文章とは混ぜご飯である

文章って奥が深いですよね。ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、算用数字、記号。

無限に等しい組み合わせの中で、自分なりの言葉を紡いでいく。そう考えると文章って、料理に似ているのかもしれません。

しかし文章と料理の間にはある決定的な違いが存在します。使われる素材に関する深い知識です。

当然ですよね、料理は口に入れるものなので、食材や調味料をきちんと把握していないと、美味しくなりません。それどころか、体にダメージを負う可能性だってあります。

一方で文字の場合、実態を持たないので、料理と比べるとそこまで慎重になる必要はありません。

それゆえに私たちはどうしても、文字の特徴を軽視しすぎている気がするのです。

ここでは今一度、文字の特徴を整理していき、どのように効率的に運用していけばいいのかを紹介していきます。

参考書籍

文字の特徴

まずはこちらをご覧ください。私たちが文章を書くとき使う文字の特徴が載せてあります。

直感的に理解しやすいか

パッと見ただけで言葉の意味が頭のなかに入りやすいか、文字としての「キャラ立ち」を評価する項目です。

これに関しては表意文字である「漢字」が有効です。「健康」「運動」「食物」など、短文かつ一目で意味がわかるため、論文などで重宝されます。

アルファベットは「LINE」「SONY」「OK」など、文字によっては分かりやすいものがあります。

しかし「shinjuku station」のようにローマ字や外国語のつづりになると、大幅に読みにくくなります。極力使わないほうが無難です。

文字から音声を連想しやすいか

その文字を見たときに頭のなかで日本語の音声として認識されやすいかを評価しています。

この項目は表音文字であるひらがなやカタカナが強みを発揮します。

ひらがなは和語を書くと、やさしさやうるおいのある語感を伝えることができます。

一方でカタカナはオノマトペと呼ばれる物事の音や動きなどを分かりやすく伝えることができます。

いかなる文章に出ても自然か

縦書き、横書き、手書き、活字、明朝体、毛筆体などなど、文章にはさまざまな書式があります。

他にもお店の看板や法律の条文、飲食店のメニュー表など、どんなものでも違和感なく頭にはいるかを評価している項目です。

こちらの項目は漢字やひらがな、カタカナが強いです。いっぽうでアルファベットや算用数字、記号などの「洋モノ文字」の場合、縦書きや和風のフォントとの親和性が低くなります。

洋モノ文字の縦書きは「少年A」「5月」のように全角の1文字と漢字を組み合わせて使うケースをのぞくと、どうしても収まりがよく見えません。

また縦書きのなかで算用数字やアルファベットが出てくる場合は、数字の桁が大きくなったり、単語のスペルが長くなったりすると、見た目が悪くなってしまいます。

数字を書く場合は全角かつ漢字を混ぜて1万5000円と書くか、一万五千円と全て漢字で書いてしまったほうがいいです。

スペルの長い単語を書く場合はAriana Grandeと書くのではなく、アリアナ・グランデと全てカタカナで書いたほうが読みやすいです。

とはいえnoteで見るとわかる通り、半角アルファベットや算用数字は横書きと相性がいいです。あくまで縦書きの媒体で書くときに有効な手段であるため、臨機応変に使いましょう。

同種の文字が連続しても意味が取れるか

漢字は表意文字のため、連続して使われていても意味を理解しやすいです。

・賞金没収
・即時帰国命令
・中学入試対策算数特訓
・東京大学経済学部

一方でひらがなの場合は、さくらさく、なつまつり といった2〜3単語までなら連続で使っても理解をできます。

しかしアルファベット場合、単語の続け書きは難しいです。

たとえば「UNWHOUNESCO」と書いたら、意味不明な文字の羅列にみえてしまいます。「UN、WHO、UNESCO」のように、読点をつけるか「国連、WHO、ユネスコ」と、一部をカタカナで書くのがおすすめです。

イメージがやわらかいか

やわらかさでいえば、ひらがなが圧倒的に優秀です。カタカナは「意識高い系」という言葉があるように「コンセンサス」や「サマリー」など、難しく、とっつきにくいイメージが多いです。

