約22億円調達。カウシェの資金調達PR戦略の裏話
こんにちは、「シェア買いアプリ」を運営するカウシェPRの@sayoです。
突然ですが、2022年6月にカウシェは約22億円の資金調達を発表しました。
ありがたいことに本発表に対して多くのポジティブな反応をいただき、プレスリリースもたくさんの方にご覧いただいたほか(PR Timesは2万PV以上、CEOの調達に関するTweetも40万imp以上)、数々のメディアでも取り上げていただきました。
特に当日のTwitterジャックに関して、多くの方にコメントいただき、
(SNSを一部ご紹介)
いただいた反応の中には、資金調達の発表の裏側にある「PR」についてのものも多くあり、今回、自分の思考の整理も兼ねて、「資金調達時のPR」を中心に、ここ半年くらいの採用PRの取り組みをについてnoteで振り返って見たいと思います!
本稿がスタートアップの広報PR、また採用PRに関わる方にとって、何か役に立つ記事になれば幸いです。
(BuffのCEO中内さんにはカウシェの資金調達PRに関する分析noteもだしていただきました!ありがとうございます。)
少し前に資金調達PRのウラ側の記事を出されたGaudiyさんと並んでこんな紹介をしていただいておりましたが
まさに、資金調達に至るまでのめちゃめちゃ泥臭い内容を共有していきます😅
と、その前に…
2021年に発表した「退職しても失効しないストックオプション」
約22億の資金調達(シリーズB)の前に、2021年11月に発表した約8.1億円の資金調達(シリーズA)にまで遡ってお話しをさせてください。
私は、2020年9月の香港移住をきっかけに、当時勤めていたメルカリを退職し、フリーランスとして活動をはじめていました。カウシェには2020年9月のサービスリリースのタイミングから複業の広報PRとして関わり、Slackでの随時コミュニケーションと、週に1回30分のミーティングを基本として、カウシェCOOのKotaさんから組織課題や会社の社内ネタについて情報を収集し、PRプランを立てて実行するというような働き方をしていました。
カウシェのサービスリリースからしばらくは、アプリの認知度拡大になるようなPRに力を入れてきましたが、2021年後半からは今後は採用が重要になってくるという組織課題のシェアがあり、
またそれと同時期に、カウシェの今後のストックオプション(以下、SO)に関する方針の共有があり、CEOのMonさんからSO設計への想いを聞きました。
ちなみに、当時の日本のスタートアップでは、上場前に退職等をした場合、SOの権利を放棄しないといけないことが一般的でした。私自身が過去に働いていたスタートアップでも、「上場前に退職 = SOの放棄が当たり前」という状況に直面したこともあり、米国は違うのになぜ日本では必ず放棄する文化が根付いているのか?と疑問を感じたこともありました。
そんな状況下で、
今回カウシェが導入する制度を広くお知らせすることで業界のスタンダートを変えるきっかけが作れるかもしれない
それにより、スタートアップへの就職がより多くの人の選択肢になるのかもしれない
と強く感じ、社内向けの発表で終わらせず、外向けにも発表しようと提案。特に注目の集まる資金調達の発表時にあわせてアナウンスをすることに決定しました。
当時のプレスリリース:
同日に発表した約8.1億円の資金調達のプレスリリース:
そして発表した結果、予想を上回る多くの反応をいただきました。
退職後も権利が行使できるSOを導入している企業は、カウシェの発表前からありました。ただ、制度として社内にとどめるだけでなく、プレスリリースとして資金調達という注目度が一定集まりやすい時期に合わせて発表することで、より多くの皆様に目にしてもらい、「SOのあり方」について、改めて考えてもらう機会を作れたのかなと感じています。
この発表を通して、「カウシェ = 先進的な取り組みをする会社」として少しずつ認知をされるようになったのと同時に、スタートアップ業界でもSOについてオープンに議論がされる機会が増え、業界全体の新しいスタンダードを作るきっかけになったり、選択肢の増加に寄与することができたのでは、と改めてPRとして働くやりがいを感じました。
(その後、いくつかのSOに関するトピックで、取材や記事化、登壇の機会をいただきました🙏)
採用PR本格化シーズン到来
その後、カウシェでの仕事の面白さ、そしてSOを含む組織や人に対する考え方に魅力を感じた私は、時短という条件でカウシェに正社員としてジョイン。
