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JW476 女神様を祀ろう

【垂仁天皇編】エピソード5 女神様を祀ろう


第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。

すなわち、紀元前28年、皇紀633年(垂仁天皇2)7月。

ここは津国(つ・のくに)。

垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)は、大后(おおきさき)の狭穂姫(さほひめ)(以下、さっちん)と共に、ある神社の創建を見届けに来ていた。

系図(イク、さっちん)

ここで、随行(ずいこう)する、意富加羅国(おおから・のくに)の王(こきし)の子、蘇那曷叱知(そなかしち)(以下、ソナカ)が、尋ねてきた。

ソナカ「どんな神社が創建されたニカ?」

イク「えっ? 『ソナカ』? 何を言ってるの? 比売許曽神社(ひめこそじんじゃ)が、創建されたんじゃないか。汝(なれ)が、お慕(した)いしていた、女神様の社(やしろ)だよ。」

ソナカ「アイゴー(ええぇぇ)! 大阪市東成区(ひがしなりく)の東小橋(ひがしおばせ)に鎮座(ちんざ)していると言っていた、あの神社のことニカ?!」

地図(比売許曽神社)
比売許曽神社(鳥居)
比売許曽神社(拝殿)

さっちん「左様にござりまする。ちなみに、祭神は、下照姫命(したてるひめ・のみこと)にござりまする。大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の娘にござりまするな。」

ソナカ「と・・・ところで、津国とは何処(どこ)を指すニカ?」

イク「大阪市を初めとする、大阪府北部って言えば、いいかな。兵庫県の一部も含まれるよ。」

地図(津国)

ソナカ「ところで、大后が抱(かか)えているのは?」

さっちん「さすがは『ソナカ』殿。目の付け所が違いまするな。この子は、私と大王(おおきみ)の子、誉津別(ほむつわけ)にござりまする。『ホームズ』と呼んでくださりませ。」

系図(ホームズ)

ソナカ「ホ・・・ホームズ? 『日本書紀(にほんしょき)』の記載に従ったということニカ?」

イク「そうなんだよ。だって、そっちの方がいいと思うんだよね。」

ソナカ「どうして、そうなるニカ? 『古事記(こじき)』では・・・。」

イク「ちょっと! 『ソナカ』! それ以上、言っちゃダメだよ。とにかく『ホームズ』は産まれたんだ。僕と『さっちん』の愛の結晶(けっしょう)だよ。」

さっちん「ところで、伊賀国(いが・のくに:現在の三重県西部)では、再び、天照大神(あまてらすおおみかみ)こと『アマ様』が遷座(せんざ)なされたそうですね?」

イク「そうなんだ。いつになったら落ち着くのか・・・。それに、倭姫(やまとひめ)こと『ワッコ』も、自分の置かれた立場に不安を感じているみたいでね・・・。早く『さっちん』が『ワッコ』ちゃんを産んでくれたら、この問題も解決するんだけど・・・。」

系図(ワッコ)

さっちん「いつの日か『ワッコ』ちゃんを産むとは思いまするが、それがいつになるかは、私にも分かりませぬ。それに、産まれてすぐ、御杖代(みつえしろ)になれるわけでもありませぬし・・・。」

ソナカ「いつか産まれるわけだから、そんなに気にしなくて良いニダ。それより、ウリ(私)は、乙女と交(まじ)わるため、ヤマトに来たわけなので、もう目的を失ってしまっているハセヨ。」

イク「そうだったね。これから、どうするの?」

ソナカ「どうするか、考え中ニダ。ビザも切れそうだし・・・。」

イク「そんなモノ、僕の時代には無いよ?」

ソナカは、どんな決断を下すのであろうか? 

次回につづく

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