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彫るテクニック - 伸縮と闘う

前回、「大きな作品(B2以上)を彫るとき、私は次のような彫り方をする
ことがあります。その彫り方とは?」と書きました

全紙がタテ目の場合、B2はヨコ目になり、長い方が大きく伸縮します。

彫り始めは、ほぼ紙の中心部のある程度深いパーツから手を付けます。面積は5㎝四方くらい。

そのまま1週間以上放置します。
すると伸縮が現れます。
伸縮を修正します。

次にその周囲を彫り、1週間放置します。
また伸縮が現れます。
修復します。

こんなことを何回か繰り返して伸縮と闘うことがあります。

それでも防げないこともありますが、敵も根負けして、伸縮をやめる場合もあります。

私の勝利です。

作品によっては、一年後に伸縮が発生するものもあるし、一年間保管して湿潤や乾燥を繰り返した紙を使用しても、この現象は防げないということも知りました。

シーズニングと言って、紙の水分を少なくして(乾燥させて)製紙会社が出荷する場合もあります。

これで伸縮が防げるかというと、やはり答えはNoです。

紙を購入した後どのような状態で保管するか、彫っているときの湿度はどうか、完成作品の保管状態はどうか?

これらの状況によって吸湿した紙は再び伸縮します。

運の良し悪しでしょうか。
全て水張りをした紙を使用したら、永久に伸縮しないかもしれませんね。

現実的には無理ですが。

これが紙なんですね。
気を取り直して、制作しましょう。

紙の伸縮なんて、なるようにしかなりません。

一番大切なのは、デッサンのセンスです。

次回から作品コンセプトについてお話したいと思います。お楽しみに!

林敬三

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