亀井 孝のアーチェリーノート

アーチェリー選手 亀井孝の娘「Ai」のnote。 2021年8月4日、父が大怪我を負…

亀井 孝のアーチェリーノート

アーチェリー選手 亀井孝の娘「Ai」のnote。 2021年8月4日、父が大怪我を負いました。言葉足らずで不器用な父から毎日届くメールを記録するアカウントです。

マガジン

記事一覧

四苦なあなた

「ローンの返済」「家庭の不和」「仕事の行きづまり」、そして「いくら練習しても当らないアーチェリー」と四重苦のあなた。 そんな四苦に苦しむ「四駆」をお持ちのあなた…

当たるようになることは、グルーピングが小さくなること

テーマを持って練習する。うまくなる練習をする。テーマに集中する。その結果、当たるようになり、点数が出るようになるわけですが、ここでも多くのアーチャーが過ちを犯し…

ヘタになる練習をいくらしても、ヘタにしかならない

みんな「当てたい」「勝ちたい」「強くなりたい」と思って、一生懸命練習します。しかしアーチェリーは、練習量に比例してうまくなったり、点数が上がったりするものではあ…

ボウスタンド昔ばなし

むかぁし、むかぁし尾張の国に、アーチェリーが大好きなお爺さんが住んでおったでのぅ~。お爺さんは毎日一生懸命練習するのですが、矢取りに行くときに弓を置くスタンドに…

Long Beach

ここは2年後、ロサンゼルスオリンピックのアーチェリー競技会場となる、ロングビーチ・エルドラドパークにある公営のアーチェリーレンジです。ダレル・ペイスが2度目のゴ…

John C. Williams

  1971 York World Championship   1972 Munich Olympic   1972 Gorizia World Field Championship オリンピック、世界選手権、世界フィールド。史上このトリプルク…

ごめんね

受傷からもうすぐ3年。同じような障がいの方から、「どうですか?」という質問をいただきます。 「まだ死にたい時期です。」 と答えると、なんとなく、それですべて理解…

2006-2007年大晦日

2006年大晦日は、ノースキャロライナ州ヒッコリーの会員制ゴルフ&スパのクラブハウスでの、ニューイヤーパーティーでした。今はありませんが、競技用オールカーボンシャフ…

愛は突然に

車椅子2年目の今年、2試合、いろいろ作戦は考えるのですが、全くうまくいきません。試合に出られるレベル以前の状況です。車椅子のうえで、どうやって射てばいいのかを試…

正射必中

雑誌の表紙のことを「表1」と呼びます。表紙の裏側が「表2」で、一番後ろの裏表紙が「表4」で、そこに載っている広告が「表4広告」と呼びます。一般には一番高額な広告…

魔法の板

誰が考えついたのでしょうか。アーチェリーの道具の中で、唯一の「魔法」です。考えたのはアメリカ人のようですが、日本で使われるようになったのは、1960年代後半です。弓…

なにをチャラチャラと

1976年全米選手権でのスナップです。さて、トレードマークのこの帽子は、誰でしょうか? O.K.・スマザーズ(USA)です。1997年に亡くなられたようですが、1957年第18回プラ…

世界チャンピオン

この写真を見て、誰だかわかるアーチャーは大したものです。 1967年アマースフォルト世界選手権チャンピオン、レイ・ロジャース(USA)です。僕がアーチェリーを始めて、…

廉価版シャフト

日本には、ハンティングも3Dもない。リカーブもコンパウンドもベアボウも、紙の的を射つターゲット競技しかない。この市場の特殊性を知らなければなりません。アメリカで…

Junk Arrow

Kurt が昼飯とショッピングとドライブを兼ねて、アパラチア山脈を見に行こうといってくれました。そんなに遠くはありません、車で1時間ほど西に走れば、ノースキャロライナ…

「PRO Select」の名前の由来

2006年、ノースキャロライナまでシカゴ経由で行った理由は、Kurt Degenerに会いに行くためでした。彼は「AVIA Composites Inc.」の社長でシャーロットに住んでいました。 …

四苦なあなた

「ローンの返済」「家庭の不和」「仕事の行きづまり」、そして「いくら練習しても当らないアーチェリー」と四重苦のあなた。 そんな四苦に苦しむ「四駆」をお持ちのあなた。点数では目立ちませんが、練習・試合を問わず、目立つこと間違いなし。 試合の後にもらった的紙とガムテープがあれば、簡単です!!

