さよならのそのあとで。<確定申告:準備編>

母の確定申告をどうすればよいのか、
税務署に電話をして聞いてみた。
母は、比較的資料をきっちりと
まとめているほうだったのだが、
ここ1〜2年は、
施設や病院の入退院が多くなり、
文字を書くのもおぼつかなくなって、
やや怪しいところもあった。

母の場合、国民年金のほかに、
ささやかな家賃収入があったので、
それを申告していたようだ。

税務署に問い合わせたところ、
すぐに税理士の相談員さんにつないでくれた。
母が入院中に、税務署に行って、
彼女が去年と一昨年に提出した確定申告の
控えを写真で撮ってきていたので、
それを見ながら説明を受けた。

母の場合、介護保険と健康保険を
年金から天引きにされていただけではなく、
その一部は振り込みをしていたようだ。
相談員の税理士さんによると、
これは人によってバラバラだそうで、
市役所の健康保険の部署と、
介護保険の部署で突き止めることが
できるとのこと。

さっそく市役所に出向いたところ、
生前は、やれ委任状だ、
関係を示す戸籍の控えだ、
なんだかんだと、ややこしかったはずのことが
なにもかも、あまりにもスムーズだった。

一方で、医療控除のための金額を把握すべく、
ひとまとめに籐のバスケットに入っていた、
過去の領収書類や、保険、年金関係の書類を
ひとつひとつ確認する。
この作業に丸一日かかったけれど、
母のパーキンソン病の進行と、
それぞれの時期に
どのような助けを受けていたか、
過去3年間は、施設と病院と自宅を
いったりきたりしていたことを、
それらの書類を通して、思い出した。

書類の間には、昨年の中頃に申し込んだ、
特養の申込受理書や、
こくみん共済の証書がでてきた。

どちらもきっと、
放っておいてもいいのだろうが、
なんとなくちゃんとしておきたくて、
電話して、母が他界したことを告げ、
特養には待機リストから外してくれるよう、
そしてこくみん共済には、解約の手続きを
してくれるよう、お願いした。

私が彼らに告げたかったことは、
ほんとうは、母が死んだことではなく、
母がそれまで生きていたこと、
だったのかもしれない。

母がまとめておいてくれた、
過去の確定申告の控えや、
今回私が税務署から取り寄せてきた
コピーをもとに、なんとか下書きは完成し、
税務署の相談コーナーの予約もとれた。

これで、無事に通るといいのだけれど。

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