すべてを空にする

(前回のつづき)


2日目
朝の5時という変な時間に、妙にスッキリと目が覚める。
頭の中で音楽が鳴っていた。かなり大きな音で鳴っていた。でも何の曲が鳴っていたのかは思い出せない。
朝5時に目覚めたのはいいものの、なにしろ朝ご飯の時間がないので何をしたらいいのか分からない。
とりあえず青汁を作って、ソファに倒れ込む。立っていることが辛いのだ。
電車の中では携帯もいじらずにただ朝の街並みを眺めていた。相変わらず歩くのは遅い。
たった1日断食しただけではあるが、導入の食事期間も含めると明らかに普段と比べて食べている量は少ない。
ふわふわしながら歩いていると、世間のリズムから少し自分が離れた場所で浮いているようだった。


仕事中はやはり、驚くほどお腹が空かない。
確かに忙しいけれど、忙しさによって忘れているというよりはむしろ、私のお腹は食べ物を胃に入れて消化するという普段の作業をやめてしまったようだった。
待っても来ないと分かると要求するのをやめる。
私の身体は生命維持に対して割とドライなのですか。なんとなく身軽な感じもある。

ただ、午後を回ったころから段々とぼんやり度が上がりはじめる。糖分不足か。(これからファスティングする人は市販の酵素ドリンクなどを飲んで行うのをおすすめする)
周りの人に「なんだか元気ない?」と心配されていたが、ハハハと笑って適当にごまかす。


帰り道はもう昨日のように食べ物に目はいかない。
食に対する興味と関心の薄れ。
ただ、お腹は空かないけれどもさすがにこれ以上続けると倒れるかもしれないと思い、回復食への移行を決断。
スーパーでなるべく具が入っていないお味噌汁を探し、あおさ味噌汁を購入。

帰ってお湯を注ぎ、そっと口に含む。あたたかい。
わずかに口にしただけなのにじわーっと全身にお味噌の優しさが染み渡り、ああ、これが食べ物の味か。と昔大切にしていたものを見つけた時のように懐かしく思う。
久しぶりに食べ物と再会し、柏のゆるゆる断食は幕を閉じた。
翌日のお粥を噛み締めたことは言うまでもない。



まとめ
最終的には-2kg。ただそれは水分や食べ物の重さが抜けたもので、ご飯を食べ始めてからは+1kgとなったので結果として-1kg減。
期間が短い為求めていた覚醒状態までは当たり前だがいかなかった。
しかしながら生まれて初めて胃をリセットする経験をしたことによって、エネルギー不足による体力の低下は起きたものの、一方で頭はクリアになっていたことも事実。
それは図らずも、最近の私のテーマである"手放し"と繋がっていたのかもしれない。

人でも物でも肩書きでも、何かを所有している状態は安心する。自分の周りに置いておくことによって、「自分には何もない」という気持ちを紛らわすことができるのだ。
たしかにそれが必要な時もある。ただ同時に執着していて身動きが取れない状態ともいえる。
食事に置きかえると、「ずっと何か(お菓子やコーヒー)を口にしていないと落ち着かない」「お腹がはち切れるまで食べないと満足しない」といった状態から抜け出して、腹八分で止めるという感じかな。

過剰なもの、自分を縛っていたものを手放すことによって余白が生まれる。
そこへ新しい風が入ってくる。
そんなことを今回のファスティングで学んだのでした。(本当か)
今度は2人できちんとした方法でやりましょう。


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