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Beyond The Reading

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本を読む先にあるものって、なんだろう。
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2023年2月の記事一覧

香川にモスクができるまで、を読んだ。

香川にモスクができるまで、を読んだ。

素晴らしかった。読み終えて思わず落涙。子どもたちに「パパまた泣いてるよ〜」と笑われてしまった。

涙のワケは、彼らが困難を成し遂げた喜びへの共感が大きい。と同時に日本に対する閉塞感を突きつけられたことも告白しておこう。

過去に何冊かイスラムに関する本を読んできたが、イスラムは日本人が想像するよりもはるかに寛容で融通のきく信仰だと思う。偏見とは無知によるものが多い。学べば必ず世界は開けると信じてい

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最期の声、を読んだ。

最期の声、を読んだ。

【災害】自然現象や人為的な原因によって、人命や社会生活に被害が生じる事態を指す。

地震で倒壊した建物や大津波に巻き込まれて亡くなれば明らかに災害死だが、災害後に精神が不安定になり体調が悪化し病死されたり、悲しいことに自死に至ってしまった場合、それが災害死として認定されるかどうかは曖昧だという。

認定されるとお見舞金が給付されるが、当然のことながら予算は青天井ではないので審査というプロセスが存在

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写真が終わる前に、を読んだ。

写真が終わる前に、を読んだ。

本著のハイライトは最後の杉本博司さんのお話、表現という行為に携わる人には絶対に読んでもらいたい。

「物欲なき世界」と「動物と機械から離れて」を拝読してから、すっかりファンになった菅付さん。

自分には写真の専門的な知識はないものの、コマーシャルフォトを定期購読したり、六本木にあるTARO NASUギャラリーで松江さんの展示会にお邪魔しゲリラインタヴューをする(!)など、写真を撮影するという行為に

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ボーダー移民と難民、を読んだ。

ボーダー移民と難民、を読んだ。

所属する会社のオフィスは品川駅港南口から歩いて数分のところ。近くのバス停から行き先を示す電光掲示板に「入管」と配された車両に、海外の方が多く乗車されている景色を目にすることがある。

あの時の記憶をたぐりよせてみると、彼らは誰一人として笑っておらず、みな浮かない表情だった。その理由がこの本を読んで理解でき、目を覆いたくなるような入管の実情に愕然とした。

とはいえ具体的に誰が悪いとは言えず、昨今の

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