柏もち

20代の女2人が交換日記を始めました。 柏:働いたりお茶を点てたりする。海が好き。 …

柏もち

20代の女2人が交換日記を始めました。 柏:働いたりお茶を点てたりする。海が好き。 もち:絵を描くOL。映画と音楽と散歩が好き。

最近の記事

小満

あー 海に行きたいなあ と朝起きて思った木曜日。近場の海ではなく、もっと遠くの九州とか、あっちの方。 別に嫌なことがあるわけでもない。 会社に行くのも正直そこまで憂鬱ではない。自分のペースで仕事を回せるようになって、職場の人との関係も良好で。1日はあっという間に終わる。 ただなんとなくうっすらと感じるのだ。 自分の感覚が濁っていくような焦燥感が。自分の中に流れている細い川のせせらぎが聞こえなくなる様な気持ち。 もしくは、年齢、社会という枠組みにじわじわと四方から追い詰めら

    • 忘れないこと

      久しぶりに開いた。 書きたいことはたくさんあったけど、どれも忘れてしまった。 生活をすることと考えることのバランスを取らなければ、と少し焦っている。 大事にしている「とりとめないこと」を見過ごし忘れるような大人になりたくない、と17歳の頃の私の声が聞こえる。 当時と同じくらい髪が伸びた。 痛いくらい自意識過剰で壁を作って人を遠ざけていたくせに、毎日傷ついていた。ナイーブな少女は大人になり、社会に適応するため折り合いをつけられるようになった。 苦労して入った会社で数年働けてい

      • アイソレーションタンク

        誕生日の前日、六本木にあるアイソレーションタンクへ行ってきた。 そもそもアイソレーションタンクを教えてくれたのはもちだった。スピリ(スピリチュアル)を面白がり、自らの身をもって楽しんでいる私たちはそういったスピリ案件を見つけるたびによく情報共有している。 〜そもそもアイソレーションタンクとは〜 感覚を遮断するための装置であり、光や音が遮られた空間で、皮膚の温度に保たれた高濃度のエプソムソルトの塩水に浮かぶことで、皮膚感覚や重力の感覚を大きく制限することができる。リラックスを

        • くーちゃん

          昨日、実家で飼っていたネコが亡くなった。 13年生きた。名前はくー。 骨壷に名前を書くとき、最後なのに母は「くー」か「くぅ」で迷っていた。 くーちゃんは農家で生まれ、ももという兄妹ネコと一緒にもらってきた子だった。 中学一年生のとき、部活が終わって体操服のまま家に帰ると、まっしろいふわふわが私を見上げていた。片手に乗るくらいの小さな体で、一生懸命ミーミー鳴いていた。 母は「1匹残すのはかわいそうだから、2匹もらってきちゃった」と肩をすくめた。 突然一家にやってきた小さな天使

          新しい場所へ

          文章が書けなくなってだいぶ更新が遅れてしまった。 ソーリー。 色々なことがあった。 本当はもっと些細なことも書きたいのだけれど、大きなことで言えば引越しをした。 新しい街のことはとても好きだ。駅を出ると少し坂になっていて、曲がり角にちょうど花屋がある。 最近少しずつ日の光が明るい春の陽気を含むようになった。でも、まだ冬の澄んだ空気も残している。 穏やかな午後、若い夫婦や大きな犬を連れた人が花屋の前で立ち止まり、言葉を交わし、季節の花や植物を持ち帰っていく。 そうした様子を日

          新しい場所へ

          2021.12.31

          今年が終わりかけている。 祖母の家で、具がネギだけのシンプルな蕎麦と、海老天を別皿で食べた。衣が海老より2回りも大きかったので剥がした。25才の体にサラダ油は大敵だ。その代わり、甘酢につけた大根はしみじみ美味しく感じた。体が喜ぶものは変わるね。 とうとうアラサーかよ、と弟に言われた。 年末だけは何となく観るようにしていたテレビ、今年は全く観る気力が湧かない。椎名林檎が好きなので、彼女が紅白に出る年は必ず観ていたのに全く興味がなくなってしまった。 今年もコロナの影響で親戚が

          2021.12.31

          月日はたって

          大きな地震があった日の翌日、電車が走っていなかったのでバスに乗って会社まで行った。 初めてバスに乗って通勤したけれど、乗ってくる人達を眺めてたり普段とは違う道を走ったりして面白かった。 知らない町並み。知らない商店街。知らない人の家。 バスに乗ることは昔から好きだった。 平日の昼間は特に、入り込んでくる暖かい日差しとバスの揺れが心地よく、自分が生活の中に浮遊しているような感覚になる。 大学生の頃、よく吉祥寺や三鷹の方までバスに揺られてぼーっとしていたことを思い出した。

          月日はたって

          ダイエット記録

          ものすごく久しぶりに書く。 柏、更新しなくてごめんなさい… ここ最近心がざわついていて文章を書くことができなかった。人に読ませられるようなことが書けない… その時期のことはもう少し整理ができたら書くことにする。 そして唐突だけど、私は痩せなきゃいけない理由ができた。3キロは痩せたい。とか言いつつ体重計が家にないので、見た目が少しでもシュッとしたら良いなってくらい… 取り敢えず1ヶ月間ゆるめのダイエットをしようと思う。早速今日から始めます。 以下、もち流ダイエットの掟を定め

