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本を読んできた人間は厚みが違う

実家から送られてきた写真です。日本では桜が咲いてきたようですね。

タイトルの言葉、これは幼いころから、父、そして母方の祖父から言われてきたものだ。

父は、この言葉に加えて、読んできた人間とそうでない人間は30、40代以降になると厚みに違いが出てくると言っていた。

気づけば私も30代である。この言葉は正しかったのだろうか?私は、それなりに本を読んできたように思うが、まだまだ『厚み』はないように思う。まず発言主である祖父、父について考えてみたい。

祖父については、どれだけの本を読んできたのか分からないが、死後に入った祖父の部屋には、大きな書庫があり、大量の本が残されていたことから、生前かなりの量を読み込んできていたことがわかる。父はどうだろうか。家で読書をしていた印象はあまりないが、本棚にはたくさんの本があり、日常的に図書館に行って本を借りていたし、読書家の範疇に入るとおもう。

では祖父、父に『厚み』はあったのだろうか?確かに、歴史、経済、政治、時事ネタまでどんなトピックでも話ができ、バランスの取れたコメントをしてくれたという点において、教養があった。また昔、企業人としてそれなりに登りつめていた祖父に、どうすればそんなに偉くなれるの?と聞いたときに『物事を知らないと正しく判断できない。幅広く、なんでも勉強しないといけない。』といった趣旨のことを言っていた記憶がある。思うに、祖父や父の言う『厚み』の正体は、『広範な教養であり、物事を理解する力』なのではないかと思う。

さて、私の話。

この二人の影響を受けた私も、幼いころから読書習慣が身についていた。自分から積極的に読みだしたときのことは未だにはっきりと覚えている。幼稚園の頃、友人の母がくれた『はれときどきぶた』(矢玉四郎)がはじまりの一冊である。当時6歳くらいの私にとっては、死ぬほど面白かった。そして、とりあえず『はれぶた』シリーズを一気に読んだあと、この「矢玉四郎って人の書いた本が面白いのか」と思い、図書館にある、同作者の本を手当たり次第に読んでいったことを覚えている。次第に、週末は図書館に入り浸るようになっていった(図書館に行くといえば、親も何も言わなかった)。

それ以来読書にはまっていったのだが、その後、中学3年時、私の読書観に影響を与えることになる国語教師に出会った。確か当時30歳そこそこで教師になり立てであったにも関わらず圧倒的な教養を感じさせるし、話もうまい先生で尊敬し、その人が薦める本を読むようになった。内田樹、外山滋比古等の親書を読むようになり、社会学や自己啓発書ともここで出会った。

その後確か高校3年の頃だと思うが、現代文の授業の際に、その恩師が『本を読み、考え続けていると、いつの日か、蓄積されてきた知識と思考が、有機的に、一気に繋がる瞬間が来る。ビリビリするよ。』という話をしたのだ。当時の私は知識というのは線形に積みあがっていくものだと考えていており、また「有機的に繋がる」というフレーズも理解できず、なんとなく流していた。

そして大学に入ってからも本を読んだ。斎藤孝の本に出会い、読書の価値を再認識し、また、たまたま本を読む友人と出会ったこと、読書を重んじ、自学自習を基本方針とする教授のゼミに入ったことも大きい。その後処分してしまった本も多いが、大学時代に出会った、不確実性について書いた『まぐれ』(タレブ)、行動経済学を学ぶ中で出会った『群集心理』(ギュスターヴルボン)、市場を学ぶうえで読んだ『市場を創る』等は、自分の考え方に影響を与えた本として今も手もとにおいてある。(このころは歴史小説や、ほとんど頭に残っていないがデカルト・カント・ショーペンハウエル等の哲学系をふくむ岩波(青)もたくさん読んだ。司馬遼太郎の世界における陽明学、特に『知行合一』という言葉は、最も好きな言葉の一つだ。)

そして、社会人2年目くらいだったと思う(当時使っていた携帯にその瞬間をメモした記憶がある)。かつての恩師が言っていたあの瞬間が来たのだ。これまで散らかっていた知識、思考が繋がる瞬間が来たのだ。ビリビリ、というよりバチバチと来た。恩師の言ったことは本当だったのだ。自分の中で、いろんなことが一本に繋がり、まさにブレークスルーの瞬間だった。これは世に普遍的なものでも、絶対的に正しいものではない。ただ、この瞬間、自分の思考回路が一段グレードアップされた実感があった。

きっと、このブレークスルーを続けていくうちに、父や祖父のいうような『厚み』がでてくるのではないだろうか。どうしても仕事関連のものに偏りがちな日々であるが、今後30代~40代と歳を重ねる中で『厚みのある人間』に近づくためにも読書習慣は大切にしたい。

私より、若い世代の人には本を読むことをすすめたい。私は間違いなく、本によって思考を広げられ、視座を増やすことができたと感じている。もちろん本を読むことは、商談の場面で活きてきたり、新たなアイディアに繋がったり、情報感度が飛躍的に伸びる等、ビジネスのシーンで活きてくる。ただ仕事面での好影響は読書で得られる効果の一面に過ぎず、いろんな場面で活きていると私は感じている。

そして何より、あのバチバチとくる感覚を味わってもらいたい。

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一方、読書もインプットの一形態に過ぎないことも事実だ。ひとかどの人物で本を読んでいない人なんて幾らでもいる。人との関わり、行動、経験を通じてしか得られないものも多いことも忘れてはいけない。だからこそ『知行合一』である。行動を起こそう。

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『これは必読』という本があれば教えて下さいね。人から進められた本は、自分で選んだものより、染みこむものが多いように感じています(単純なので)

ではでは。





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