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【私の仕事】 忘備録(99)いつの間にか「手段」が「目的」に。。。

◆この記事の内容:

「手段」に夢中になると「目的」が見えなくなることを書いています。


【私の仕事】 忘備録(98)タイマッサージ店へ営業拡大とIT社長 からのつづきです。


LIVE動画撮影

「若い女の子が競馬と競艇の券を買うところからその結果までをLIVEで撮ってYouTubeでLIVE動画を配信する!」という事がIT社長(O社長)との打ち合わせで決定した。

【目的】を達成するための【手段】が決まった。そのため、僕はLIVE動画に出演できる若い女性を探すことになった。

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僕が日頃やっているエステ関係の広告動画の制作では、ベッドでエステをしてもらっている女性を撮影している。つまり、動かない対象を撮っている。撮影は1時間もかからないし、高度な撮影テクニックも不要。

LIVE動画を撮るのは自分にとって初めてだ。そう考えるだけでもワクワクする。

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もちろん、出演者の確保は簡単ではない。いつものエステ店の中国人ママさんたちの娘さん(大学生)の出演を打診してみたけど、断られてしまった。

僕が取引するエステ、整体店の中国人ママさんやオーナーさんたちは頭が柔らかく、堅いことを言わない。

でも、自分の娘が競馬や競艇のLIVE動画に出演となると拒否して当たり前かもしれない。

結局、1週間ほどかかってしまったが、自称21歳の日本人のOLさんを確保できた。1時間1万円で了解済み。

友達が日本橋で派遣型の風俗店を経営しているので、そこに登録している子を紹介してもらった。難波のスタバに来てもらって30分ほど話した。内容を説明すると、すぐにOKしてくれた。即金が必要らしい。ライン交換しておいた。

たぶんアルバイトだけど、OLであることは間違いない。実際のところ年齢は不明。関西の短大を出ているようだった。見た感じはいい意味で田舎の清純な子の雰囲気。まぁ、清純な子は風俗店で働きませんが。。


IT社長(O社長)へ報告

僕:「LIVE動画の出演者の件、うまくいきましたよ。その子の親の了解書はまだですけどね。(実際、親の了解なんて取らない。)」

O社長:「あぁ、それね。今すぐじゃなくてもいいよ。。。」

僕:「えっ、どうしてですか。」

O社長:「いやぁ、、それがね、そもそもソフトの販売が目的だろ? 最近、急に注文が増えたんだよ。これ以上、受けることはできない。無理して受けると仕事が雑になってしまう。当面はこの受注分でやっていけそう。」

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僕:「それはよかったですね。まぁ、LIVE動画の目的は、まず、O社長のYouTubeチャンネルの登録者を増やすことでしたからね。ただ、YouTube側としても、重要視しているのは登録者数の多さではなく、視聴者が動画を観た時間の長さ(視聴者維持率)ですからねぇ。。。」

*実際のところ、「視聴者維持率」の考え方は難しいものです。1人が1つの動画を長い時間、観るより、観る時間は短くても多くの人が観たほうが広告を載せている側としてはいいかもしれない。でも、たくさんの人が動画を観ても、それぞれ人、一人一人の視聴時間があまりにも短すぎると、、、つまり、広告を全部観ないうちに他の動画にいってしまうと、広告の効果は期待できない。

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O社長:「最終的な目的は、俺のYouTubeの登録者数ではないよ。商品を売って利益を上げること。最近急に売れ始めて、一日に3,4個注文があって利益が上がってきた。極端な言い方すれば、もうYouTubeでLIVE動画をする必要ないかもしれない。」

僕:「確かに。。ビジネスの最終目的は利益を上げることですからね。もう売れてるんだったら、広告の時間と経費の節約したほうが、さらに利益率上がりますもんね。」

O社長:「君も自分の会社の広告なんか、もうやってないでしょ。そこそこ、注文あるだろ?」

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僕:「まぁ、確かにそうですね。自分の会社の広告はもう打ってないです。毎月一定の注文があるので、広告する必要はないです。僕も一人でやってるから、これ以上欲張って注文を受けることはできないです。もしやるなら、スタッフを採用することになりますね。」

