし「二千年後の三重県みえけん伊勢市いせし二見町ふたみちょう三津みつにござる。」 

地図(御津の浦→伊勢市二見町三津)

しばらく休憩きゅうけいした一行は、船旅を再開した。

すると・・・。 

乙若おとわか「なにやら、小さな島が有りまするな。」 

ワッコ「では、島に上がってみよう。」 

カット「なにやら、大きな屋敷やしきの門のような・・・。」 

カーケ「そんな地形のところが有ったのかね?」 

カット「はい。『倭姫命世記やまとひめのみこと・せいき』に、そう書かれておりまする。」 

ワッコ「では、大屋門おおやと名付なづけようではないか。」 

ねな「二千年後の何処どこになるの?」 

カット「それがからぬのじゃ。」 

ワクワク「なるほど! ロマンってことだね!」 

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」 

そして一行は、さらに川をさかのぼっていった。

そして・・・。 

ワッコ「川原かわらってみようではないか。」 

おしん「ちなみに、川原のことだけどよぉ、神淵河原かみふちかわらと呼ぶんだべ。」 

インカ「何故なにゆえ、そのような特別な呼ばれ方をしておるのじゃ?」 

おしん「なんでって・・・五十鈴川いすずがわの川原だからなぁ。そんじょそこらの川原と、一緒には出来できねぇってことじゃねぇか?」 

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」 

ねな「えっ? なに? 変な人がいるんですけど・・・。」 

ワッコ「ん? 如何いかがした?」 

ねな「頭の上に苗草なえくさを乗せた耆女うばが・・・。」 

オーカ「苗草なえくさは、いねなえのことにあらしゃいます。そして、耆女うばとは『おばあさん』のことにあらしゃいます。」 

ワッコ「い・・・いましは、なにをしておるのじゃ?」 

耆女うば「オレか? オレは、苗草なえくさそだてているおなごやで。名前は、宇遅都日女うぢつひめやで。『うーちゃん』と呼びなさい。」 

ワッコ「い・・・いや、そうではなく、なにをしておるのかと・・・。」 

うーちゃん「あのなぁ・・・この国は、鹿乃見哉毛為かのみやもい。」 

ワッコ「ん? もうしていることがからぬ。」 

うーちゃん「当たり前やがな。いまだに解明かいめいされてないんやから・・・。」 

くにお「意味がからぬことということか?」 

うーちゃん「せやね。まあ、でも、話の流れから考えると『見た通り、この国では、こんなふうにやってるんやで』みたいなことかな。」 

ワッコ「と・・・とにかく、この地は、鹿野見かのみ名付なづけようぞ。」 

乙若おとわか「二千年後の伊勢市いせし鹿海町かのみちょうにござりまする。」 

地図(鹿野見→伊勢市鹿海町)

うーちゃん「せやけど、なんで、そないなこと聞いてくるん?」 

ワッコ「えっ?」 

おしん「まさかの質問しつもんがえしだべ!」 

市主いちぬし「こうして『ワッコ』様がとがめられたので、この地は、止鹿乃淵とがのふちと呼ばれるようになりもうした。」 

ワッコ「とがふち・・・ということか・・・。」 

うーちゃん「それって、鹿海町かのみちょうってことやろ?」 

市主いちぬし「ま・・・まあ、そういうことになりまするな。」 

うーちゃん「ちなみに、鹿海町かのみちょうには、加努弥かぬみ神社じんじゃ鎮座ちんざしてるで。そこが止鹿乃淵とがのふちかもしれへんな。」 

地図(加努弥神社)
加努弥神社(鳥居と拝殿)

カーケ「祭神さいじんは?」 

うーちゃん「稲依比女命いなよりひめ・のみことになってるな。大歳神おおとしのかみの娘で、五穀ごこくの守り神なんやで。」 

ワッコ「もしや、いましが、その女神めがみともうすか?」 

うーちゃん「なんで、そうなるんや? その方が、ええんか?」 

おしん「またもや質問しつもんがえしだべ!」 

ワッコ「そ・・・そう思うただけじゃ。」 

カーケ「き・・・気の強いおなごなんだぜ。」 

うーちゃん「えっ? なんか言うた?」 

カーケ「な・・・なんでも無いんだぜ。」 

旅は、まだまだ続く。

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