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言論の自由をめぐるNYタイムス記者とイーロン・マスクとの激論

NYタイムス記者と、「テクノロジー起業家」との架空の対話劇を、先ほど(日本時間2日朝)イーロン・マスクがリツイートしていた。

この対話劇における「テクノロジー起業家」がマスクのことであるのは明らだろう。

そして、リベラルメディアのNYタイムス記者の意見は、日本でも左派の朝日・毎日新聞が言いそうな意見である。

言論の自由をめぐる議論の典型として興味深いので、このマーク・アンドレッセン氏による架空の対話を、以下に訳出してみました。


(サンフランシスコのトレンディなカフェで、NYタイムスの記者と、あるシリコンバレーの起業家が、向かい合って議論している。議論はしだいに過熱していく)

記者 いいですか、言論の自由があなたとあなたの業界にとって重要なのは理解してますよ。でも、自由な言論とヘイトスピーチは違うんです。それがどんな結果をもたらすかを考えず、人々に何でも喋らせるわけにはいかんでしょう。

EM  だけど、それこそが言論の自由というものでしょう! これを喋ったらどんな目にあうかわからない、そんなビクビク感なしに喋る権利こそが言論の自由じゃないですか。誰かの言うことが気にくわないからという理由だけで検閲をすべきではないでしょう。

記者 だけど、ヘイトスピーチは現に被害を生む。暴力や差別をふやす。我々には、そうした言論から人々を守る責務がある。

EM  我々に人々を守る責任があるのは同意だ。だけど、検閲はふさわしい手段ではない。ヘイトスピーチには、さらなるスピーチで対抗するーーそれこそやるべきことだ。ヘイトスピーチに対して、人々にもっと戦う声をあげさせようではないですか。

記者 だけど、結局はヘイトをふやすだけのプラットフォームになるかもしれない。どこかに制限をもうけるべきだ。

EM  何を制限すべきかははっきりしている。明らかに暴力を煽る言論については制限する。それを超えて制限すれば、合法的な言論まで抑圧してしまうことになるだろう。

記者 どうも我々の議論は平行線のようですね。しかし、私がどのような見地からこの問題を考えているか、そして、この問題になぜ強い懸念を持っているか、あなたには理解してほしいです。

EM  私は理解しているし、あなたの意見を尊重します。でも、あなたも同様に、私がなぜ言論の自由を守らなければならないと強く思っているか、理解してほしい。それが自由で開かれた社会にとって決定的に重要な権利だからです。



反社会的言論については、さらなる社会的言論で対抗すべき、というのは、トマス・ペインなどの古典的自由主義者の思想であり、井上達夫も紹介していた。

それにしても、イーロン・マスクのおかげで、「言論の自由」を考える格好の実例が目の前に与えられているのに、日本の法学者や哲学者、社会思想家は、これを教材として使おうとしないのだろうか。

言論の自由について議論するまたとない機会だ。マスクに同意だろうと、反対だろうと、Twitter含む社会的プラットフォーム上で、大いに議論してほしいものだと思う。

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