林敬三@彫紙アート

彫紙(ちょうし)アート考案者 林敬三の公式noteです。彫紙アートに関する思いや感じた…

林敬三@彫紙アート

彫紙(ちょうし)アート考案者 林敬三の公式noteです。彫紙アートに関する思いや感じたことなど頭の中にあるものを出していきます。新宿区 曙橋駅で教えています。https://www.keizo-art.com/

最近の記事

絵を見る力 - 経験が大切 -

「上手な絵と下手な絵」の見分ける力を養うには、 絵画、彫刻、ガラス、人形、書、漆、陶器など美術品をたくさん鑑賞することと、自分が絵を描いたり、デッサンをしてみることも、鑑賞眼の力をつけることになります。 と書きました。 それでもまだ具体的ではないですよね。 絵画はそれぞれの好みですから、料理の味付けと同じで、行列を作っているラーメン屋さんに並んで食べたら、あまり美味しいと思わなかった、なんていう経験をしたことがあると思います。 では絵画はどうでしょう。 食べ物と同じ嗜

    • 写真コラージュについて - たくさある -

      ずいぶんと更新が滞っていましたが、春と共に再開です。大変お待たせいたしました。 写真を利用して作品を作る場合に大切なことは、写真を上回る作品に仕上げることです。 日本彫紙アート協会の学習プログラム CLPにはトレースやデッサンや、写真コラージュなどを学べる教材はありません。 これらを教材に組み込むと、インストラクターの勉強があまりにたくさんになりすぎて、一定のクオリティーを保つことが困難になるとの判断からです。 以前の「認定講座 上級」にはトレース、コラージュ、彩色、

      • 公募展について - 応募してみては?

        東京都美術館や新国立美術館などで、毎年継続開催されるたくさんの絵画の会があります。 公の会場を使うこれらの会は、公募することが条件になっています。 私がお世話になっている「青枢会(せいすうかい)」も会員以外に出品者を公募しています。 会によっては非常にゆるやかな審査で、公序良俗に反する作品であるとか、あまりに下手で展示すると、その会のステータスを著しく下げるような作品以外は入選とする会もあれば、 一定のレベル以上の作品以外は落選とする会、 それから、その会のコンセプ

        • 作品コンセプト - どう考える?

          前回、「さあ、コンセプトどうしましょうね。ご安心ください。ここに列挙した作家は、超有名になった人たちだからです。」と書きました。 私も含め彫紙アート作家で、日本中に名前が知れ渡っている人はまだいません。つまり、飽きられて仕事がなくなるという心配は少ないのです。 どちらが幸せか? 私なら、一瞬でもいいから大金を稼げた時期があったほうが幸せではないかと思うが・・・。 没後50年も100年も経ってから、大きな注目を浴びる画家もいます。 伊東若冲や田中一村が有名です。 伊

        絵を見る力 - 経験が大切 -

          作品コンセプト - 時代の流れ

          前回、「さあ、自信をもって続けてみましょう」と書きました。 それが成功例のように思われたかもしれませんが、 世の中には、失敗例もまた数えきれないほどあるのです。 1曲で消えた歌手! あっという間に消えた芸人。 アイドル時の印象が強くて 演じてみたい役がこない!                         などです。 アートはどうでしょうか? ヒロヤマガタ 鈴木英人 ペーター佐藤 山口はるみ ティンシャオカン 靉嘔(あいおう) ラッセン など、数え上げれば枚挙にい

          作品コンセプト - 時代の流れ

          作品コンセプト - 独自性

          前回は、「一貫性のない作品作りは観る人が目を回してしまいます」と書きました。 いろいろ試して、「売りやすい」あるいは、「好評なテーマの作品」に徐々に絞り込んでゆくのも選択肢のひとつですね。 私は、彫紙アートを始めて3年間は植物を95%、動物を5%の比率で描いていました。風景画や建築物、車や飛行機などは描かないと決めました。 私は一時期「青い星のゆかいな仲間」というコンセプトで様々な動物や虫などを滑稽な表現で作品にしました。 動物たちにもっと笑って生きてほしいと思ったか

          作品コンセプト - 独自性

          作品コンセプト - コンセプト?

          コンセプトとは 作家としての方向性、作品の元となる基本的な考え方、と解釈していいでしょう。 公募展の〇〇〇会のコンセプトは「自然界と人間のかかわり」だとします。 この会で「地球と温暖化」について、というテーマで出品作品の募集があったら、テーマに沿った作品で応募するわけですね。 この場合は、テーマ=コンセプトの中のひとつのコンセプトだと解釈して良いでしょう。 個展でコンセプトを打ち出す場合は、3年後にどこそこで、「地球と温暖化」についてと題して50点の作品を展示しよう、

          作品コンセプト - コンセプト?

