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ツイストというネジレ

リムのトラブルで最悪は「折損」と「剥がれ」で、これが起これば叫ぶのは別にして、リムはその場で使用できなくなります。しかし、これ以外にもリムのトラブルはあります。「ネジレ」と「センターズレ」と「ツイスト」です。ところが、昔、ワンピースボウから2000年頃までのテイクダウンボウの時代には、リムとハンドルはセットで、接合部は動きませんでした。そのためトラブルはリムあるいはその弓が持つ不良でした。ところが接合部が動くようになってからは、これらのトラブルがリムの持つ不良なのか、接合位置の不良なのかが分かりずらくなってしまいます。

そこで「ネジレ」ですが、言葉のとおりリムがねじれているのです。一番わかりやすくて、ひどい状態は、張ったストリングが「弦みぞ」から外れることです。弦みぞというのは、リムのフェイス側のチップ付近に彫ってある、ストリングが収まる溝のことです。弦みぞはリムのセンターにあり、リムのネジレを防ぐ役目もしています。そのため、この溝からストリングがはずれるとなると、よほどのネジレです。

リムが白かった頃、溝にストリングが収まっても、
真っ直ぐに返っていなければ、塗装の剥がれから分かりました。

次は「センターズレ」です。これはネジレとは違って、ひねり返したりして直るものではありません。ストリングが弦みぞに真っ直ぐ収まり、リムのセンターを通っているのに、上リムと下リムでズレが出るのです。上下が真っ直ぐではなく、リムとハンドルの付け根で起こるトラブルです。これはワンピースボウの時代にはあまりなかったのですが、最近はよく見かけるトラブルです。

そして最後が「ツイスト」です。これを知らないアーチャーは多いのではないでしょうか。そのため確認の方法を知らないと思いますが、写真を見ればトラブルの意図するところが分かります。
上下の弦みぞの所に直角に挟んだ矢が、平行かを確認するのです。ネジレもなければ、センターズレもない、けれどもツイストしているというリムがあることが分かるはずです。

昔アルミアローの時代に、シャフトは簡単に曲がりましたが、曲がったシャフトを器用なアーチャーは、真っ直ぐに曲げ直したものです。ところで、オールカーボンアローのシャフトは、曲げようと思っても曲がらないはずです。曲げても、復元します。逆にいえば、曲がったシャフトを真っ直ぐにはできません。
このことは重要です。例えば練習用のグラスリムは、使っているとねじれてくることがあります。そんな時、リムを逆側にひねり返してクセを付けることで、真っ直ぐにすることができます。ところがカーボンリムは、同じように曲げ直してクセを付けるということは基本的にできません。真っ直ぐなものは真っ直ぐで、曲がったものは曲がったままなのです。
ということは、最初に真っ直ぐなリムを選ぶことは重要です。そのうえでリムとハンドルの接合部分の可動は、3つのトラブルを起こすことも、直すこともできるのです。ところがこの部分の大きな問題は、「デフォルト」という基準になる位置がリムにもハンドルにも示されていないことです。その結果、アーチャーはクレームと叫ぶ前に、知識を持って最良の道具をチューニングする必要があります。

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