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と、社長にはカッコイイこと言ったが、毎月、注文をもらえるようになるまで、実は2年かかっている。最初のころは、自分で自分の会社の広告を作ってSNSで拡散して、跳び込み営業したり、知り合いに紹介してもらったり、苦労した。

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それと、本来の仕事以外に、パソコンの修理、税金控除関係の書類、店の内装の手伝いとか仕事以外のことを無償でやってあげた。まるで「無料よろず相談所」みたいなことをずっとやっていた。

そのことに感謝してもらって、今の継続的な注文につながっている。でも、それがまた、「足かせ」になっているのも事実。今の仕事とはまったく関係ないことが毎日、エステ店のママさんたちからラインで依頼される。

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O社長:「LIVE動画の撮影のこと、君のやってみたい気持ちは分かるよ。俺もやりたいもん。でもね、もう注文が増えてきたんだから、今すぐやる必要ないよ。ところで、その女性、どんなタイプ? 連絡先教えてよ。友達がね、東京でプロダクション関係の会社を経営してるから、若い女性を探してるんだよ。」

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僕:「はぁ?そのプロダクション会社って、もしかしてビデオ関係? なんか、あやしいなぁ、今週、その21歳のOLさんと会うことになってるんで、話してみて、僕の方から社長にまた連絡しますよ。」

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と言っておいた。

この社長とはちょっと慎重に構えよう。

どうやら、僕は、若い女の子をLIVE撮影するという「手段」が楽しそうだったので、「目的」が見えなくなっていた。

仕事ってやっているとき、その「手段」が楽しいことがある。「仕事が楽しい」と思える瞬間。このこと自体はすばらしいことだと思う。

でも、実際、やっていることは、利益に直結しているのか、もっというと、「それってする必要あるのか?」「目的を見失っていないか?」

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 サラリーマン時代は、管理する上司が自分の上にいたのでよかった。でも、今は自分が代表なので自分を管理する人はいない。

ただ、僕はラッキーだと思う。自分の会社には顧問を無料でやって頂いている大先輩方がいる。

このLIVE動画の件は顧問に報告していない。報告してもおそらく理解してもらえない。「ライブとは何か?」から説明しなければならない。。。

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それに、間違いなく「やめとけ」とアドバイスされるだろう。。


仕事における「手段」「目的」

仕事において「手段」と「目的」は、直結している。ある意味よく似ていてややこしい。特に数年かかる期間が長いプロジェクト場合は、「過程」が「目的」のような錯覚になってしまう。

5年間越しのプロジェクト(ODAで機材供与案件)の経験がある。やっているときは時間が経過するのは早く感じるが、結果が出るまではとても長い。

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「目的」達成のために、現地への調査出張から始まり、現地事務所設置、現地滞在、相手国から本国へ要請状を出させるロビー活動、入札設定、タイド(ひも付き援助)に持ち込む工作、国内指名入札、受注、生産、輸出、供与、アフターサービス、フォローアップ調査、、など多岐にわたる。

その都度の「過程」が上手くいったときに、あたかも「目的」が達成された感覚になってしまう。

特に相手国にタイド(ひも付き援助)にさせることが成功したときは、上司から褒められるし、ボーナスも上がる。もう、そこで仕事の「目的」が達成されたかのような錯覚になってしまう。

ひも付き援助とは、援助受入国に対し、給与国が行うプロジェクトに対する資材や役務等の調達を限定、要求する援助形式。 「タイド援助」とも呼ばれる。その逆は「アンタイド援助」。 現在では途上国に対する先進国の側での市場開放の重要性、「アンタイド援助(ひもつきでない援助)」が求められている。

tie=縛る ➡ tied(タイド)= 縛られた(過去分詞)➡ un(否定の接頭辞)+ tied ➡ untied(アンタイド)

