JW519 奈具波志忍山宮
【垂仁天皇編】エピソード48 奈具波志忍山宮
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
紀元前12年、皇紀649年(垂仁天皇18)。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が、奈具波志忍山宮(なぐわしのおしのやま・のみや)に遷座(せんざ)した。
現在の三重県亀山市(かめやまし)に当たる地域である。
そして、御杖代(みつえしろ)の倭姫(やまとひめ)(以下、ワッコ)は、従者たちと解説を始めるのであった。
ワッコ「候補地は二つじゃな? では、一つ目の紹介を頼む。」
ねな「まず一つ目が、布気皇館太神社(ふけこうたつだいじんじゃ)よ。『アマ』様だけでなく、豊受大神(とようけのおおかみ)も祀(まつ)られてるわ。」
乙若「鎮座地(ちんざち)は、三重県亀山市の布気町(ふけちょう)にござりまする。」
おしん「二番目の候補地は、忍山神社(おしやまじんじゃ)にございます。ただ、祭神(さいじん)が、猿田彦大神(さるたひこ・のおおかみ)になってんだけど、これは、どういうことだべか?」
ねな「人生いろいろ、伝承もいろいろでしょ?」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
カット「ち・・・ちなみに、鎮座地は三重県亀山市の野村(のむら)にござりまする。」
ワッコ「これで紹介は終わったのじゃな。」
するとそこに、穂積建忍山(ほづみ・の・たけおしやま)(以下、おしやん)が、一人の男を連れてやって来た。
おしやん「エピソード411以来の登場だってばよ。」
ワッコ「えっ? 『おしやん』殿? お初にお目にかかりまする。されど、如何(いかが)なされたのですか?」
おしやん「実は、こちらの社(やしろ)の管理者として、俺が任命されたみたいなんだよなぁ。」
インカ「そのような伝承があると?」
おしやん「まあ、そういうことだ。ちなみに、この地で、俺の娘が産まれるらしい。」
市主「娘? 今後、活躍なされるということですな?」
おしやん「まあ、そういうことだってばよ。」
ワッコ「ところで、お連れの方は?」
おしやん「おっと、忘れてたぜ。コイツは、この地の豪族の大比古(おおひこ)だ。」
大比古「お初にお目にかかりまする。我(われ)が大比古にござる。川俣県造(かわまた・の・あがたつくり)の先祖と言われておりまする。」
ワッコ「県造? 県主(あがたぬし)のようなモノか?」
大比古「全く同じと考えて良いかと・・・。いろいろな呼び方があったのでしょうな。」
ワッコ「して、私の『ひいおじいさま』と同じ名であるのは、どういうことなのじゃ?」
おしやん「いや、別に意味は無くて、ただ同じ名前だったってだけだ。八代目の皇子(みこ)である、大彦(おおひこ)のおっちゃんとは、全くの別人だから、気にしなくていいってばよ。」
大比古「左様。『前川清』と『西川きよし』が、別人であるのと同じことにござる。」
ねな「例えが、古いんじゃない?」
カット「何を申しておる。私たちから見れば、かなり新しいぞ。」
おしやん「と・・・ところで『倭姫命世記(やまとひめのみこと・せいき)』に書かれた台詞は言わなくていいのか?」
ワッコ「あっ! 左様にござりました。では、申しまする。」
一同「・・・・・・。」×11
ワッコ「汝(いまし)が国の名は、何ぞ?」
大比古「味酒(まさけ)鈴鹿国(すずか・のくに)、なぐわし忍山(おしやま)。」
ワクワク「ところでさぁ、忍山神社と『おしやん』様の名前が被(かぶ)ってるのは、どういうことなの?」
おしやん「これがロマンだってばよ。」
アララ「あらら・・・。そういうことになっちゃった。」
大比古「ちなみに、神田(かんだ)と神戸(かんべ)を献上致しまするぞ。」
ワッコ「神に捧げる稲を育てる田んぼと、祭祀(さいし)に貢献する人たちのことじゃな?」
大比古「左様にござりまする。」
こうして、奈具波志忍山宮に、つつがなく遷座されたのであった。
つづく
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