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ケンヨウの階層

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自分自身に関わる文章を書きとめていきます。仕事のこと、生活のこと、いま夢中なことなど僕自身についてです。
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#プレイリスト

[ちょっとしたエッセイ]反比例する夜に

[ちょっとしたエッセイ]反比例する夜に

 普段なら、寝る前にスマホを眺めていると急な眠気が襲ってくるのだが、この日は違った。見れば見るほどに、目が冴えてゆく。「あ、きたな」が僕の感想で、数カ月に一度やってくる眠れない夜が到来。こうなると、もうダメで、ひたすらに目を瞑って静かにするか、諦めて、眠くなるまで時が過ぎるのを待つしかない。
 幾分か時が過ぎたと思い、時計に目をやると午前3時。布団に入ってからすでに2時間が経過した。眠くない。眠れ

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[ちょっとしたエッセイ]明けるにはまだ早すぎる

[ちょっとしたエッセイ]明けるにはまだ早すぎる

 1月も早10日目を迎え、世の中は通常通りの姿を見せている。という自分もなんだかそのフラットでシームレスな時の流れに、まったく余白も継ぎ目もないことに驚きつつ、今この2023年を生きている。
 恋人がいようが、家族と過ごそうが、友人と会おうが、昨日までの延長線なだけで、ことさら年が「明ける」ことについて、いくばくも気を寄せてなかった。流れる慣習が不思議なほどに、無感動を呼び、いつしか子どもの頃のよ

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[ちょっとしたエッセイ]さびしい夜中のおともに

[ちょっとしたエッセイ]さびしい夜中のおともに

 夜中というのは、本当の自分の孤独に向き合う時間で、時にさびしく、時に満たされる。
 そして、個人的に思う「ひとりでいること」の意義は、自分を憐れみ、深く落とす心の感情を剝きだすことで、再び自分の傷に塩を塗る行為だと思っている。それは、マゾヒズムとは違った観点で、考え方の問題かとも思うが、性的快感ではなく、心を自分で蔑むことから得る反発、すなわち憐れみが、じんわりと心から出る甘美な感覚を誘う。そん

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[ちょっとしたエッセイ]無益な暇のために

[ちょっとしたエッセイ]無益な暇のために

ふと、耳に風が伝う。
あ、なんだか心さみしい。
かといって、何をするでもない日常。
そんな日々に彩りをもたせるのはどんなことでしょうか。
本を読むも、そう。
目を凝らして周りの風景を見ることも、そう。
何か考え事をするも、そう。
人それぞれ、当たり前のこと。

でも無心になるとしたら、僕は音楽を聴く、を選びます。
耳をくすぐる、耳を満たす、耳を刺激するなどなど、
耳から得る感覚が僕は好きで、そして

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