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JW331 同じ時代じゃない

【桃太郎編】エピソード1 同じ時代じゃない


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

ここで、時は遡(さかのぼ)る。

紀元前88年、皇紀573年(崇神天皇10)10月22日。

彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)と稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)は、吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)に向けて出陣した。

地図(吉備へ)

付き従う者は下記の通り。

芹彦の家来、犬飼建(いぬかいたける)(以下、犬)と留玉臣(とめたまおみ)(以下、トメ)。

タケの息子、武彦(たけひこ)(以下、たっちゃん)である。

系図(タケ、芹彦、たっちゃん)

芹彦「さて、着いたぞ!」

犬「は? 皇子(みこ)? ここは吉備ではありませぬぞ? 針間(はりま)にござる。」

トメ「二千年後の兵庫県南部のことだね。」

地図(針間)

タケ「実はな・・・。針間の氷河(ひか)の碕(さき)にて、忌瓮(いわいべ)を据(す)えて、神々を祀(まつ)っておるのじゃ。」

たっちゃん「父上? 忌瓮(いわいべ)を据えるとは、如何(いかが)な意にござりまするか?」

芹彦「そんなことも分からぬのか! これは、いわゆる戦勝祈願じゃ!」

たっちゃん「お・・・伯父上に尋ねたわけでは・・・。」

タケ「忌瓮(いわいべ)とは、祭祀(さいし)に使う甕(かめ)のことじゃ。これを傾(かたむ)かぬよう、下の部分だけを埋め、据え置いた状態にして、神々を祀るのじゃ。」

たっちゃん「エピソード286にて、大彦(おおひこ)が解説しておりまするな。」

犬「さすがは『たっちゃん』! 読者を慮(おもんばか)り、あえて尋ねたのでござるな?」

たっちゃん「ま・・・まあ・・・(〃´∪`〃)ゞ」

芹彦「なんと! そういうことだったのか! しまった! 謀(はか)られた!」

トメ「誰も謀ってませんよ!」

タケ「ちなみに、祭祀記事は『古事記(こじき)』にのみ記されておるのじゃ。」

芹彦「その通り! それも、父上(七代目、孝霊天皇のこと)の御世とされておるぞ!」

たっちゃん「七代目様? 『古事記』では、七代目様の御世に吉備平定が記されているのですか?」

犬「左様にござりまする。この物語では、今上(きんじょう)の大王(おおきみ)の御世となりましたが・・・。」

たっちゃん「では、四道将軍(しどうしょうぐん)というのも『日本書紀』だけの設定ということか?」

トメ「そうなんですよ。『古事記』では、同じ時代のことじゃ無いんですよね。」

たっちゃん「な・・・なんということじゃ・・・。」

芹彦「おい! 『たっちゃん』よ! そのようなこと気にして、如何(いかが)する! 大事なのは、民(おおみたから)の安寧を守ることぞ!」

たっちゃん「さ・・・左様ではござりまするが・・・。」

タケ「まあ、伝承と申すモノは、そういうモノなのじゃ。汝(なれ)も、この旅を通じて、慣れていくであろう。」

たっちゃん「そうであれば良いのですが・・・。」

驚愕する『たっちゃん』。

吉備への旅は続くのであった。 

つづく

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