(入社当時のことを書いたnoteはこちら)
カウシェにコミットする時間も増え、まずはチームを構築したいと思い、複業社員として新メンバーの @nao にPRチームに入ってもらいました。
そしてカウシェの採用力を上げるためにHRチームから現状の課題についてヒアリングする場を定期的に設け、当時すでに形が見え始めていた2022年6月の大型資金調達に向けて、まずは「あるべきなのに、ない情報」を揃えはじめました。
(当時は、HRの人間も私と同時に1人入社したばかりで、本当に外部にみせられる情報がない状態だったんです。笑)
下記にHRの課題と、それに対して行ったことをまとめます。
….などなど、中には「これはPRの仕事じゃないかもな?」という内容も、スタートアップにとって「領域侵犯は善」だというという認識で、どんどん揃えていきました。
(これが短期間で実現ができたのは、Notionという素晴らしいサービスと、弊社のスーパー複業メンバー @jim 、@nao のおかげ🎉)
いよいよ、22億円の資金調達発表。誰に、何を届けるか?
そして約22億円の資金調達の実行が見えてきたとき、改めてターゲットとなる層と、そして彼らに何を伝えるべきかについて考えました。
今のカウシェが重視をしているのは「採用」。
なので、「誰に届けたいか?」の部分は、広く言うと採用ターゲットである「スタートアップ界隈の方々・または、そこに興味がある方々」です。
「彼らに何を伝えるか」については、採用面談や社内メンバーとの会話を通して、「カウシェの未来像が伝わっていないことに課題がある」ことがわかりました。(「シェアすることで、通常よりお得に買えるEC」としての認知はあるが、その先のどういう姿を目指しているのか伝わっていなかったのです。)
なので今回、調達のタイミングではカウシェの未来の姿についてを社内・社外に伝えていくことを目標に置くことにしました。(社内には「ただ安く買えるECアプリ」だと思っているメンバーはいませんでしたが、将来の姿についてはっきりと自分の言葉で外部に伝えられる、言語化できるメンバーは多くありませんでした。)
カウシェの未来像について
ここについては、CEOであるMonさんに、徹底的にヒアリングをしました。
カウシェが今後やっていくこと、何を目指すのか、既存のサービスと何が違うのか、、、などのヒアリングを重ねることで、「カウシェの目指している姿」が以下の2つに整理することができました。
次に、整理した情報を元に、全社会議などで全員に発表することで、各メンバーの認識の統一を目指しました。
そして、メンバーにインプットしてそれで終わり!ではなく、聞いた内容をもとに、それぞれがどういう未来を作りたいのか思考してもらい、資金調達リリースのタイミングで「各部署が目指す未来についてをnoteで発表する」という課題を持ってもらいました。各メンバーのアウトプットにつなげることで、より深いところまで理解する状態を目指したんです。
そうして22億の資金調達リリースのタイミングで、各チームからnoteを公開しました。
プロダクトチーム
コーポレート
CS
MD
HR
CEOからの未来メッセージ
もう一つ伝えたかった、カウシェの「雰囲気」
未来の姿以外にも、カウシェの大きな魅力で、また組織バリューでもある「Enjoy Working」な雰囲気も、資金調達のタイミングで伝えたかったことです。
これが一番伝わるのは、いつも和気藹藹と仕事を進めるメンバーの写真。
プレスリリースのキービジュアルの写真撮影にはVCの皆様、正社員だけでなく、カウシェに複業として関わるメンバーにも参加してもらうことを、デザインチームの@kana と共に計画しました。
下記が撮影の際にみなさんへ共有した内容です。
VCの皆様の中には「そんなカラフルな洋服もっていないから…」と、前日にわざわざユ○クロに買い物にいってくださった方もいて、本当に感謝です🥺
そして出来上がったキービジュアルが、こちら。
なお、カウシェでは今までメンバーの個人写真を撮影したことがなかったので、キービジュアル撮影後は各人の写真も撮影し、メンバーページやSNS用に利用できるものを用意しました。
ちなみに香港に住む私自身も含めてですが、フルリモートのメンバーが多いカウシェでは、当日の写真撮影に参加できない人も多かったので、追加でこのようにアナウンス。
各自で撮った写真を@kana と@jim に補正してもらい、このようなカラフルな写真が完成しました!