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ひも付き援助 は簡単に言うと、日本の資金(税金)を使ってあげるので、「日本製」を欲しいと言いなさいよ、と相手国(援助される国)へ圧力をかけること。

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仕事の最終的な「目的」は、「仕事をやった」ではなく「利益」。つまり、儲かったかどうか。。。

何年もかけて苦労した仕事。入札にも勝って、機材を供与した段階のとき「やった!」という達成感が最高になる。これ、誰でも当たり前のことだと思う。

でも。。。資材輸入の際にかかったコスト、為替差損や全体の経費など原価計算して利益率を出してみると、利益がほとんどないときがある。

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このときの会社の報告会議ほどつらいものはない。他部署からもここぞとばかり攻め立てられる。「そもそもこんなプロジェクト、やらなかったほうがよかったんじゃないか!」と罵倒される。もちろん、ボーナスも大幅にカットされる。。

ただ、仕事の途中で「ほとんど利益でない」とわかっても、それを言えない日本の会社特有の空気がある。最初から自分が発掘した案件なら言えるかもしれないが、前任者の仕事を引き継いだ場合、サラリーマンの世界は「この案件、利益でないです。やめましょう」なんて言えるはずがない。

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もし上司に相談しても「何故、やりもしないのに分かるんだ?」と言われる。恐ろしいのは「前任者はダメだったけど君ならできるよ!」と魔法の言葉をかけられる。

ただ、日々の書類作成やデータ入力作業などの業務レベルは「本当に効率は上がっているのか?逆に増えていないか?」と考えることは必要だと思う。

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「業務効率」という言葉は昔からあった。ネットが発達してからは処理のスピードは急激早くなった。今まで1時間かかっていた業務作業もパソコンのおかげで10分でできるようになった。

時間効率においてパソコンの貢献度は大きい。

ただ、業務作業は早くなってそれ自体は良いことだけど、「そもそも、その業務って必要なの?」はなかなか言い出し難い。

特に業務効率化のためのソフトを開発し導入するのに大きな予算を使った場合など、「この業務自体不要かも。。。」なんてとても言えない。

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L/C決済

事務的な実話では、こういうことがあった。長年、貿易の仕事をやっていたとき、会社の調達部ルールで新規取引先との支払い条件は「信用状決済」を条件としていた。いわゆるL/C決済(Letter of Credit)。

L/C決済は、簡単に説明すると、買う方、売る方のお互いのリスクをなくす取引方法。

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外国の輸出会社(売る方)からものを直接買う場合、買う方(輸入者)がお金を払ったが、輸出者が品物を送ってくれないかもしれないというリスク。

売る方(輸出者)からみれば、品物を輸出したが、買う方(輸入者)がお金を払ってくれないかもしれないというリスク。

このあたりのリスクを買手(輸入者)と売手(輸出者)の間に支払いの得意な銀行が入ってやってくれる仕組み。

*取引ごとに銀行対して手数料がかかります。

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当時、僕の会社では信用状開設に関して事務的にとても手間がかかりました。今なら、ネットを使って専用ソフトで銀行とやりとりするので、申請から処理まで短時間で可能。でも当時は手書き書類もあったし、社内関係部署の決済印も多く、一部の書類は郵送も必要だった。

日々件数も多く、申請書類も多い業務処理なので、誰がやっても記入間違いが発生した。そうなると、また、最初から銀行へ申請し直しになるので、さらに時間がかかる。

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そこで、各関係部署から担当者を集めて「業務改善チーム」を結成した。2ヶ月ほどかけて各関係者へすり合わせ、関係部署へプレゼン、マニュアルを作成。

結果としてはL/C決済の業務改善効は成功し、時間的な効率化は大きかった。

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「達成感」はあったが、今思うと、もっとも別な方法があったのではないかと思うこともある。リスクが少ない何か他の支払い条件に変更すれば、L/C決済をする必要はなかったのではないか?

