さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(35)

1月30日。
ラジオがきいたのか、
しばらくは静かに眠った母だが、
夜中に数回
「あぶないよ、あぶないよ、あぶないよ」
と声をあげ、それに起こされる。

夜数回見守りに起きたときも、
いつも目をあいていて、
話しかけると、「あぶないよ」が始まる。
これはせん妄といっていいのだろうか。
彼女にとっては受け入れがたい
現実から逃避するために、
幻想や幻覚の世界に逃げ込むのは、
しかたがないとは思うが、
それならば、せめてもっと楽しい状況の
幻覚を見てほしいと思ってしまう。

昨日よりもかなり首が動いたり、
少しは手を動かそうとしたり、
また顔色も赤みがとれて、
呼吸も楽になっているように見える。
でも体温が常に37℃前後なのが、少し心配。

朝は、足の指先の壊死が始まっている部分の
洗浄とケア。
あとオムツをチェックしてパッド交換。
腕や足に当たっている部分がないかチェック。
体温が下がるように、保冷剤をタオルで巻いて、
脇の下と首の下にいれる。
朝一番で、痰の吸引をしたので
(昨日の看護師さんの指導がよくて、
鼻からの吸引を習得した。
正直鼻からのほうが引ける)
呼吸の音はきれい。

今日は訪問看護はなしで、ヘルパーさんのみ。
午後ヘルパーさんとふたり、まる1時間かけて、
全身清拭、陰部洗浄、パッド交換。

夕方5時頃、再びオムツチェック、パッド交換、
口腔ケア(上顎が乾燥ぎみ)。
看護師さんにすすめられた、
太白胡麻油をガーゼにしませ、口のなかをふく
(ついでに、唇にも油をのばす)方法をためす。
ガーゼは、もらう一方で何枚もあるのに、
誰も使わない「あべのマスク」を切って代用。
使いみちがあって、よかった。

夕方ごろには、少し目を閉じて、眠っている感じ。
調べてみたら、母の症状はひょっとしたら
終末せん妄、というものではなかろうか。
今日のバージョンは、子どもじゃなくて、
「地震でみんながあぶないよ」だった。
地震の妄想は、もしかして
自動体位変換機能の動きが
大きすぎるせいなのではないかと推測。
(実際大波に乗っているかのような壮大な動き)
試しに「スモールシフト」というモードに
切り替えてみた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?