また、noteや写真以外にも、外部の方々の目線で「カウシェの今とこれからの成長について」をみていただきたいと思い、昔からカウシェについて関心をもっていただいているメディアの方々を中心にご連絡し、リリースに合わせて取材いただいたり、興味をもっていただいた方とすぐ繋がりが持てるよう、調達の発表と同時にイベント開催の準備も行いました。
7月5日開催「シリーズB 22億円調達の資料裏側を公開! 〜カウシェCXO総出の初イベント〜」
7月13日開催「KAUCHE Tech Talk #1 最速で0→1を乗り越えたエンジニアリングの裏側 〜 Backend、iOS、Android全て見せます〜」
7月20日開催「【Backend LT会】3社が向き合う解きがいのあるイシューとは」(株式会社令和トラベル、株式会社エウレカ、カウシェの合同イベント)
そして22億円調達の発表当日
プレスリリースを始め、各チームが用意したnote、外部メディアに取材いただいた記事などをたくさんの人に届けるべく、Twitterでの拡散最大化を狙い、Notionに時間単位での投稿計画をまとめました。
また、各記事を誰がメインでTweetするかを決めて、いいね・RTなどをひとつのTweetに集める戦略を取りました。Tweetが完了したら、slackチャンネルに投稿し、まずはカウシェメンバーみんなでいいね・RTをして初速を付け、たくさんの人に見てもらう工夫も行っています。
こうしてTwitterのタイムラインジャックが出来上がりました。
また、先述のプロフィール写真もSNSのアイコンに設定。
プロフィール写真については、カラフルなのが功を奏したのか?予想以上に反応いただき、SNS上でより多くの人の目に触れてカウシェの雰囲気を感じ取ってもらうという目的を達成できたのかなと思っています。
以上、気がつけばすごい長文になってしまいましたが、カウシェの大型資金調達発表を山とした、カウシェのここ半年の採用PRの活動についてでした。
このnoteがそのまま参考…とはいきませんが、みなさんが何かしらのモーメントを作りたかったり、パーセプションをとっていきたいときに、何を目的にし、それを誰に伝え、それをどうHOWに落とし込むのかの考え方のヒントになれば幸いです。
また、このnoteを通してお伝えしていることですが、カウシェは絶賛採用中です😊
さまざまな部署で採用をしているので興味のある人はこちらをご覧ください。一緒にenjoy workingしましょう🌈!
Product Team向けには、オンラインイベントも開催しているのでこちらも是非。
いきなりエントリーはハードルが高くても、カウシェについて知りたい!実際の調達をやってどうだったのか?などなど聞きたいなどあれば、メンバーがカラフルな写真とともに、meetyを用意しているので、こちらからカジュアル面談もどうぞ🙋♀️
私もこのnoteをきっかけに新しい繋がりができれば嬉しいなと思っています。カウシェのこと、PRのこと、また私が住んでいる香港について(!?)なんでもお話しいたします。
TwitterのDMも開放しているのでお気軽にご連絡ください😊
🐣Twitter🐣: https://twitter.com/Sayo_OTK
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