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雑感やらなにやら

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雑感やらなにやら

最近の記事

R6.4.11

毎日を過ごす中で、自分と向き合う時間を取れていない。 まぁ時間を取ろうとしていないということなのだけど。 日頃、整理整頓が苦手な自分は当然、頭の中や感情の整理も苦手である。いつの間にかいっぱいいっぱいになってしまうことがよくある。そういう時は自分は夜更かしがひどくなる。夜中2時3時まで、延々スマホを見続けたりする。 良くないことと思いつつも、いっぱいいっぱいになっている時というのは自分でもどうブレーキを踏めばいいか分からないし、そもそもアクセルを踏み込んでいる自覚もないも

    • 砂浜

       ベッドに入って部屋の電気を消した。明日は学校で友達と何の話をしようかなと考えながら、私は目を瞑った。  しばらくすると、耳元で優しい声が聞こえた。 「ねぇ、どこに行ってみたい?」  聞き覚えのない声だった。私はとりあえず、どこに行きたいのか考えた。と言っても寝ぼけた頭で考えるのだから特に何も思いつかない。でも声の主を待たせるのも悪い気がしたし、私は頑張って行きたい場所を考えた。  その時はっと、なんの脈絡もな砂浜と夜の海が思い浮かんだ。海面に月が反射してなんだか幻想

      • 世直しおじさん

         電車がゆっくりと動き出した。ぎゅうぎゅうの満員電車の中が押しくら饅頭のようになった。暑苦しくてしかたない。間違ったことばかりのこの世の中で通勤電車は最たるものの一つだ。  やがて乗客が体勢を立て直し、密着し合っていた人々が少しは身体を動かすことができるようになった。その時、目の前の若い男に気を取られた。  彼はせいぜい30代前半くらいと思われた。スマホで漫画を読んでいる。  そんな彼の姿に俺はイライラとしてきた。働き盛りのいい大人が通勤中に漫画を読むなどあり得ない。そ

        • トップの仕事

           目を覚ますと時刻は朝の5:00だった。今日も目覚めはバッチリ、頭が覚醒していくにつれて身体中にエネルギーが満ち溢れてくる。寝ているのももどかしくなり、起き上がって出社の準備に取り掛かる。今日も忙しくなるだろう。  スーツを手に取る。シャツもパンツもシワ1つない。完璧な朝だ。  アパートの部屋を出ると、まだ朝の6:00だというのに日差しがギラギラとしていた。8月は朝からこうだから気分がいい。自然と職場へ向かう足が軽くなる。  出社の時間までまだ随分と余裕があるが、早い分

          誰かいる部屋

           玄関の鍵を開けて中に入るとカレーの匂いがした。今日は仕事がそこそこ忙しかった。さすがに疲れたので夕飯はレトルトカレーで済ませようと思っていた。  部屋に入ると誰もいない。テーブルの上には一皿のカレーライスが置かれていた。ほんのりと湯気が立っている。見ると電子レンジの扉が少し開いていた。  着替えをして脱いだシャツを洗濯機に入れる。冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出しテーブルについた。このカレーは一体誰が用意したのだろう。私はこのアパートに一人暮らしだった。  カレー

          誰かいる部屋

          電車

           夕暮れの駅のホームは閑散としている。冬と呼ぶにはまだ早い11月の初め。一昨年、大学に入学が決まった後で買ったコートは着ないよりはマシという程度だった。ベンチに座ろうとして太腿の裏がベンチに触れた途端、思いのほか冷たくて思わず「ムッ」という声が出た。大学から40分近くかけて歩いてきたため疲れているというのに、この仕打ちだ。俺は思わず心の中で舌打ちをしたが、はたと思い直した。  先人たちによれば、若い頃の苦労は買ってでもしろという。もしかしたら初冬のベンチでお尻を冷やすという

          彼女の旋律

           校庭から吹奏楽部の演奏が聴こえてきた。その音を頭から締め出すために僕は目の前の小説に没頭しようとした。  しかし一旦、図書室の外の気配に気を取られると、他の音もどんどん耳に入ってくる。無駄にでかい笑い声、「いらっしゃいませー!」という嫌にキラキラした呼びかけ、廊下をバタバタと踏み鳴らしていく音。どれを取っても楽しげで、僕にとってはどれも過剰だった。  文化祭なんて何が面白いのか。どうせ盛り上がっているのは、青春は謳歌しなければいけないという義務を遂行しようと躍起になって

          彼女の旋律

          記憶

          「この街の歴史を残していきたい」  新たに市長に就任したS氏は初めての記者会見でこう語った。後世に残す史料として今の市民の生活を記録に残していくというのが彼の公約の一つだった。  彼が就任したその日に街の至る所にアンテナが建てられた。すべての会社、学校、すべての家庭…。一日のうちにアンテナが街に乱立した。  役所に努めるM氏はS氏の就任に伴い、「街の記憶を収集する会」の担当になった。担当である彼もよくわからないままアンテナは立てられ、人手が足りないため彼自身も設置作業に駆

