さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(33)

1月28日。いよいよ母退院。

朝から緊張してしまう。
12時に病院に入り、清浄ケアや
褥瘡のケアについて説明を受ける。
民間救急の予約が詰まっているため、
13時ちょうどに出発しなければいけない、
とのことで、予想通りバタバタの退院だったが
看護師の皆さんが、お別れやねぎらいの
言葉をくれてうれしかった。

こういう状態でも
「元気でね」と退院していく患者に
言ってしまうのは、これはもう
反射弓のようなものなのかもしれない。

救急救命士さんがふたりついて、
民間救急車で帰宅。
昨日、体重測定をしたときには
22キロだったという母の身体を、
ふたりの救命士さんが抱えるかたちで、
上手に2階まで運んでくれた。
さっそく昨日教えてもらった
酸素の機械を稼働。

母は、帰ってきたことがわかるらしく、
しっかりと目をあいて、
こちらの言うことにも反応を返してくれた。

15時に医師と看護師さんが到着。
これまで1日1500ミリいれいてた点滴を
今日から2日で500にして負担を減らす、
とのこと。
また、ステロイドを入れましょう
ということになった。

痰の吸引も、3時間に一度する必要はなく、
ゴロゴロと音がなりだしたら、してあげて、
だそうだ。

17時には、ケアマネさんが、
ヘルパーさん二人を伴って到着。

正直、過去の経験から、
私の目には上質とは言い難い
ヘルパー事務所さんからの派遣で、
ミーティング中、私がかかってきた電話の
応対をしているときに、そこいらへんの
引き出しを無遠慮に開けまくって、
なにかを探している様子。

思わず、電話を中断して
「なにか探してます?」とたずねると
「このへんに血圧計ありましたよねえ?」
とまるで悪びれない。

そう、悪気はないのだ。
彼女たちにとっては、きっと、
姉妹の家を訪ねている感覚の
振る舞いなのかもしれない。
昨年の3月、母が具合が急に悪化したときに
臨機応変に下の世話をしてくれたのは、
このうちのひとりだった。

夜9時頃、母が急にはっきりと
「痛い、痛い」と言い出したので、
どこが痛いの?と聴くと「胸が痛い」と言う。

看護師さんに電話して指示を仰ぐと、
もしかしたら、皮下点滴のために今日刺した
針のあたりかもしれない、とのことで、
痛い場所を同定しようとするが、
母自身にも、どのあたりが痛いのか
わからない様子。

訪問してもらい、針の位置をかえて、
痛み止めの座薬をいれてもらう。

そのあともなにかを言っているので、
耳を近づけてみると「不安、不安」と
言っているようなので、「大丈夫だよ」と
声をかけたら、静かに少し眠ったようだ。

夜中、2時頃、苦しそうにしているのに気づき
熱をはかったら、37℃超の微熱。
看護師さんに連絡したところ、
37℃前半であれば、
なにもしなくて大丈夫、とのこと。
少し心配だが、新しい点滴で
楽になってくれることを期待したい。

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