          彫るテクニック - 伸縮と闘う

          前回、「大きな作品(B2以上)を彫るとき、私は次のような彫り方をする ことがあります。その彫り方とは?」と書きました 全紙がタテ目の場合、B2はヨコ目になり、長い方が大きく伸縮します。 彫り始めは、ほぼ紙の中心部のある程度深いパーツから手を付けます。面積は5㎝四方くらい。 そのまま1週間以上放置します。 すると伸縮が現れます。 伸縮を修正します。 次にその周囲を彫り、1週間放置します。 また伸縮が現れます。 修復します。 こんなことを何回か繰り返して伸縮と闘うことが

          彫るテクニック - 伸縮と闘う

          彫るテクニック - 修復

          紙の伸縮といえば、こんなことがありました。 那須高原の美術館で個展をさせていただいたときのこと。 新作と、完成から何年か経過した作品も含め、100点ほど展示しました。 期間は学校が夏休みになる8月を中心に3か月間。 栃木県の那須高原は、雨が降ると霧が発生し高湿度状態が続きます。 夏場はそんな状態が美術館をすっぽり覆う日が多く、紙にとっては厳しい環境でした。 会期が始まって1か月ほど経過したある日。 美術館を訪れると、懸念していた伸縮と波うちが待ってましたとばかりに

          彫るテクニック - 修復

          彫るテクニック - たくさんある

          彫紙(ちょうし)アートを彫るテクニックは、数えきれないほどあります。 ナイフ側面を90度に保つ垂直のナイフ使い  直径1ミリの〇(まる)を彫る 直線を彫る 紙を回す スタートと止め 長いラインを彫る 細い碁盤の目を彫る 急カーブを80枚彫る 切れそうな細いラインを元の太さに戻す ラインを彫る順番の基本 刃先を折らないテクニック マクラの使い方 合紙(あいし)の使い方 ナイフを持たない手の、指の位置 ナイフを持ったときの指の位置 90度を確認する

          彫るテクニック - たくさんある

          デッサンの大切さ - 感性と魂が宿る

          前回、「他にもデッサンすると良いことがたくさんあります」と書きました。 それは、 ①デフォルメがしたくなります ②バランスの取り方が上手くなります ③どこを中心にデッサンすればよいか、自然と分かるようになります ④構図が良くなります カメラ撮影したモチーフとカメラと同じ目線で見たモチーフが、大きく違うということは、だれでも気づいていると思います。 気づいてはいても、同じモチーフを同じ位置からデッサンしてみて、比較検討することはあまりしないと思います。 カメラで撮

          デッサンの大切さ - 感性と魂が宿る

          デッサンの大切さ - 作品に力を!

          写真が嫌いになりましたか?と書きました。 ご安心ください。 写真は写真で別世界です。 そもそも、写真と絵画を比較しても意味がないことです。 カメラは一瞬で風景の全てを記録します。 人間のIQがいくら高い人でも、到底及ぶものではありません。 このカメラに人間が勝るところは、感性と感情と想像力です。 この3つがうまく調和したとき、写真よりもはるかに凄いエネルギーと訴求力が生まれます。 だから、デッサンが大切なのです。 デッサンは正確に、つぶさに観察し、位置やサイ

          デッサンの大切さ - 作品に力を!

          デッサンの大切さ - 写真と自分の目

          前回、たくさんの情報を得ながら描いたものと、写真だけを見たデッサンでは、大きな差が出るのは必然です。と書きました。 写真はレンズが捉えたものを正確に保存してくれます。 位置や形状、色、一瞬の出来事など、人間の目と脳では記憶しきれない 膨大な情報をです。 「正確に」と書きましたが、「不正確」でもあります。 何に対して不正確だと思いますか? それは、自分の目と比べてです。 写真には間違いがたくさん写っています。 犬の顔をアップで撮影したら、鼻が巨大に写ります。   

          デッサンの大切さ - 写真と自分の目

          デッサンの大切さ - なぜ大切か

          「デッサンの大切さ」と書きましたが、そもそもデッサンなしでは、タイヤの無い車みたいなものです。 写真上でトリミングや構図がパーフェクトで、被写体も問題なければ、デッサンの必要は無いといえます。 なぜなら、それ以上イジリようがないからです。 あとは、写真に味付けができるかどうかがテクニックとセンスです。 では、デッサンが大切というのはどうしてか? それは、花火大会をテレビで観るのと現場で花火を見上げるのを比べたほどの臨場感の違いがあるからです。 たとえば、花のスケッ

          デッサンの大切さ - なぜ大切か

          絵を見る力 - 作品の力を感じる

          あなたがこれまでに自分以外の絵に、1分間でも引き付けられた作品 があればそれは、その作品に力があるということです。 買って帰りたいと思った絵は更に力があります。 買った場合は更に強烈な力に包み込まれ虜にされたということになります。 このような「力」を持った作品が「上手い」ということになります。 綺麗なものばかりに目がいくのはしかたのないこととして、汚い(この表現が適切かどうかは皆さんの判断に委ねますが)ものの中に凄いエネルギーを持った素晴らしい作品がたくさんあるのです

          絵を見る力 - 作品の力を感じる

          絵を見る力 - 上手な絵とは…

          上手な絵について書きましょう。 多くの人は写真のように細かくリアルに描かれた絵が「上手な絵」だという判断を脳が決めつける傾向にあります。 確かに超写実絵画に魅せられるのは当然と言っていいでしょう。 私も写実絵画は大好きです。 写実にも上手い下手の差は大きいですが、上手な人の作品には感動させられます。 お金とスペースがあれば2~3点は我が家に飾って鑑賞したいと思い続けて 50年になりました。 私も彫紙アートを始めて3年間くらいは、リアルな植物ばかり制作していました。

          絵を見る力 - 上手な絵とは…