当たるようになることは、グルーピングが小さくなること

テーマを持って練習する。うまくなる練習をする。テーマに集中する。その結果、当たるようになり、点数が出るようになるわけですが、ここでも多くのアーチャーが過ちを犯します。当たることは点数が出ることではあるのですが、それを10点に当てることが凄いことで、それが目標と勘違いするのです。確かに10点は凄いことです。しかし、36本すべてが10点に行くことはありません。 どんな的中にも「グルーピング」があります。グルーピングとは、自分が当てることのできる大きさのことです。もちろん距離によ

ヘタになる練習をいくらしても、ヘタにしかならない

みんな「当てたい」「勝ちたい」「強くなりたい」と思って、一生懸命練習します。しかしアーチェリーは、練習量に比例してうまくなったり、点数が上がったりするものではありません。愛は突然にです。 では、どうしたら突然に当たりだすのか。多くのアーチャーが間違っています。ほとんどのアーチャーは、ヘタになる練習ばかりしているのです。いくらヘタになる練習をしても、ヘタにしかなりません。うまくなりたいなら、うまくなる練習をすることです。 うまくなる練習とは何か。それは「テーマ」を持つことです

ボウスタンド昔ばなし

むかぁし、むかぁし尾張の国に、アーチェリーが大好きなお爺さんが住んでおったでのぅ~。お爺さんは毎日一生懸命練習するのですが、矢取りに行くときに弓を置くスタンドに、弓がうまく固定できないことを悩んでいました。置いた弓がコットンコットンと地面をたたいてしまうのです。どうしてもバランスが取れず、弓が傾きリムが地面についてしまいます。 そこでうまく弓を固定できる方法はないものかと、お爺さんは毎日毎日考えていました。 そんなある日、お爺さんは練習の後いつも行く〇〇〇風呂にいったでのぅ

Long Beach

ここは2年後、ロサンゼルスオリンピックのアーチェリー競技会場となる、ロングビーチ・エルドラドパークにある公営のアーチェリーレンジです。ダレル・ペイスが2度目のゴールドメダルを手にする、あの場所です。オリンピック会場は仮設だったので、今は誰もが使えるレンジに戻っているようです。 ラスベガスシュートの後、ここで合流して撮影を行いました。撮影の商品は「EX」。海外の選手対策ではすでに使われ、一週間前のラスベガスでは、男女優勝と上位独占を成し遂げ、日本国内では2月から販売された弓です

John C. Williams

  1971 York World Championship   1972 Munich Olympic   1972 Gorizia World Field Championship オリンピック、世界選手権、世界フィールド。史上このトリプルクラウンを制したのは、彼とダレル・ペイスの二人だけです。 そこでもう一つ、ヤマハの表4広告のお気に入りを忘れていました。それにしても「美しい」と思いませんか。これが世界チャンピオンという存在です。 Smooth ジョン・ウィリアム

ごめんね

受傷からもうすぐ3年。同じような障がいの方から、「どうですか?」という質問をいただきます。 「まだ死にたい時期です。」 と答えると、なんとなく、それですべて理解してもらえるようです。健常者の方には理解できないと思います。 YouTubeを観ていると、いろいろな情報、例えば、車椅子の乗り方、移乗の仕方、排便排泄、日々のルーティン等など、多くの情報を障がい者自身が、男女や年齢を問わずに発信しています。非常に参考になるのですが、それらを発信している方を見ると、大体が障がい者にな

2006-2007年大晦日

2006年大晦日は、ノースキャロライナ州ヒッコリーの会員制ゴルフ&スパのクラブハウスでの、ニューイヤーパーティーでした。今はありませんが、競技用オールカーボンシャフトメーカー「AVIA」社社長で友人でもある Kurt・Degener の招待です。 ヒッコリーという町は、シャーロット・ダグラス国際空港から車で1時間ほどの場所に位置するのですが、シャーロットという街は、近年アメリカでは人口増加が著しく、最も先進的な都市のひとつといわれています。そんな近郊ということで、ヒッコリー自