          小さなおっさん

           目が覚めると駅のベンチに横たわっていた。どうやらここで一晩過ごしたらしい。昨夜は相当飲んだのだろう。2軒目の居酒屋までは覚えているがあとは記憶がない。つまりはそういうことだ。  頭痛が酷く、身体を起こすのも億劫だ。幸い、辺りに人はいないしもうしばらく横になっていよう。  そう思ってふと目線を下げると、顎の辺りに親指くらいの背の高さのおっさんがいた。髪は見事なバーコード、チラッと覗く頭皮は無駄にテカテカしている。黒縁メガネをかけているが、朝日がレンズで反射していてその瞳は

          小さなおっさん

          2週間後

          「実は私、2週間後から来たんだよね」  お昼休み、教室でお弁当を食べていると美咲が言った。 「へえ」  唐揚げを食べるのに夢中でつい素っ気ない返事をしてしまった。マジでうまい、母さんの手作り唐揚げ。 「あ、信じてない? 信じてないでしょ」  美咲がバンバンと机を叩いて抗議の意を示す。未来から来た割に私の反応は予想外だったらしい。ダウト。この子は今を生きる普通の女子高生だ。ならここはあえて話に乗るのが良いだろう。 「ごめん、なんかびっくりしちゃって」 「いいよ、証拠を見せ

          穴に入る

           仕事が終わりアパートへの帰途で、唐突に自分が生きていることが恥ずかしくなった。なぜ自分はこんなに堂々と当然のように公衆の面前で歩いていられるのだろう。大した理由はないがどうしようもなく自分という存在が醜いものに思えた。  穴に入りたい。強烈にそう思った。その時ちょうど空き地の前を歩いていた。俺は迷わず空き地に入り手で穴を掘り始めた。 「恥ずかしい恥ずかしい」  時間が経てば経つほど恥ずかしくなってくる。一刻も早く穴を掘って入らなければ卒倒してしまいそうだ。  ようやく

          穴に入る

          エレベーター

           50階建て超高層マンションの最上階の内見ができるという。高層マンションのは庶民の夢。たとえ内見だろうと気分を味わえるなら行ってみたい。  不動産会社の担当者は私と同じくらいの年齢の女性だ。これでもかというくらいの営業スマイルを貼り付けてマンションへ案内してくれた。マンションを見上げてみると空へ向かってどこまでも伸びているかのようだ。  セキュリティ万全のエントランスを抜け、エレベーターに乗る。 「最上階へご案内いたします」  女性が50階のボタンを押す。エレベーターは

          エレベーター

          ヒーロー

          「ひったくりー!」  路上に女性の声が響き渡った。見るとバイクに乗った男がこれ見よがしに女性もののバッグを掲げ走り去ってゆく。周りの人々は呆然とし、何が起きたのか理解できていないかのようだった。いや、たとえ理解できたとしても彼らにはでも足も出せないだろう。  思わず「やれやれ」と呟く。お手本のようなひったくり事件だ。にも関わらず被害者も周りの人々も呆然としているだけ。彼らは普段なにを考えて生きているのだろう。こんな典型的な事件すら自衛できないなんて、平和ボケが過ぎるのではな

          ヒーロー

          箱の中身

            荷物が届いた。開けてみると、現れたのは片手に乗るくらいの小さな箱と数枚の手紙。手紙一枚目には 「この箱を開けると不幸になります。絶対に開けないでください」  と書いてあり、残りのページはこれまてに箱を開けたせいで不幸になったという人々の顛末が写真付きで記されていた。中には目を覆いたくなるほど凄惨な写真もある。  いたずらだろうか。あいにく差出人は書かれていない。  箱は宝箱のような形をしている。怖いもの見たさで蓋を少し持ち上げてみるが、さっき見た写真を思い出しすぐにやめ

          箱の中身

          旅館の夢

           山道を車で走ること1時間。山奥の温泉にたどり着いた。平日ということもあって他に客の姿はない。聞こえてくるのは川のせせらぎくらいなものだ。1泊2日だがゆっくりできそうだ。  旅館にチェックインをし、早速お風呂に入る。湯船にゆっくり浸かるのは久方ぶりだった。  夕飯を終え、部屋に戻るともう寝ることくらいしかやることがなかった。倒れ込むように布団に寝転び、そのまま眠った。 ーーーーーーーーーーーーーーーー  気がつくと俺は炎に囲まれていた。すぐ目の前でふすまがボロボロと崩れ落

          旅館の夢

          月2つ

           部屋でゲームをしていると、机の上のスマホが「ピロン」と鳴った。  ゲームを中断してスマホを開くと健太から画像付きでメッセージが届いていた。 「月2つ! 見に来い!」  メッセージのあとに続いている画像を開くと、確かに月が2つ、画面の上側と下側に映っている。なんてことはない、下側の月は海に反射しているだけだ。画像の手前側、岸壁には小さな船が2隻だけ係留してある。画像を見ればどこにいるかはすぐに特定できた。  俺は早速、家から出て自転車に乗った。健太のいる場所まではここか