          ダイエット記録

          生物学的女

          働いて疲れて帰っていて、ふと視線を感じて左を見ると、まあるく大きくひかる月が浮かんでいた。 なんとなく視線が交差している気がして 「月でか。」 と呟いた。 電車の中で座りながらLINEをチェックし、ふと思い出して窓の外を見たけれど何もなかった。 何も浮かんでいなかった。 女であることや女としての体を持つことに対してたまにどうしようもなくなる 精神としての私と容れ物としての私の体があるような気がする 私の精神はそことは別にあるのに外からは容れ物しか見えない 人の視界に入るこ

          生物学的女

          絵がある生活

          展示が終わってから1ヶ月以上経ってしまった。柏がとても嬉しい感想を書いてくれたので私も早く書きたかったものの、文章を書く気力が湧かなかった。というか、展示を終わって何か感情が生まれるものではないのかもしれない。 それよりも、展示に至るまでのプロセスが重要だったと思う。深夜、シューゲイザーとかサイケ音楽を聴きながら、自己肯定感マックスの躁状態で描く絵は本当に気持ちよかった!完全にゾーンに入っていて、私は「自分の絵めちゃくちゃいいじゃん」と悦に入っていた。多分このゾーンは良くない

          絵がある生活

          記憶と夕日

          昨日18時ごろ仮眠し、目が覚めると窓の外が藍色に染まっていた。部屋の中はもう一段深く濃い青色で、私は布団にくるまりながら夢と現実の境がつかない頭でぼんやりと外を見ていた。 一定の間隔で電車が横切っていく。 夜になろうとする藍色の中を通り抜ける光。光の中には名前も知らないそれぞれの人生を生きる人がいて、上には月が控えめに浮かんでいた。 何となく寂しい、と思った。 ただそこにはどこか懐かしさも含まれていた。 この理由のない寂しさはおそらく存在することに対する孤独で、誰の根底にも

          記憶と夕日

          雷雨とお菓子作り

          3月13日の土曜。 目が覚めると、微かに雨の音が聞こえていた。そういえば今日は大雨の予報だったなと思い出す。6畳の部屋は沈んだグレーに染まり、朝なのか夕方なのかわからないように見えた。 動くのことが億劫でしばらく携帯をいじる。段々鼻が詰まってきて、花粉薬を飲まなきゃとしぶしぶ布団から出る。13時を過ぎていた。 夜は友人宅でジンギスカンをすることになっていたので、昼食は簡単でヘルシーなものを作ることにした。暗いキッチンに電気をつける。 買い溜めしていた糖質ゼロ麺を取り出し、水

          雷雨とお菓子作り

          すべてを空にする

          (前回のつづき) 2日目 朝の5時という変な時間に、妙にスッキリと目が覚める。 頭の中で音楽が鳴っていた。かなり大きな音で鳴っていた。でも何の曲が鳴っていたのかは思い出せない。 朝5時に目覚めたのはいいものの、なにしろ朝ご飯の時間がないので何をしたらいいのか分からない。 とりあえず青汁を作って、ソファに倒れ込む。立っていることが辛いのだ。 電車の中では携帯もいじらずにただ朝の街並みを眺めていた。相変わらず歩くのは遅い。 たった1日断食しただけではあるが、導入の食事期間も含

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          もちの由来

          「もち」というペンネームにしたのは、単純にもちもちした食感の食べ物が好きだからだ。 それに最近身体がもちのようにふっくらしてきてしまったこともある。 冬からご馳走続きで、胃が伸びに伸びていった。気付いたら食べることを辞められなくなり、過食気味になっていた。 お腹いっぱいのはずなのに食べることばかり考えてしまう。口寂しさから、ダイエット用の間食にしようとしていたナッツをつまんでしまう始末。 こういうとき喫煙者だったら良かったな、と思うほど、私は止まらない食欲にうんざりしていた。

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          ファスティング 1日目

          健康的な合法トリップを日々探している私は、ある時もちにその一種としてファスティングがあるらしい、と言う話をした。 (ちなみに合法トリップとは法に触れない方法で意識を覚醒させること。分かりやすいのはサウナで整う感覚) ファスティングを簡単に説明すると、酵素ドリンクを飲みながら行う断食。ダイエット目的というよりもむしろ、デトックスだったり内臓を休めて嗅覚や味覚を改善するらしい。ただしエネルギー源であるブドウ糖の代わりにケトン体が作られ、脳のα波が出てトリップできるのは3〜5日目

          ファスティング 1日目

          私たちの歩幅

          柏と約束している時間は12時半。 それなのに、10分前になっても私はまだ髪を梳かしていた。遅刻癖は治らない。 忙しなく準備をして、慌てて扉を開ける。 春一番、快晴だ。 30分遅れで到着した私を、柏は全く怒らずに待っていてくれた。 待ち合わせをすると、大抵彼女が先に到着して待っていてくれるが、携帯をいじって暇潰ししている様子はない。 いつもぽやっとどこか遠くを見て、ただ私を待っている。 どんなに人が多くても、彼女だけは宙に浮かんでいるように見えて、すぐに見つけられる。私はそう

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