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JW675 思邦歌

【景行征西編】エピソード46 思邦歌


第十二代天皇、景行けいこう天皇てんのう御世みよ

西暦87年、皇紀こうき747年(景行天皇17)3月12日。

ここは、筑紫ちくし(今の九州)の高千穂国たかちほ・のくに(今の宮崎県)。

景行天皇こと、大足彦忍代別尊おおたらしひこおしろわけ・のみこと(以下、シロ)の一行は、丹裳小野にものおので遊んでいた。 

地図(高千穂)
筑紫行幸参加者名簿

ナッカ「場所については、諸説有るっす。詳細については、前回を参照してほしいっす。」 

そのとき「シロ」が、東の方角をのぞみながら言った。 

シロ「この国は、ぐにほうに向いておるのう。」 

ヤヌシ「そういうことで、国の名を日向ひむか名付なづけたなり!」 

影媛かげひめ「のちに、日向国ひゅうが・のくにと呼ばれるようになりまする。」 

たけし「二千年後の宮崎県のことです。」 

舟木ふなき「これまでは高千穂国たかちほ・のくにと呼んでおりましたが、これは、この物語のオリジナル設定とのこと・・・。」 

シロ「オリジナルであったのか?」 

カヤ「左様さようにござりまする。日向ひむか名付なづけられる前は、なんと呼ばれていたか、全くわからなかったのだとか・・・。」 

もち「そこで、便宜上べんぎじょう高千穂国たかちほ・のくに名付なづけたんやじ。」 

シロ「そのようなことであったか・・・。」 

いっくん「せやけど、海が奇麗きれいやなぁ。」 

シロ「よし! この大石おおいしうえに立って、まわりをのぞんでみようではないか。」 

タケ「大王おおきみ・・・。国をのぞんで、なにを思われる?」 

シロ「左様さようですな・・・。では、うたいたしましょうぞ。」  


しきよし 我家わぎえかたゆ 雲居くもい立ち 


たっちゃん「嗚呼ああほうから、雲がいて流れて来ることよ。」  


やまとは 国のまほろば たたなづく 青垣あおがき やまこもれる やまとうるわ  


モロキ「大和やまとは、最もすぐれた国。青々とした山がかさなって、かきのようにつつんでいる大和の国は、立派で美しい。」  


いのちの まそけむ人は 畳薦たたみこも 平群へぐりの山の 白橿しらかしを 髻華うずせ   


夏花なつはな「生命力のあふれた人たちは、この平群へぐりの山の白橿しらかしえだかんざしとして、髪にせ。この子よ。」 

白橿

リトル(6)「これが、思邦歌くにしのびうただ!」 

小左おひだり「ちなみに、平群へぐりの山は、奈良県平群町へぐりちょう矢田やた丘陵きゅうりょうあたりと言われておりまするぞ。」 

地図(矢田丘陵)

シロ「うむ。して、この流れで、豊国別とよくにわけこと『豊国とよくに』を日向国造ひむか・のくにのみやつこにんじようぞ。」 

豊国とよくに「それは、おいしいの?」 

シロ「お・・・おいしくはないぞ。」 

ワオン「大王おおきみ? 豊国とよくに様は、まだ幼児おさなごにござりまするぞ?」 

シロ「大事だいじない。『ハッカ』よ。豊国とよくに後見こうけん、頼むぞ。」 

ハッカ「かしこまりました。日向国ひむか・のくにをしっかりとおさめてまいりまする。」 

ワオン「なるほど! その手が、あったか!」 

やぁちゃん「では、私は、国中くんなか(今の奈良盆地)に帰りまする。」 

シロ「どうしても、帰るともうすか?」 

やぁちゃん「はい。此度こたび御幸みゆきしたがったのは、西暦84年、皇紀こうき744年(景行天皇14)に『わかお』を産まなければ、ならなかったからです。」 

シロ「ん? どういうことじゃ?」 

やぁちゃん「筑紫ちくし行幸中ぎょうこうちゅう大王おおきみと『わかお』をもうけるには、同行せねばならないでしょう?」 

シロ「あっ! す・・・すまぬ。そのようなこと、言わせるつもりはなかったのじゃ。」 

やぁちゃん「わかっておりまする。」 

わかお「『あえわれ』も、わかったお。」 

シロ「なれは、わからずとも良いのじゃぞ・・・(;^_^A」 

野見のみ「では、御妃おきさき様は、帰るということで、よろしゅうございますか?」 

シロ「うべなり。」 

百足ももたり承諾しょうだくしたという意味にござる。」 

ヤヌシ「では、われ影媛かげひめも帰るなり。」 

シロ「なにゆえじゃ?」 

影媛かげひめ「私たち夫婦めおとが同行したのも『たけし』誕生を紹介するためで・・・。」 

シロ「作者の陰謀であったともうすか?」 

ヤヌシ「その通りなり! 『わかお』様と、同年どうねん同月どうげつ同日どうじつに産まれたことを、強調するための演出なり!」 

おやた「われらのらぬところで、いろいろと陰謀がひそんでおるのやもしれませぬな?」 

シロ「うむ・・・。おそろしいことじゃ。」 

舟木ふなき「では、義叔父上おじうえ叔母上おばうえ、『たけし』、お達者たっしゃで・・・。」 

ヤヌシ「舟木ふなきも、頑張るなりよ!」 

たけし「私も帰るのですか?」 

影媛かげひめ「親子、水いらずってヤツよ。」 

たけし「わ・・・わかりました。」 

わかお「たけし、かえうかえる? いや、いや、いや!」 

リトル(6)「泣くなっ。弟よ・・・(´;ω;`)ウッ…。」 

やぁちゃん「『わかお』? なれも帰るのですよ? 泣かないで・・・。」 

リトル(6)「えっ!(;゚Д゚)」 

こうして「やぁちゃん」「わかお」「ヤヌシ」「影媛」「たけし」が、国中に帰っていったのであった。 

つづく

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