Kazuyo Yasuda

ロンドン在住の編集者/ライターです。昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑で有機野菜を…

Kazuyo Yasuda

ロンドン在住の編集者/ライターです。昼は本を編み、夜は毛糸を編み、週末は畑で有機野菜を育てる日々。写真(instagram: @gezkaz)、畑しごと、バッハ、発酵食品&保存食づくり、グレン・グールド、編みもの、縫いもの、ポッドキャスト「試運転(仮)」、など、あっちもこっちも。

マガジン

  • さよならのそのあとで。

    親の葬儀のあとで、海外在住者が国を出る前にしなければいけないこと、あれこれ。

  • さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。

    母の最後の79日間。

  • KRess Room

    Instagramの投稿への追記と、自分のブログの記事をまとめています。

最近の記事

さよならのそのあとで。<遺品整理編②>

できるだけ無駄に捨てない、 できるだけ業者を使わない、ということで、 Twitter、ポッドキャスト経由で たくさんの方から教えていただいた情報が 大変ありがたく、本当に役に立った。 ここでは、いただいた情報や、 自分で調べて得た情報をもとに 私が実際に使った方法を ご紹介します。 ① 古着deワクチン 不要になった衣類などを専用回収キットで 送ると、発展途上国で再利用してくれる、 というチャリティ。 3300円で専用回収キットを購入するのだが、 この代金は、ポリオワク

    • さよならのそのあとで。<遺品整理編①>

      母が死後、彼女の住まいの完全退去は、 その3ヵ月後にすることに決めた。 多くの経験者の方から、 「遺品整理は急いではいけない。 自分の心の準備ができたときにした方がよい」 とアドバイスされ、 トランクルーム利用も視野に入れつつ、 準備を進めた。 結果から言うと、私にとっては、 3ヵ月という期間はちょうどよく 時間がたつごとに、 「処分する」と「処分しない」のラインが 少しずつずれていったので、 やはり、多くの方のアドバイスどおり、 早い時期に無理矢理なにもかも 処分しようと

      • さよならのそのあとで。<相続編①>

        母が亡くなって1ヵ月超。 年金やら、確定申告やら、 もろもろの手続きを終えて、 先延ばしにしてきた相続の手続きに いよいよ直面しなければならなくなった。 私の帰国の日程も迫っているので、 私の住民票が日本にあるうちに、 おそらくできる限りのことを しておいた方が、たぶん無難な気もした。 葬儀社を紹介してくれた 鎌倉新書社が相続関連のサービスも 行っているということで、 「いい相続」に電話をしてみることに。 大変要領よく聞き取りをしてくれて、 さっそく次の週末に行政書士の

        • さよならのそのあとで<埋葬編>

          早いもので四十九日が過ぎた。 本当は、四十九日に合わせて 納骨したかったのだけれど、墓地側の都合で、 その翌週末に行うことになった。 この埋葬に関して、まず墓地を管理している お寺さんに連絡してしまったのだけれど、 今振り返れば、おそらく石屋さんに 連絡するのが一番効率的だったのかな、 という気がする。 石屋さんに連絡すると、 石屋さんが墓地と連絡を取り合って、 希望に応じて手配をしてくれると同時に、 石に刻む原稿(といっていいのか)を 記入する用紙を送ってくれる。 原

        さよならのそのあとで。<遺品整理編②>

        マガジン

        • さよならのそのあとで。
          10本
        • さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。
          37本
        • KRess Room
          6本

        記事

          さよならのそのあとで。<ワクチンとその後の雑談編>

          今回は、母の死とは直接的な関係はないお話。 母の火葬が終わるまで1か月半、 日本に滞在してくれた夫が、ロンドンに戻り、 なんと、その翌週にコロナに感染した。 私は、昨年の3月と5月に2回の予防接種は 完了していたけれど、3度目の接種を受けずに 日本にやってきた。 夫のコロナ感染の話を聞くまでは、 接種証明が日英混じるのは混乱を招きそうで、 日本でワクチンを受けるのは控えて、 ロンドンに帰ったらすぐに ウォークインで受ければいいや、 くらいに考えていたのだが、 夫の話を聞い

          さよならのそのあとで。<ワクチンとその後の雑談編>

          さよならのそのあとで。<確定申告:提出編>

          先日の税理士相談員さんと話したあと、 言われたとおり、LINE経由で 確定申告書作成会場の相談を予約したので、 自分なりに準備した書類を持って、 税務署に向かった。 相談会場でも先日の相談員さんとの会話でも、 「青色ですか?」という質問を 繰り返してされたのだが、 「青色と白色とどう違うんですか?」 とたずねても、 「青色は『青色』に丸がついています」 と言われるだけで、 なにをもって青色と白色に分けられるのか について、ちゃんと説明してくれた人は 誰もいなかった。 が、

          さよならのそのあとで。<確定申告:提出編>

          さよならのそのあとで。<確定申告:準備編>

          母の確定申告をどうすればよいのか、 税務署に電話をして聞いてみた。 母は、比較的資料をきっちりと まとめているほうだったのだが、 ここ1〜2年は、 施設や病院の入退院が多くなり、 文字を書くのもおぼつかなくなって、 やや怪しいところもあった。 母の場合、国民年金のほかに、 ささやかな家賃収入があったので、 それを申告していたようだ。 税務署に問い合わせたところ、 すぐに税理士の相談員さんにつないでくれた。 母が入院中に、税務署に行って、 彼女が去年と一昨年に提出した確定申

