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JW518 景行天皇誕生

【垂仁天皇編】エピソード47 景行天皇誕生


第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。

年が明け、紀元前13年、皇紀648年(垂仁天皇17)となった。

そんなある日のこと・・・。

ここは、纏向珠城宮(まきむくのたまき・のみや)。

地図(纏向珠城宮)

垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)の元に、大后(おおきさき)がやって来た。

すなわち、日葉酢媛(ひばすひめ)(以下、ひばり)である。

系図(ひばり)

ひばり「大王(おおきみ)。今年も、男の子が産まれました。こちらは『日本書紀(にほんしょき)』に書かれておりますので、間違いありませぬ。」 

イク「間違いが無いってことは・・・そういうことだよね?」 

ひばり「きっと、次の大王は、この子なんでしょうね。では、紹介します。大足彦忍代別尊(おおたらしひこおしろわけ・のみこと)です。『シロ』と呼んであげてくださいませ。」

系図(シロ)

イク「そうか・・・『シロ』か・・・。でも、ちょっと待って・・・。」 

ひばり「な・・・なんでしょう?」 

イク「大事なことを忘れてない?」 

ひばり「えっ? 何をでしょうか?」 

イク「倭姫(やまとひめ)こと『ワッコ』ちゃんのことだよ!」 

系図(ワッコ)

ひばり「えっ? そ・・・そのようなことを申されましても、子供は、神々からの授(さず)かりモノにござりますれば、私の力では、どうこう出来るはずもなく・・・。」 

イク「でも、前回の解説で『バタ子』と『あざみ』が産んだ子は、全て紹介されてるんだよ? ってことは『ワッコ』ちゃんを産むのは『ひばり』で決定じゃないか。」 

ひばり「それは重々承知(じゅうじゅう・しょうち)しておりまする。ですが、いつ産まれてくるかまでは・・・。」 

イク「そ・・・そうか・・・。こればっかりは『ひばり』でも分かんないよね・・・。」 

ひばり「と・・・とにかく、産まれた年について『記紀(きき)』は何も書いておりませんので、毎年、産むことで、早く『ワッコ』ちゃんに出会えるよう努めまする。」 

イク「そ・・・そういうことは出来るんだね?」 

ひばり「作者の陰謀という力が働いておりますので・・・。」 

こうして、作者による謎の力が作用したのであった。

そして、年が改まり、紀元前12年、皇紀649年(垂仁天皇18)となった。

ここは、桑名野代宮(くわなの・のしろ・のみや)。

二千年後の三重県桑名市(くわなし)である。

地図(桑名野代宮:三重県桑名市)

天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)の御杖代(みつえしろ)である「ワッコ」は、驚きの声を上げていた。 

ワッコ「つ・・・ついに産まれたのですか?」 

アマ「うむ。汝(なれ)の姉、大中姫(おおなかつひめ)が産まれたぞ。『ダッコ』と呼んでやるが良い。」

系図(ダッコ)

ワッコ「えっ? 私ではないのですか?」 

アマ「汝(なれ)の母『ひばり』が、無理して、毎年、産んでくれておるのじゃぞ? 我儘(わがまま)を申すでない!」 

ワッコ「母上が誰か分かったというのに、まだ産まれないというのは、針の筵(むしろ)に坐(すわ)っているような心地(ここち)にござりまする。」 

アマ「仕方あるまい。そんなことより、遷座(せんざ)致すぞ!」 

ワッコ「そんなこととは、あんまりな物言いではありませぬか?」 

アマ「そう焦(あせ)るでない。汝(なれ)は御杖代なのじゃぞ?」 

ワッコ「か・・・かしこまりました。して、此度(こたび)は、どちらに?」 

アマ「うむ。此度の遷座地は、奈具波志忍山宮(なぐわしのおしのやま・のみや)じゃ。」 

ワッコ「では、采女(うねめ)や舎人(とねり)たちと解説を始めまする。」

登場人物一覧表(倭姫の一行)

市主「まずは、遷座した地について語りましょう。二千年後の行政区分で言うと、三重県亀山市(かめやまし)になりまする。」

地図(奈具波志忍山宮:三重県亀山市)

ワクワク「そして、候補地は二つなんだよ!」 

ねな「じゃあ、まず一つ目だけど、もう紙面が足りないので、次回の解説になるわね。」 

アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」 

次回、奈具波志忍山宮の解説がおこなわれる。 

つづく

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