例えば、これは営業部には負担になるが、30%を前払い+納入時70%を打診してみてもよかったのではないか。。

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「この会議の目的を、L/C決済の効率化の方法を話し合う会議ではなくて、L/C決済をやめる方法を考えることを目的にする会議にしませんか?」と、もし、あのとき自分が言える立場だったら。。。

業務改善チームも、会議も必要ないし、他の仕事に時間を費やすことができたかもしれない。


決定までのスピートがはやいママさんたち

僕の関係している取引先のエステのママさんたちは、ものごとの考え方が違う。まず、いくら儲かるのか?「利益」の試算をする。

目標金額。先に「お金」の話。その「お金」を達成するために、どうすればいいか、広告費用をどれくらい使えるか、パッと頭で計算する。企業と店とでは規模は違うけど、決定までのスピートがものすごくはやい。

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そのスピード感について、詳しくは【私の仕事】 忘備録(18)臨機応変 をご参照ください👇 ルールを無視して決めてしまいます。

「目的」をはっきりさせること

友達、恋人、夫婦関係など人間関係においては「目的」なんてはっきりさせないほうがいいと思います。

でも、「仕事」においては、

【手段】と【目的】をはっきりさせるために「そもそも、何が目的だったのだろう?」と途中で振り返ってみて、明確にすべきです。

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孫氏の兵法」で「勝つために必要なのは武力だけではない」というのがあります。

つまり、目的は「勝利」であって、「戦うこと」ではない。

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相手より自分の方がはるかに弱く、勝つ見込みがないなら、正面から戦わず、同盟してくれる人を政治的な交渉で見方につけ、強い相手を圧倒すればよい。

目的は勝利、「勝つこと」である。「目的」を見失ってはいけない。

「戦うこと」、つまり手段が目的となってしまってはダメ。

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それでも、つい目の前のこと、戦ったりしてしまうのはケガをしたり、目の前で人が死んだり、物的現象が見えやすく、わかりやすいからでしょう。

ここで、「見えやすく」という言葉を使いましたが、「見える化」のことです。「見える化」もビジネスにおいて大切なキーワードです。

見える化】企業や組織における財務、業務、戦略などの活動実態を具体化し、客観的に捉えられるようにすること。 企業活動の分野以外でも、「見える化」という表現が用いられることがある。 「見える化」はトヨタの造語であり、本来は「可視化」。

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論点ズレ

いつの間にか「手段」が「目的」について書きました。これとよくにたことに「論点ズレ」があります。

例1)「人は定年後も働き続けるべきですか?」

働き続けることが良いこととか悪いことを述べるのではなく、自分はどう思うのかを訊かれているのに、「労働力の高齢化は生産性を下げるから定年を設けるべきだ」のように、個人の意見ではなく一般論を持ち出してしまう。

論点がすり替わってしまうパターン。


例2)「日本人はなぜ風呂に入るのが好きですか?」

「私はお風呂が好きで、特に夏は毎日・・・」など自分の好みや関係ないことを述べてしまう。

一般論と個人の主張を混同しているパターン。

例3)「日本人はなぜ社交の場でお酒を注ぎ合うのですか?」

ここは、「日本人は会社の仲間と交流を深めるために・・・」と一般的な「理由」を述べるところを、「お酒を注ぎ合うことは、お互いに相手を尊重し・・・」のように「役割」を答えてしまう。

理由と役割がすり替わってしまうパターン。

これは微妙で、自分もよく間違ってしまうところ。

例4)もっと多くの人が電気自動車にのるべきですか?

べきですか?に対する応答としては、自分の意見として電気自動車がもたらす効果や価値を述べるところを、「ガソリン車に比べて電気自動車は今後ますます生産が増えていくでしょう」と未来予測を述べてしまう。

価値判断と未来予測を混同してしまうパターン


自分も含めて注意が必要です。

つづく。。。



【私の仕事】 忘備録(100)語学好きの変態 へつづく。。。👇



*このnoteで書いてある記事はすべて実話です。「忘備録」として自分のために書いています。


◆ご注意:一部の記事はnoteのシステムによって18歳以上向けに分類されていますが、すべて18歳以上向けです。

よい子の皆さまは読まないでくださいね。