kaori ogawa

日本語教育に携わっています。

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最近の記事

忍耐と工夫

この北の大地も春が近づいてきて、暖かいところだと桜も咲き始めたようだ。 私も淡々と新しい一人の時間を過ごしている。 書きたいこと、記録したいことはあるのだが、書き始めてみると(ん これはまだ公にしてはいけないコンテンツが含まれるな…)となって断念、ということがあり笑、なかなか先に進まない。 以下、多くの人が経験しているだろうからいいかなぁ。 ホテルで働いている某国人が言っていた。清掃のアルバイトに来る某々国人、まず、一言でいうと汚い。体が臭う、洗っていない髪が落ちる。掃除

    • 最善を尽くす

      夫が他界して四十九日も過ぎ、3か月になろうとしている。 絵は娘制作。許可を取っていないが本人のnoteで公開されているものなのでいいでしょう。亡くなる1年ほど前か。 さて、夫の父親が亡くなってからは29年経った。夫と同じパーキンソンだった(夫が父親と同じというべきか)。それで来るべき車いす生活のためにこの地に平屋を建てたのである。結局、車いす生活になる前に入院3か月ほどで他界したのだが。 だから父のときは介護はなかった…はずだが、父が入院した後当時北見に住んでいた私

      • 大忙し

        夫が他界した。 それ自体は常に覚悟していたことだったが、ただ実際、あまりにも唐突かつあっという間の出来事で、この場面転換のはやさは夢よりも夢みたいだなと思った。 ご存じかもしれないが、家で(というか病院以外で)死亡すると事件性がないか確認のために警察が来る。 今回の場合、家で心肺停止、救急車で病院に運ばれ病院で死亡を確認した。が、既に家で心肺停止だったことから 病院・病室に警察が来て聞き取り→家に行って実況見分(?)→また病院に戻って終了→それから葬儀屋の車で遺体と共に

        • 常識的

          小学校や中学校などは文部科学省の管轄下にある。では日本語学校はどうか。 これが少々複雑で、もちろん文部科学省(文科省)と、外国人が対象であるから出入国在留管理庁(入管)が大きく関わる。日常的には入管との良好な関係(笑)が重視されているが、新たに学校を始めるときには文科省の面接を受けなければならない。 幸か不幸か、この面接を二度体験した。内容は口外できないので抽象的な話しかできないが、印象として; 1)人が大事。専門家としての能力経験、社会人としての責任感など、個人の資

          食べて、語る

          私もベトナム料理が好きだが、タイ人朋友も好きだ。子どもの頃から食べ慣れているらしい。(だから私の「ベトナム料理食べに行こう」というときのワクワク感は理解できないらしい。田舎の日常的な食べ物だから。私が甘エビの刺身に大して心躍らないのと同じようなものか) タイといっても朋友が育った東北部のその町にはベトナム人も多く住んでいて、その地域の食べ物を共有しているらしく、ベトナム料理に入っていたソーセージ状のものを「私の田舎の味」と言っていた。 朋友はタイ人だが父親は潮州の人、母親

          食べて、語る

          同化は求めないが

          10年振りが続いている。今度はロシアの卒業生と会えた。やはり、全然変わっていなくてびっくりした。誰一人日本語を話す相手はなく、日本のドラマを見ているだけだという彼女。それだけでよく日本語力をキープしているものだと思う。 5年振りの香港の卒業生とも会った。ほぼ毎年嵐のコンサートに参戦するため来日していて何度か会っていたが5年空いた。こちらもキープしている。 日本、日本語とつながっていたいと思う人は強い。 一方、日本語を勉強していても、日本に長く住んでいても、日本に興味を

          同化は求めないが

          食っていけなきゃ

          もう昔の話だから書いてもいいと思う。 私が日本語学校の非常勤で仕事を始めたのは今世紀初め。コマ給(授業45分に対する報酬)は千円だった。当時非常勤は新人は週2コマ、4コマが当たり前(これ自体は肯定的な意見も多いと思う。授業準備が大変だから。授業準備をどう定義して、それに対しての報酬をどうするかという議論は別にして)。私は週8コマで多い方だった。それでも月32000円。 入社(?)時、同期の一人が昇給に関して学院長にいろいろ質問し、説明を求めた。そのやりとりの後の学院長「この業

          食っていけなきゃ

          心臓を 捧げるな

          自分の話です。 前々職は日本語学校の非常勤講師を十数年、前職は日本語学校の校長だった。 どうして校長を、という話だけで二千字書けるが、今回は前々職時代の話。これも「私も大人になったから深酒と苦労自慢はしない」という自分ルールに引っかかりそうではある。 多くの教育職の人々が、授業準備に対する報酬について意見を持っているだろうし、それが報道で話題になることもある。私は何でも自分の勉強になると思って何でもやった(家族も教育職で、この姿勢に肯定的だった。その良し悪しは別として、ネ

