砂浜
ベッドに入って部屋の電気を消した。明日は学校で友達と何の話をしようかなと考えながら、私は目を瞑った。
しばらくすると、耳元で優しい声が聞こえた。
「ねぇ、どこに行ってみたい?」
聞き覚えのない声だった。私はとりあえず、どこに行きたいのか考えた。と言っても寝ぼけた頭で考えるのだから特に何も思いつかない。でも声の主を待たせるのも悪い気がしたし、私は頑張って行きたい場所を考えた。
その時はっと、なんの脈絡もな砂浜と夜の海が思い浮かんだ。海面に月が反射してなんだか幻想的な風景だ。それを見たいと思った。
「砂浜が見たいかな」
私は頭の中で答えた。すると、耳元でひゅうひゅうと風の鳴る音がして、そうかと思うと私は夜の砂浜に立っていた。夜空には満月が浮かんでいて、波の音もする。思い浮かべた通りの素敵なロケーションだった。
そう言えば、高校にあがりたての頃、友達と夜の砂浜に来たことがあった。その時もきれいな満月が浮かんでいた。
あの時はなんの話をしたんだっけ。考えてみたけれど思い出せない。たぶん、どうでもいい話をしていたに違いない。だって、あの時の友達の楽しそうな笑い声だけは覚えているから。
砂浜に二人で寝転んで見上げた夜空がそこにある。波の音がざわざわと心地良かった。
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