JW510 桑名野代宮
【垂仁天皇編】エピソード39 桑名野代宮
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前16年、皇紀645年(垂仁天皇14)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が、桑名野代宮(くわなの・のしろ・のみや)への遷座(せんざ)を宣言。
御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、三重県の桑名市(くわなし)に入った。
そして、五人の従者と共に、解説をおこなうのであった。
五人の従者とは、すなわち、采女(うねめ)の香刀比売(かとひめ)(以下、カット)。
忍比売(おしひめ)(以下、おしん)。
大称奈(おおねな)(以下、ねな)。
「ねな」の弟、大荒(おおあら)(以下、アララ)。
舎人(とねり)の市主(いちぬし)である。
ワッコ「つ・・・ついに、三重県・・・。すなわち、伊勢国(いせ・のくに)に入ったのですね?」
アマ「うむ。されど、旅は、まだまだ続くぞ。」
ワッコ「えっ? そうなのですか?」
ねな「仕方ないでしょ。ロマンなんだから・・・。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
するとそこに、一人の男が現れた。
男「やぁ。僕は、国造(くにのみやつこ)の大若子(おおわくご)だよ! 『ワクワクさん』と呼んでね!」
ワッコ「ワ・・・ワクワク?」
ワクワク「そうだよ。国内の風俗を奏上(そうじょう)するため、参上(さんじょう)したんだよ。そして、御供に加えて欲しいんだよね。」
ワッコ「すまぬが、近頃、人が増えておるので、断らせてもらおう。」
ワクワク「そ・・・そんなぁ・・・。僕を供に迎えたと『倭姫命世記(やまとひめのみこと・せいき)』に書かれてるんだから、そこをなんとか・・・(´;ω;`)。」
ワッコ「し・・・仕方ないのう。」
するとそこに、もう一人の男が現れた。
男「そして、我(われ)が、国造の建日方(たけひかた)なり。『ひかた』と、お呼びくだされ。」
カット「国造が二人? これは、どういうことなのじゃ?」
ひかた「分かりもうさず。『倭姫命世記』に、そう書かれておりますれば、致し方なきことかと・・・。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
ワッコ「して、この国は、何という地なのじゃ?」
ひかた「神風(かむかぜ)の伊勢国にござりまする。」
おしん「ん? ワッコ様? そんなこと知っていたのではねぇか?」
ワッコ「知っておったが、『倭姫命世記』に、そう書かれておるゆえ、尋ねたのじゃ。」
市主「辻褄(つじつま)合わせにござりまするな?」
ひかた「更に、我(われ)は、神田(かんだ)や神戸(かんべ)、そして、舎人の伊尓方(いにかた)も献上しておりまするぞ。」
伊尓方「お初にお目にかかりまする。伊尓方にござる。『インカ』と、お呼びくださりませ。」
ワクワク「ぬぬぬ・・・。こちらも負けてられないぞ! 僕も献上するよ! 舎人の乙若子(おとわくご)だよ。乙若(おとわか)と呼んでね。」
乙若「我(われ)が、乙若なり。よろしく御願い致しまする。」
アマ「大所帯(おおじょたい)になってしまったのう・・・。」
おしん「そんたなことより、早く解説を始めねぇと・・・。」
ワッコ「そ・・・そうじゃな・・・。」
カット「では、解説を始めましょう。此度(こたび)の候補地は三つにござりまする。」
市主「まず、一つ目。野志里神社(のじりじんじゃ)にござりまする。三重県桑名市の多度町下野代(たどちょう・しものしろ)に鎮座(ちんざ)しておりまする。」
ワクワク「二つ目は、尾野神社(おのじんじゃ)だよ。桑名市の東方(ひがしかた)に鎮座してるんだよ。西暦1908年(明治41)に、立坂神社(たちさかじんじゃ)を合祀(ごうし)したから、二社が並んだ状態になっているんだよ。すごいね!」
インカ「三つ目は、神館神社(こうだてじんじゃ)にござる。桑名市の江場(えば)に鎮座しておりまする。」
こうして、桑名野代宮の解説が終わったのであった。
つづく
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