          心臓を 捧げるな

          介護中心生活からの学び

          入院生活でもいろいろな方が関わって助けてくださるが、在宅介護だとその数が倍になる(ような気がする)。家に来てくださるのもケアマネジャー、訪問看護、理学療法士、ヘルパー、介護用品レンタル業者。時に訪問歯科医、訪問眼鏡屋。 普段から非常にこまめに連絡を取り合っているようで、例えばヘルパーさんにお伝えしたことも瞬く間に訪問看護さんに共有されており、助かる。 たまに関係者一同集まってミーティングもある。これが興味深い。 例えば最近車椅子からの転倒が多い、というとき。レンタル業者から

          介護中心生活からの学び

          「~んです」の話

          職場のFBに書いたものです。初中級、N4くらいの学習者を対象と考えています。 みなさん、ここはまだ寒いけど、春です! 4月から新しくクラスが始まります。友達できるかな? 前回まで、会話の日本語の話をしてきました。 今回も会話ですが、ちょっとちがう話にします。 先週末、小樽(おたる)に行ってきた留学生が話しています。小樽は札幌のとなりの、とてもきれいなところです。 「土曜日、小樽に行きました。運河(うんが)を見ました。とてもきれいでした。昼ごはんはすしを食べました。とても

          「~んです」の話

          「~かな」の話

          職場のFBに載せたものです。初中級、N4程度の学習者を対象と考えています。 みなさん、こんにちは! あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 北海道の冬は寒いですが、楽しいこともたくさんあります。 みなさんは何がしたいですか。 「ウィンタースポーツをしたことがありません。スキー、スノーボード、スケート、あっカーリング。 どれがいいですか…」 はい、それ、自分が自分に言う〔ひとりごと〕ですね。普通形にしましょう。 「ウィンタースポーツをしたことがないな

          「~かな」の話

          目的とは

          【介護中心生活からの学び1】 介護職で重要なことの一つに「小さな変化も逃さずに/報告、共有する」ことがあるそうだ。 うちの場合交換日記方式の連絡ノートを置いていて、みなさんここに書いていく。(事業所内部の連絡網ももちろんある) 例えば: ある日、ヘルパーさんが夕食の支度をして「ご飯が食べにくいようなのでおにぎりにしました」と書いた。 すると、次に夕食を担当するヘルパーさんもおにぎりにする。 すると… 「おにぎりにする」ことだけが引き継がれ、持ちにくかったり、口に入れにくかった

          目的とは

          会話の文末の話

          職場のFBに載せたものです。初中級、N4程度の学習者を対象と考えています。 みなさん、こんにちは! 北海道は旅行をする人が増えてきました。 みなさんもこんなきれいな海を見に行くのはどうですか。 「いいですね。行きたいです。」 「では、日曜日に行きませんか。」 「日曜日ですね。いいですよ。」 はい、いいです。それ、友達と話すときはどうしますか? …そう、普通形です。 「いいね。行きたい。」 「じゃ、日曜日に行かないか?」 「日曜日だね。いいよ。」 うーん… 文法は正しいで

          会話の文末の話

          「経験を活かす」

          日本語教育の研修会でアドラー心理学の先生のお話を伺った。以前話題にしたことがある、インストラクショナルデザインも専門にしていらっしゃる。 アドラー心理学についてはまったく存じ上げないので詳しいことは言えないが、ああ… と共感できる部分が多い。以下引用。 ・「学ぶ/教えるとはどういうことか」→学校や教室をモデルにしない ・学ぶとは変化することであり、教えるとは変化を促すこと。知識を蓄えることではない。考え方を変え、行動を変えること。                 ©向後千春

          「経験を活かす」

          気持ちを伝える授受表現

          職場のFBに載せたものです。中上級、N2程度の学習者を対象に想定しています。 寒くなってきましたね。みなさん、お元気ですか。札幌はもうすぐ紅葉できれいになります。 学生:「紅葉が見たいんですが、どこに行けばいいですか。」 (おっ、「~んですが」が上手に言えた!)(←先生の心の声) 先生:「近いところなら中島(なかじま)公園、少し遠くてもいいなら芸術の森もいいですよ。」 学生:「そうですか。ありがとうございました。」 こういうとき、学生はあとで何と言うでしょうか。 「先生

          気持ちを伝える授受表現

          終助詞の話【ね】【よね】

          職場のFBに載せたコラムです。中上級、N2程度の学習者を対象に想定しています。 みなさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。 ここまで、「文の最後のひらがな一つ(終助詞)」の話をしてきました。もっともっと話は続くのですが、ちょっと気分を変えて、「ひらがな二つ」の話をしましょう。 会話が聞こえてきました。AさんとBさんが雪まつりの思い出の話をしているようです。 A「去年は雪まつりが中止で、寂しかったね。」 B「そうだね。あれ、いつだったっけ? 昼

          終助詞の話【ね】【よね】