一方で動詞や形容詞、形容動詞、副詞などの一部をカタカナで書くと、親しみやすさが生まれます。

・カッコいい
・カタい
・ダラける

こうみてみると、カタカナには良くも悪くも言葉を変化させる効果がありますね。

総合評価

各種文字の特徴を改めておさらいします。

漢字

・カタい印象
・パッと見て意味が伝わりやすい
・どんな文章でも使える

ひらがな

・非常にやわらかい印象
・パッと見て意味が伝わりにくい
・どんな文章でも使える
・和語を書くときに独特の語感を与えられる

カタカナ

・外来語を書くときに限り、ややカタい印象
・動詞や形容詞などの一部を書く場合は軽薄で親しみやすい印象
・パッと見て音声が浮かびやすい
・どんな文章でも使える

アルファベット

・縦書きのときは直感的な伝達力を持つときがある
・縦書きと相性が悪い(特に小文字)
・縦書き、パソコンやスマホとの相性がいい(半角にすること)
・21世紀の新語は半角アルファベット表記以外はしっくりこないことも

算用数字

・アルファベットと似た特徴
・縦書きと相性が悪い
・縦書きのときは全角にすれば、1〜4文字程度なら比較的自然にみえる
・横書き、パソコンやスマホとの相性が良い(ただし、半角にすること)

記号

・簡単そうな印象
・パッと見て意味が伝わりやすい
・横書き、パソコンやスマホとの相性が良好
・使用頻度が低い

これらの属性をきちんと把握し、媒体ごとに的確に組みわせれば、読みやすい文章が作れるようになります。

文章は文字の混ぜご飯である🍚

情報を伝えるうえで「音声」の伝達力が高いか、「見た目」の伝達力が高いかの違いは重要になってきます。

たとえば以下の文章、どれが1番読みやすいですか?

①さみだれ、もみじ、ほんこん、なぽれおん
②五月雨、紅葉、香港、那破崙
③SAMIDARE、MOMIJI、HONGKONG、NAPOLEON
④サミダレ、モミジ、ホンコン、ナポレオン

多くの方は①をほぼ無意識に、頭のなかで「音声」として認識していたはずです。「さみだれ…もみじ…」みたいな。

一方で②は漢字そのもの、③はローマ字のひとまとまりの単語として、視覚的に認識した可能性が高いです。

では④はというと、カタカナは本来ひらがなと同じく音声的な要素を強く持っているはずですが、外来語を表記するときは視覚的なイメージが強く現れます。

つまり文章における文字のバランスとは「音声」の情報であるひらがなと、「視覚」の情報であるその他の文字の組み合わせを考えること、と定義できます。

「聴覚」と「視覚」の両方にスムーズに伝わるようそれぞれの文字を組み合わせることで、伝わりやすい文章ができあがります。

こう考えると、文章は混ぜご飯に似ていますよね🍚

メインである白米はひらがな。一方で漢字やカタカナ、算用数字などは具材や調味料に当てはまります。

白米だけでは、物足りません。だからといって具材ばかりでも、いずれは飽きますし、白米が恋しくなります。

著者の感覚では、文章におけるひらがなの割合は全体の4〜6割くらいが適切だそうです。

具材の中でも重要な要素である漢字は、全体の1〜3割程度がベスト。

それ以外の文字種は全体の1割くらいでいいそうです。

白米と具材をバランスよく混ぜ合わせて、美味しいご飯(文章)を作ってみましょう🍚

まとめ

ひらがなは万能で、やわらかい印象を与える。

ひらがなは文章全体の4〜6割くらいの分量で書く。

漢字は万能でパッと見て、意味が伝わりやすい。

漢字は文章全体の1〜3割くらいの分量で書く。

ひらがなは「聴覚」漢字は「視覚」に訴える効果がある。

カタカナは基本的に聴覚に訴えるが、外来語の場合は視覚に訴える。

文章とは音と視覚の情報を文字の組み合わせでバランス良く伝達すること

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