          さよならのそのあとで。<確定申告:準備編>

          さよならのそのあとで。<住まいの引き上げ:準備>

          母が亡くなって半月。 母が20年以上を暮らしたこの団地も 整理して引き上げなけれれば、ということで、 団地事務所に出向いて手続きの話を聞いた。 事務処理に関しては、入居時に緊急連絡先に 指定されていた弟の名前で 行う必要があるらしく、 私が行う場合は、弟の代理人として 書類が追加で必要になるとのこと。 めんどうなので、弟に来てもらうことにする。 この国では、親子であっても 「登録されている名前かどうか」と、 「国内で連絡がとれるかどうか」の2点で、 私では役不足とされるこ

          さよならのそのあとで。<住まいの引き上げ:準備>

          さよならのそのあとで。<年金関連>

          昨日、市役所の「どうのこうの」から、 「年金に関しては、おくやみコーナーの予約日に ご説明するので、大丈夫です」と言われたものの、 葬儀屋さんから、早く止めたほうがベター と言わていたので、今度は市役所ではなく、 市の年金事務所に問い合わせをする。 するとやはり、なるべく早く止めるほうがよいこと、 また、止めるだけではなく、亡くなった当月分は 家族が請求しなければいけないことがわかった。 届け出に必要な書類は ①母の年金手帳/証書 ②私の戸籍謄本・附票(続柄確認用) ③(

          さよならのそのあとで。<年金関連>

          さよならのそのあとで<市役所手続き編>

          母が亡くなって、医師に死亡診断書を 書いてもらったあとに、いくつかしたこと。 ①親しい親戚への報告 ②ケアマネさんへの連絡 ③酸素の機械を借りている業者さんへの連絡 そのほかに、訪問医のクリニックでもらってきた、 パンフレットに従って、 「いい葬儀相談センター」に電話をした。 こちらの希望に見合った業者を いくつか紹介してくれるので、大変ありがたい。 葬儀社が決まったら、あとは彼らの指示どおりに 各種の届け出を進めていく。 医師が書いた死亡診断書に併記される 死亡届の書き

          さよならのそのあとで<市役所手続き編>

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(37)

          2月1日。 母はなんとか、月をまたぐことができた。 昨日は座薬のおかげで、静かになったので、 久しぶりに私も3時間ずつまとまった睡眠を とることができた。 朝5時には平熱にもどっていて、ほっとする。 朝7時半、目を半目開けているが、 視点が定まっていないようす。 「おはよう」と声をかけても反応がない。 揺すっても、耳元で話しかけても反応がない。 焦って再び、昨晩話した当直医に電話。 「昨日入れた座薬が効きすぎていると思う。 様子をみてください」とのこと。 10〜15分に一

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(37)

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(36)

          1月31日。 昨夜は1時間毎に目がさめて、 母の様子を観察。 毎回、ぱっちりと目を開いていて、 結局一睡もしていないように思う。 そのせいかどうかわからなけれど、 今日の母は機嫌が悪い。 私がなにを話しかけても無視。 聞こえないのかな、と思って、 「聞こえるー?」とたずねると、 眉をギュッと寄せて、首を横にふる。 聞こえているらしい。 朝やってきた看護師さんには 小さくうなずくなど、意思を示していたので、 どうも私に当たっているようだ。 まぁ、私しか当たれる人いないものね

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(36)

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(35)

          1月30日。 ラジオがきいたのか、 しばらくは静かに眠った母だが、 夜中に数回 「あぶないよ、あぶないよ、あぶないよ」 と声をあげ、それに起こされる。 夜数回見守りに起きたときも、 いつも目をあいていて、 話しかけると、「あぶないよ」が始まる。 これはせん妄といっていいのだろうか。 彼女にとっては受け入れがたい 現実から逃避するために、 幻想や幻覚の世界に逃げ込むのは、 しかたがないとは思うが、 それならば、せめてもっと楽しい状況の 幻覚を見てほしいと思ってしまう。 昨日

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(35)

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(34)

          1月29日。 昨夜の座薬から3時間ほどは、 母も静かで、私も眠ることができた。 だが、朝6時前から「苦しい」と訴え、 どこが苦しいのかは本人もわからないよう。 訪問看護師に来てもらう。 熱は37.9℃。脈拍も早いようで、 そのせいで、苦しいという感じなのかも? というのが、看護師さんの推理。 再び座薬。 しかし、その後も「怖い怖い」 「危ない危ない」「助けて助けて」と 同じ言葉をうわ言のように繰り返し、 しかも声がでかい。 最初は、死ぬのが怖い、という 意味かと思ったの

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(34)

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(33)

          1月28日。いよいよ母退院。 朝から緊張してしまう。 12時に病院に入り、清浄ケアや 褥瘡のケアについて説明を受ける。 民間救急の予約が詰まっているため、 13時ちょうどに出発しなければいけない、 とのことで、予想通りバタバタの退院だったが 看護師の皆さんが、お別れやねぎらいの 言葉をくれてうれしかった。 こういう状態でも 「元気でね」と退院していく患者に 言ってしまうのは、これはもう 反射弓のようなものなのかもしれない。 救急救命士さんがふたりついて、 民間救急車で帰

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(33)

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(32)

          1月27日。 すごい一日だった。 朝から、訪問医療のクリニックに面談に。 父の在宅での看取りもしてくれたクリニックで 自宅での緩和治療に力を入れていて、 父のときには、大変助けられた。 が、父のときに面談に行った弟は、 医者の態度が偉そうなのと、説教をされたのとで たいそう立腹していたのを覚えている。 私は偉そうにされることに関しては、 あまり意に介さないが、 病院での点滴が多すぎるために、 母は、いま拷問にあっている状態であること、 (これは多くの在宅医療の医師が指摘す

          さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(32)