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JW524 比売社を建てよう
【垂仁天皇編】エピソード53 比売社を建てよう
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前12年、皇紀649年(垂仁天皇18)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が、阿佐加藤方片樋宮(あさかの・ふじかたの・かたひ・のみや)に遷座(せんざ)した。
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この地の豪族、建呰古(たけしこ)(以下、ケシコ)も出演を続投する中、御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、従者たちと共に解説をおこなった。
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そして、解説終了後、吉姫(よしひめ)と吉彦(よしひこ)が現れ、『きさ(赤貝のこと)』を御贄(みにえ)として捧げたのであった。
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カット「このあと『倭姫命世記(やまとひめのみこと・せいき)』では、佐々牟(ささむ)という木の枝で火を起こし、天平瓮(あまのひらか)を八十枚作り、伊波比戸(いわいべ? いわひこ?)に仕(つか)え奉(たてまつ)ったと書かれておりまする。」
おしん「オラが、天平瓮を作ったんだべ。」
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ワッコ「い・・・いろいろと、よく分からぬ。まず、佐々牟とは、一体何じゃ?」
ねな「分からないからこそ、そこにロマンが有るのよ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ワッコ「し・・・して、読み方の分からぬ、伊波比戸とは、何じゃ?」
市主「荒ぶる神の名という説も有りまするが・・・。」
ワッコ「が?」
市主「それなら、伊豆速布留神(いつはやふるのかみ)こと『ふるるん』と書けば良いわけですし・・・。」
ワッコ「要するに、よく分からぬのじゃな?」
ケシコ「伊波比の文字から、伊波比主神(いわいぬしのかみ)の別名を持つ、経津主神(ふつぬしのかみ)こと『ふつ』様のことかもしれませぬな・・・。」
ワクワク「まあ、結局、ロマンってことだね!」
こうして、ロマンの一言で片付けられたのであった。
そんな頃、垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)は、津国(つ・のくに)に来ていた。
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イク「津国は、大阪市を初めとする、大阪府北部って言えば、いいかな。兵庫県の一部も含まれるよ。」
ここで、同伴する家臣たちが騒ぎ出した。
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オシキ「それより、大王(おおきみ)? 何、やってるんすか?」
カーケ「『オシキ』の言う通りなんだぜ。『ワッコ』が大変な時に、何をやっているのかね?」
イク「伯父上? 『ワッコ』が大変な時だからこそ、僕は、建てたのかもしれないよ?」
ケモロー「そんなに引っ張らんでも、ええが! 早う紹介してちょうせんか(くださいませんか)!」
イク「仕方ないなぁ。僕は、今年、比売社(ひめのやしろ)という社(やしろ)を建てたんだよ。」
オート「二千年後の玉造稲荷神社(たまつくり・いなりじんじゃ)にございます。」
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くにお「祭神(さいじん)は、食物の神の倉稲魂神(うかのみたまのかみ)となっておりまする。」
武日「じゃっどん、なして(どうして)、食べ物の神様を祀(まつ)ったんや?」
イク「何を言ってるの? 僕は大王だよ? 豊作を願うのは、当たり前だと思うんだけど・・・。」
武日「そんげなことやなくて・・・『ワッコ』様が危ない時に、何を呑気(のんき)に社を建てちょるのかと・・・。」
イッチー「たまたま、このタイミングになってしまったんやないか?」
オーカ「その通りにあらしゃいます。『ワッコ』様の一件の前か後か、その辺は、ロマンにあらしゃいますので・・・。」
玉彦「ち・・・ちなみに、大阪府大阪市の中央区玉造(ちゅうおうく・たまつくり)に鎮座(ちんざ)しとるがや。」
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するとそこに「イク」の叔父で、「カーケ」の弟、阿倍大稲腰(あべ・の・おおいなこし)(以下、イナコ)が、出張先から戻って来た。
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イナコ「大王! 荒ぶる神を鎮(しず)めること、能(あた)いましたよ!」
イク「そうかぁ。良かったぁ。無事に神を鎮めて、解説出来たんだね・・・。」
こうして、御杖代の父親は、安堵(あんど)したのであった。
つづく
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