左派メディア(朝日・毎日・東京等)は結局、改憲を認めるのか?
私は長らく左派系メディアに近い所にいたので、今回の選挙結果には I told you so!(だから言ったじゃないか!)と言いたくて仕方がないが、退職しているので、もはや言う相手もいない。
いまだに冷戦期の左翼気分を引きずってちゃ駄目だ、とあれほど言ったのに。(そう言ったおかげで、社内左翼にずっといじめられた。サヨハラだ)
立憲民主党はじめ野党の誤りは、左派メディアと左派文化人(青木理とか香山リカとか前川ナントカとか)に引きずられた結果なのである。
しかし、しばらくは左派の「挽回」「逆襲」の画策が続くだろう。落選した辻元清美に同情を集めて再起させる企てがもう始まっている。彼女がテレ朝やTBSで露出する日は近いだろう。
田原総一朗は、枝野に、次の党首は辻元にしろと言っていたそうだ。田原のような旧世代のメディア人にしっくりくるのは辻元までで、その下の世代は想像の外である。(その下の世代には田原の「権威」も通じない)
山尾(菅野)志桜里は、
「立憲の代表選、いま名前が出てる候補では共闘左派路線から脱皮できないと思う。もう一つ下の世代に勝機はあるのにね。立憲が変われないなら自ずと期待は維新・国民に向かう。」
とツイッターで言っている。
いま名前が出ている候補(小川淳也、泉健太ら)は辻元より1世代下だから、もし辻元が復帰したら、2世代後退することになる。立憲共産党は共産党と同じ老人党となり、「老党共闘」でますます現役世代にそっぽを向かれるだろう。
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政治の世界は何が起こるかわからない。政府に大スキャンダルが炸裂すればまた風が変わるかもしれない。
今後の焦点として当面、わかっているところでは、立憲民主党の代表選で、共産党との共闘がどう総括されるか。
そして、憲法審査会などでの改憲への動きをどう扱うか。維新、国民民主党の動きで、これが早まる可能性が出てきた。
全国紙の朝日、毎日、ブロック紙の東京(中日)、西日本、北海道などは、これまで護憲の立場をとってきた。系列のテレビ局(テレ朝、TBSなど)もそれに準じている。
冷戦終了後、改憲に最も熱心だったのは、独自の改憲案まで発表した読売(ナベツネ)だったのだが、世論が乗ってこなかったためか、その後は静かだ。とはいえ、読売と産経は改憲派と見ていい。
護憲メディアの中でも、かつて毎日は、朝日とは距離を取って「改憲の議論をするのはいい」と言っていたが(毎日のバックに創価学会=公明党がいる関係もあるだろう)、最近は左傾化して朝日とそれほど変わらなくなっていた。
というか、朝日も毎日も、護憲という点ではアカハタと変わらなくなっていた。
ただ、朝日、毎日、東京は、山尾(菅野)志桜里などの「立憲的改憲」には一定の理解を示して「保険」をうっている。
だから、「中身によっては改憲に必ずしも反対ではない」というスタンスに少しずつ寄せてくると考えられる。
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とはいえ、その中身が「9条」に触れてきたとき、これらのメディアが「失われた30年」を超えて、「冷戦思考」から脱することができるか、見ものとなる。
朝日、毎日などは、これまで「護憲派」を育ててきた張本人である。読者をそう教育してきたのだ。
本当は冷戦が終了した1990年代に社論を転換すべきであった。しかし、不面目を避けたいがために、ごまかしてきたのである。
朝日、毎日が自分たちの誤りを認めることがあるだろうか。読者に「裏切り者」と言われることに耐えられるだろうか。読者からの反発、読者の離反に耐えられるだろうか。
朝日、毎日などは、すでにどうするか考えているはずだ。
それを考えていれば、今月の立民の代表選へのスタンスにも、違いが見えてくるはずだ。ここで「絶対護憲」の共産党の肩を持ちすぎると、のちに態度を変えにくくなる。
しばらくは世論を観察しつつの慎重運転になるはずだ。
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改憲そのものに、まだいくつも関門がある。改憲の中身の検討があり、国際世論(というか中韓の反応)への配慮、そして、日本史上初の「国民投票」がどのように実現されるか、いろいろなポイントがある。
(余談だが、茂木自民党幹事長の「国民投票法を一度は国民に委ねたい。国民に憲法を触らせたい」という言葉にはホロリとした。日本人は本当に、一度も触らせてもらえていないのだ。)
本丸である9条改憲の可能性が高まった時、朝日は、オリンピックの時と同じ態度をとる可能性が高いと思う。
つまり、自分たちが反対しても改憲発議される、という見通しのもとで、反対する(発議には反対できないが、9条改憲に反対する)。結果、改憲されたとしたら、民意だから反対のしようがない。しかし、発議の前に反対した(読者への義理は果たした)というアリバイは残す。結果、改憲されなかったら、もちろん都合が良い。
朝日や毎日のような150年生き延びてきた新聞は、こういうアリバイの作り方、自己保身は得意だ。
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とはいえ、昨今はインターネットもあり、世論操作は以前よりしにくくなっている。いつものようにうまくいくかどうかは分からない。
しかし、本当のポイントは、護憲、改憲ではなく、憲法と民主主義の関係について、これらのメディアが正しく人々を導けるかどうかだ。私の知る限り、メディア内に憲法や法哲学、政治哲学の専門家は少なく、これまでは左派の憲法学者に頼ってきただけだからだ。改憲手続きのイロハから勉強を始めているに違いない。
そして、本当の民意が示された時、自分たちが代表していると信じてきた民意との違いを謙虚に検証できるかどうかだ。
その意味では、今回の選挙の結果分析から、すでにメディアの「改憲対応」が始まっている。
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