JW360 吉備津彦、西進
【桃太郎編】エピソード30 吉備津彦、西進
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)で暴れていた温羅(うら)を鎮圧した一行。
将軍の、大吉備津日子(おおきびつひこ)(以下、芹彦)と若日子建吉備津日子(わかひこたけ・きびつひこ)(以下、タケ)は、更に西へと進むのであった。
ジョン「それで・・・俺たちは、どこに来たんだ?」
サモリ「岡山県井原市(いばらし)の芳井町簗瀬(よしいちょう・やなせ)ですよ。」
ジュリアン「ここに、なにか有るんか?」
芹彦「その通り! ここには、青龍神社(せいりゅうじんじゃ)が有るのじゃ!」
ヨーコ「この神社と、芹彦に、何か関係が?」
犬「左様! この地に、しばらく滞在なされたと伝わっておるのじゃ。」
オーイナ「滞在しただけで、社(やしろ)が建つとは! さすがは、皇子(みこ)!」
トメ「それだけじゃないよ。簗瀬(やなせ)という地名は、小田川(おだがわ)で、皇子が簗(やな)を作り、魚を獲る事を始めたから、付いたんだよ。」
たっちゃん「それだけではありませぬぞ。伯父上は、村人の夢に現れ、鉱山(こうざん)の場所を教えたそうにござる。これによって、村は繁栄したとのこと・・・。」
芹彦「そうなのじゃ! それがしが、夢に出てしもうたのじゃ! まるで、狭野尊(さの・の・みこと)大先生のようではないか! 喜べ!」
タケ「一番、喜んでおるのは、汝(なれ)ではないか・・・。」
ショーン「まあ、村人から見ても、大いに喜ぶところじゃのう。」
一行は、解説を済ませると、更に歩を進めた。
そして・・・。
芹彦「よし! では、少し休もうではないか!」
ジョン「芹彦が休む? 冗談だろ? おまえに『休む』なんて言葉が有ったのか?」
犬「そう思われるのも道理。されど、此度(こたび)ばかりは、休まねばならぬのでござる。」
オーイナ「休憩したということで、社が建ったんじゃな?」
芹彦「その通り! この地は、岡山神社(おかやまじんじゃ)となったのじゃ!」
ジュリアン「二千年後の地名で言うと、何処(どこ)になるんじゃ?」
たか「広島県福山市(ふくやまし)の神辺町道上(かんなべちょう・みちのうえ)ですよ。」
ショーン「社の名は、岡山でも、鎮座地(ちんざち)は、広島県なんじゃのう。」
たっちゃん「言われてみると、そうじゃのう・・・。いつの間にやら、広島県に入っていたのか・・・。」
タケ「して、これから、どうするのじゃ?」
芹彦「無論、海へ出る!」
オーイナ「な・・・なにゆえにござりまする?」
芹彦「次の伝承地は、それがしが上陸したと伝わっておるのじゃ! ということは・・・それがしは、船に乗らねばならぬのじゃ! どうだ?! 恐れ入ったか?!」
たっちゃん「伯父上? 恐れ入るところにござりまするか?」
こうして、一行は、半強制的に、船に乗せられたのであった。
つづく
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?