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個人的なことが、心を動かす(#1 内田洋介さん)

自分のしごとをつくるゼミ  文章で生きる編
2024.1.30~4.9 
参加して感じたことを書いています。

第1回 内田洋介さん
編集者 / 独立系旅雑誌『LOCKET』

物腰の柔らかい、芯のある方でした


内田さんが雑誌を作るプロセス
内田さんは、旅先で感じたことを、書きなぐるらしい。旅の経験って、どんどん忘れてしまうもの。ディテールを書かないと、感情も忘れる。宿に帰ってから、その日のことを、日付をまたぐくらい、熱中して書く。この時点では、雑誌を想定しない。時系列で行動を書き出して、その時々で感じたことを書く。LOCKETは、本格的に執筆に入るまでに、かなり期間が空く。だからこそ、この作業は、内田さんの雑誌つくりにおいて、欠かせないプロセスになっている。


雑誌のテーマが決まる瞬間
雑誌のテーマは、ストックがいっぱいある。日々ぼんやりと考えている。
インドの旅で、たまたま見た朝日が、綺麗で感動した。そこから、朝日が見えるインドの東側を南下して、第3号が生まれたらしい。当時の内田さんは会社員で、朝が来るのが嫌だった。そうした自分の状況と、インドの朝日がクロスオーバーして、テーマが決まる。どんな一日、旅でも、1個は必ず感動がある。感動の根っこには、自分にとって大切なことがある。根っこへのまなざしを絶えず持っている。

第3号「朝日の光源」欲しいけど、どこにも置いてない


テーマが決まる瞬間の補足として、内田さんの言葉が印象的だったので
以下、そのまま抜粋する。

Q.雑誌でどんな特集を組むか、毎回どのように決められてますか。
自分の生活や半生に起因することから考えるようにしています。「もっとも個人的なことが、もっともクリエイティブなことだ」というマーティン・スコセッシ監督の言葉がありますが、ぼくは「もっとも個人的なことが、もっとも普遍的なことだ」という考え。極私的で自分から生気する言葉こそ、普遍的な価値観を帯びるように思います。


第5号「野生の造形」家に木彫り熊があった。
第6号「スキー」還暦を過ぎて、父がスキーを始めた。


個人的なことが、人の心を動かす
「極私的で自分から生気する言葉こそ、普遍的な価値観を帯びるように思います。」内田さんの言葉が、僕の記憶に残っている。
他でもない、自分だから生まれる関心。だからこそ、そこに取り組む熱が生まれる。雑誌作り(取材、撮影、編集、印刷という過程)を、ほとんど一人で行う、内田さんの原動力が、垣間見えた気がした。


おわりに
個人的なことは、自分にとって、特別な記憶でもある。パッと思いつく、自分のことも書いてみる。

毎年生まれる秋田犬に、囲まれて育った幼少期。両親と寝ている布団から、こっそり抜け出し、祖母の部屋でガスストーブ、朝日に暖まりながら、ゲームをした小学校低学年。

こうした非常に些細で、取るに足らない記憶が、自分の人格形成、価値観を、形作っている感覚がある。そんな個人的なことに、人は、自分を重ねて、人は共感するんだと思う。

これを読んでいるあなたが、何か表現したい、伝えたいと、思っているのであれば、その根っこにある、個人的なことに、まなざしを向けてみるのも、良いかもしれない。

興味を持った人は、ぜひLOCKETを一度手に取ってみて欲しい。

LOCKET 第5号:在庫僅少なので、友達には貸します
LOCKET 第6号:最新号。まだ販売しているはず

本記事で使用した画像は、表紙を除いて、すべてLOCKET公式サイトから拝借しました。

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