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新著書がくる!12〜バナナストローの12月〜私の医療事故 後日談①〜

こんにちは!勝浦です。
来る11月1日(水)に発刊する新著「ひと言でまとめる技術」
その完成までの軌跡をコラムで連載しています。
amzn.asia/d/g0dMOqO

今日のコラム内容をひと言でまとめると、
「何事も学びに変えていこう」です。

前著の出版直前に、僕は医療事故に遭いました。

ここ一年で読者になった方は知らないと思いますが、
「バナナストローの12月」とは、その医療事故の際に書いたコラムのタイトルです。なんでこのタイトルかは読み進めていけばわかります。
安全な手術のために入院したら、看護師に医療ミスを起こされ、
手術が中止になり、しばらく日常生活にも支障をきたし…と実に「痛い」お話です。(1話から5話まであります)

で、この後日譚を書こうと思っていたのですが、
タイミングを逸したまま時が過ぎてしまいました。
いい機会なので振り返ってみようと思います。

なぜなら、この惨事で学んだことは、新著にもかなり活かされているからです。

少々、時計を戻しますのでお付き合いください。

医療事故直後からしばらくは、健康状態の回復と経過観察のための時間に
あてられることになりました。その期間中、

まず「事故に至るまでの医療費及び、医療ミスの回復にかかる医療費」
が全額免除になりました。

病院側のミスなんだから当たり前だろ?という気もしますが、
さすが、お役所仕事。こんな当然の決定にも数ヶ月がかかり、フラストレーションが相当溜まりました。

そして免除決定と同時に「要注意患者」になりました。
一度、医療事故を起こすと誰でもそうなるのかはわかりませんが、
それ以降の診察にはすべて、大学病院の職員が最初から最後までずっと僕に付き添うことになりました。
病院に行くと、入口で出迎えられるわけです。ぱっと見、VIPっぽい待遇ですね。おそらく、医療費免除の手前、事務方が正確に診療状況を把握しなければならなかったのでしょう。
にしても、僕の診療を待ってるあいだ(それもいつも2名体制で)何をするでもないのに、ずいぶん無駄なことをするなと思いました。

でも、これだけのことが起きたのに「連絡ミス」を繰り替えされました。
当時のコラムでも書きましたが、
大病院の「医師、看護師、事務方」の連携が取れていない状況は異常です。
診療、予約、精算の担当が分離しているからそうなっているのでしょうが、
共通のプラットフォームを使っているはずなのに、何度もミスをされました。
具体的には、次回予約が取れました!と言ってるが、次行ったら取れてない。医療費免除なのに、受付で薬代精算を要求される。
などなど、本当に信じられないくらい連絡ミスが多かったです。

周囲の知人たちからは「そんないいかげんな病院、サッサと変えなよ」と言われましたが、それこそ病院側の思う壺だと思い、「最良の待遇で、この落とし前をつけてもらうから変えない」と頑固に言い張っていました。
だって病院側からしたら、体よく転院してくれれば、自分達のミスの事後責任を取らなくて良くなりますからね。そうは問屋がおろしません。

そんなこんなで、まず回復の治療と経過観察がなされ、一定期間が過ぎてようやく、本来行われるはずだった手術のために再入院する運びになりました。

その入院予定日、数週間前のある日。

突如、主治医からメールが届きました。
「◯月△日に、打ち合わせをお願いしたいので病院に来ていただけますか?」
打ち合わせ…?今さら何を打ち合わせるの??また何かトラブルでも…?

訝しげに指定日に病院まで行くと、いつものように病院職員がお出迎え。
ところが、診療ゾーンではなく通路の奥にある、関係者口を通過していきます。
「え?どこに行くんですか?」
聞いても職員は曖昧にしか答えません。静かに先を進んで行きます。
と、そこは病院の中にこんなスペースがあるのか!と驚くような立派な応接室でした。
「少々ここでお待ちください」と促され、巨大なソファに座って待っていると、ノックの音。扉を開けて白衣姿の主治医と執刀医が出てきました。あの悪夢のバナナストロー期以降、久しぶりに見る顔です。と、二人はいきなり切り出したのです。

「この度は、当病院のミスにより、ご不便、ご不快な思いをさせて申し訳ございませんでした」

え?あ、謝罪だ。ちゃんと非を認めて謝るんだ!病院って…。
唐突な謝罪タイムに困惑しながらまず思ったのはそれでした。
今まで一度も病院から「医療ミス」と認める発言も、個人からも組織からも謝罪がなかったのに。
二人の医師が僕に頭を下げていると、その後ろに控えていた「循環器科長」と名乗る、年配の医師からも同様に謝罪の低頭がなされました。

「私からも、謝罪させていただきます。申し訳ございませんでした」

今更、謝られてもな…と心の中で思いつつも、いい大人が3名、しかも白衣の医師がずっと自分に向けて首を垂れているので(おそらくこんなシーン、人生で2度と見ることはないでしょう)

「はい…もういいですよ。過ぎたことは戻せませんし。今後のことをちゃんとやってもらえば」

といった、当たり障りのない反応をしながら、てか、打ち合わせってこれか。再手術前にケジメをつけておこうってこと?それ必要?来る意味あったのか…?とゲンナリしていました。

「今日のこの場の趣旨は理解しました。医療事故の謝罪として受け取っておきます。もう帰ってよろしいですか…?」

そう言いかけたとき、扉を開けて、泣きそうな表情の30代後半くらいの女性看護師が入ってきました。

瞬時には誰かはわかりませんでした。ん?誰?看護科の責任者?婦長さん…?にしては若いな。やがて、その顔にようやく思い当たりました。

事故が起きて以降、一度も会うことも言葉を交わすこともなかった、医療ミスの張本人でした。

つづく

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