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JW425 つくば誕生

【東国鎮定編】エピソード16 つくば誕生


第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。

ここは、日高見国(ひたかみ・のくに:現在の茨城県)。

地図(日高見国→常陸国→茨城県)

賊の鎮定(ちんてい)に成功した一行は、論功行賞(ろんこうこうしょう)をおこなうのであった。

そして、采女筑箪(うねめ・の・つくば)(以下、つっくん)は、豊城入彦(とよきいりひこ)(以下、トッティ)より、紀(き)の国を与えられたのであったが・・・。

トッティ「『きの』・・・ということで、『毛野国(けぬ・のくに:現在の群馬県と栃木県)の一部だったのではないかとも言われてるっぺよ。」

つっくん「きの? けぬ? んん? 似てるか?」

トッティ「仕方ないっぺ。そういう説も有るんだっぺよ。文句言うな!」

つっくん「でもさぁ、折角(せっかく)いただいたんだから、別の名前が欲しいってばさ。」

トッティ「別の名前? 例えば、何が、いいんだっぺ?」

つっくん「わての名前にしてみる・・・とか?」

ここで「トッティ」の大伯父にして、師匠の大彦(おおひこ)が唸(うな)った。

大彦「なるほど! 筑箪(つくば)を国名にするというのかな?」

つっくん「その通り! その名も、筑波国(つくば・のくに)だってばさ。つくば市とか、つくばみらい市の辺りだってばさ。」

地図(筑波国)

するとここで、多建借間(おお・の・たけかしま)(以下、カシマ)がツッコミを入れた。

カシマ「己(おのれ)の名を入れると申しておきながら、字が違うではないか!」

つっくん「そ・・・そんなこと言われても・・・。『常陸国風土記(ひたち・のくに・ふどき)』に、そう書かれてるんだから、仕方ないだろ!」

叫ぶ「つっくん」に、「トッティ」の息子、八綱田(やつなた)(以下、つなお)が返す。

系図(トッティ、つなお、大彦)

つなお「仕方がないは、間違(まちご)うておるぞ。ここは、ロマンと申すべきところ・・・。」

トッティ「もう何でも、いいっぺ。それより、我(われ)も、日高見国こと常陸国に、社(やしろ)を建てたっぺよ。その名も、雀神社(すずめじんじゃ)だっぺ。」

雀神社(鳥居)
雀神社(拝殿)

大彦「雀の神様なのかな?」

トッティ「せ・・・先生・・・。違うっぺ。当初は『鎮社(しずめのやしろ)』だったんだっぺ。それが、いつしか、訛(なま)っちまって、雀(すずめ)になったんだっぺよ!」

つなお「ち・・・父上! 落ち着いてくだされ!」

カシマ「し・・・して、祭神は、どのような神にござりまするか?」

トッティ「よくぞ聞いてくれたっぺ。祭神は、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)、少彦名命(すくなひこな・のみこと)、事代主神(ことしろぬしのかみ)の三本です!」

大彦「鎮座地(ちんざち)は、二千年後の何処(いずこ)になるのかな?」

つなお「茨城県古河市宮前町(こがし・みやまえちょう)にござりまする。」

地図(雀神社)

トッティ「東国鎮護(とうごくちんご)のために建てたんだっぺよ。」

つっくん「ところでさぁ、東国を鎮定したってことで、わてらは、この地に留まるわけだろ?」

カシマ「たしかに・・・。大王(おおきみ)には、誰が奏上(そうじょう)するのでござろうか?」

大彦「そこは『おりじなる』設定の、それがしに任せて欲しいんだな。」

こうして、「トッティ」たちによる東国鎮定は、無事に成功したのであった。

つづく

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