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[ちょっとしたエッセイ]さびしい夜中のおともに

 夜中というのは、本当の自分の孤独に向き合う時間で、時にさびしく、時に満たされる。
 そして、個人的に思う「ひとりでいること」の意義は、自分を憐れみ、深く落とす心の感情を剝きだすことで、再び自分の傷に塩を塗る行為だと思っている。それは、マゾヒズムとは違った観点で、考え方の問題かとも思うが、性的快感ではなく、心を自分で蔑むことから得る反発、すなわち憐れみが、じんわりと心から出る甘美な感覚を誘う。そんな自慰的な空間が、「夜中のひとり」という条件下で生まれるのではと思っている。

 そう言葉だけを並べると、異常者のような印象を受けかねないが、誰でもひとりでいるときこそ、敢えて苦い経験を思い出すときがあるのではないかなと思う。それが意図的であっても、そうでなくても。いくら心が凹んでも、あー思い出さなきゃよかったと思っても、結局、最終的には自分を守るために、哀れんで前を向くしかない。その結果は、僕の言う自慰的空間と同じではないかなという話だ。

 ただそんな状況下で、星空だけを見ていても、居た堪れなくなる時がある。そんな時こそ、音楽の力を借りることで、いくぶんか負荷が軽減され、自分だけでなく、他人に慰めてもらうのも、一線を超えないために必要なことだと思っている。そして、今夜はこんな楽曲に慰めてもらうとこしらえたプレイリスト。
 眠れない夜、ひとりでいたい夜、悲しみにくれる夜、生きることに疲れてしまった夜、緊張から解放された夜……人の数だけ夜の色は存在する。
 僕の今夜の色はどんなだろう。そう思いながら、プレイリストを作成した。ご賞味あれ。

2020.10.13 play list from kenyo
流星/Polaris
宝石/タテタカコ
Smoke/jan and naomi
こわれそうよ/Aco
虎/ハンバート ハンバート
Party Police/Alvvays
Long Goodnight/The Get Up Kids


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