愛は突然に

車椅子2年目の今年、2試合、いろいろ作戦は考えるのですが、全くうまくいきません。試合に出られるレベル以前の状況です。車椅子のうえで、どうやって射てばいいのかを試行錯誤です。とはいえ、思うようにはいきません。が、それでも練習をしています。そんな状況ですが、車椅子の前は52年間立ってアーチェリーを毎日やっていたので、少しはアーチェリーのことを知っているつもりです。 もちろんうまくなるには、練習しなければなりません。初心者であれば、力を付けて、基本の射ち方、基本のフォームを身に付

正射必中

雑誌の表紙のことを「表1」と呼びます。表紙の裏側が「表2」で、一番後ろの裏表紙が「表4」で、そこに載っている広告が「表4広告」と呼びます。一般には一番高額な広告スペースです。 20世紀にアーチェリーをしていた人は、当然覚えているでしょう。「雑誌アーチェリー」創刊以来ほぼ30年、この表4広告をずっとヤマハ(日本楽器製造)がとっていたのです。ヤマハにすればプライドであり、雑誌社にすれば年間契約は大きな安定収入源であり、上得意様です。それを思うと1995年頃から、一時期ではあります

魔法の板

誰が考えついたのでしょうか。アーチェリーの道具の中で、唯一の「魔法」です。考えたのはアメリカ人のようですが、日本で使われるようになったのは、1960年代後半です。弓を始めたころ、やっと商品としての「クリッカー」が登場しましたが、最初貧しい日本のアーチャーは、プラスチック定規や金ノコや糸鋸を切って削って、作って使っていました。 なぜ「魔法」かというと、アーチャーにとっての魔法の理由は分かるはずです。取り外せば、魔法は消え失せることから分かるはずです。ではなぜ「魔法の道具」かと

なにをチャラチャラと

1976年全米選手権でのスナップです。さて、トレードマークのこの帽子は、誰でしょうか? O.K.・スマザーズ(USA)です。1997年に亡くなられたようですが、1957年第18回プラハ世界選手権のチャンピオンです。この大会から世界選手権は「ダブルFITA」ラウンドになり、男子は90-70-50-30m 144射4日間で行われるようになりました。その最初の世界チャンピオンが彼です。 世界チャンピオンは憧れであると同時に、永遠に敬意を表されます。全米でも、毎年現役選手として参加

世界チャンピオン

この写真を見て、誰だかわかるアーチャーは大したものです。 1967年アマースフォルト世界選手権チャンピオン、レイ・ロジャース(USA)です。僕がアーチェリーを始めて、最初に知った世界チャンピオンです。とはいえ、アーチェリーを始めた1969年はバレーフォージ世界選手権で、チャンピオンはハーディ・ワード(USA)の時代でした。 ハーディ・ワードはアマースフォルトでは3位に甘んじているのですが、バレーフォージでレイは7位です。そしてジョン・ウイリアムス(USA)が、2位で197

廉価版シャフト

日本には、ハンティングも3Dもない。リカーブもコンパウンドもベアボウも、紙の的を射つターゲット競技しかない。この市場の特殊性を知らなければなりません。アメリカでは、この分野は全体のわずか10%にも満たない小さな市場ですが、日本ではそれが100%です。 そんな日本でアーチェリーをする時、使用するカーボンシャフトの最上位モデルには、たぶん、 Straightness: ± .001” Weight tolerance: ± 0.5 grains per packaged doz

Junk Arrow

Kurt が昼飯とショッピングとドライブを兼ねて、アパラチア山脈を見に行こうといってくれました。そんなに遠くはありません、車で1時間ほど西に走れば、ノースキャロライナの人たちが「Blue Ridge Mountain」と愛情こめて呼ぶ、青い峰の山々を一望できるのです。 短いドライブの途中で見つけた、小さなハンティングショップに立ち寄ってみました。もちろん多くの銃やフィッシング用品、そしてアーチェリー用品もありました。そこで驚いたのです。本当に小さなショップ(日本のアーチェリ

「PRO Select」の名前の由来

2006年、ノースキャロライナまでシカゴ経由で行った理由は、Kurt Degenerに会いに行くためでした。彼は「AVIA Composites Inc.」の社長でシャーロットに住んでいました。 いつものことながら、確約も取れないままホテルもレンタカーも手配せずに、飛行機の時間だけを伝えての訪問でしたが、空港に自ら迎えに来てくれていました。Kurt とは10年以上の付き合いですが、会うのはこれが初めてでした。Kurt は空港から北西に車で約1時間。ヒッコリーという町に、2匹の