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百田尚樹は「右の青島幸男」か

昨日(11日)の日本保守党の大阪街頭演説を見ていて、そのフィーバーぶりに、かつての「タレント政治家」全盛期を思い出した年寄りは、私だけではないのでは。

百田尚樹党首に、同じ放送作家出身の青島幸男(第二院クラブ代表)が重なって見える。(そしてきのうの街宣では、河村たかし共同代表は横山ノックに重なって見えた。)

百田尚樹を、青島幸男になぞらえる評も、すでに、ちらほら見かけている。

ただ、青島幸男(1932-2006)は、亡くなってから急速に忘れられた。いまの若い人は知らないだろうし、年配者もほとんど忘れているだろう。


共通点はほかにもある。

きのうの演説で、大阪維新を批判する百田の演説は、かつて青島幸男が都知事選のとき、「都市博中止」を訴えた姿に重なった。

この1995年の都知事選で、青島は、オール与党(自民、自由連合、社会、公明)相乗りの本命・石原信雄をやぶって当選する。

ちなみに、この都知事選で、青島が負かした候補の一人が、「平成維新の会」代表の大前研一である。

橋下徹は大前研一のファンで、「大阪維新の会」という名は、この「平成維新の会」から取られている。


そんな細部よりも、メッセージの根本が似ている。

かつてのタレント候補は、金権にまみれた自民党政治にうんざりした選挙民に、その清廉さでアピールした。

タレントはすでに知名度があるから認知のための選挙運動は必要なく、すでにカネがあるから汚職に手を染めない、と思われた。

日本保守党が現時点で最もアピールしているのも、「家業化」した既成政治家にはない清廉さである。


青島は革新、百田は保守で、政治色は正反対だが、自民党が攻撃対象であるのは同じ。


そして、パーソナリティにおいては、百田尚樹の自由で「無責任」な感じは、やはり青島幸男のそれに重なる。


もう一つ余計なことを言えば、青島は、自分を応援してくれる作家仲間をあまり持たなかったーーその点も似ている。


そして、長所として、青島も百田も、長年マスコミの最前線にいた作家なので、時代の流れを読み、人心をつかむのがうまく、表現が巧みだ。



だから、百田党首には、青島の轍を踏まないように願いたい。


青島は、参議院議員を5期務め、また東京都知事になっても、これといった実績を残せなかった。

「都市博中止」が唯一の実績、と言う人もいる。

政治家仲間を作れず、むしろ議会にそっぽを向かれ、結局は官僚や役人の言うがままになった、と言われた。

永六輔には「敵に回すと恐ろしいが、味方にすると頼りない」と言われた。

ひとたび権力を握ると、青島は尊大になったとも言われる。

青島も政治家の「世襲」を批判していたのだが、参院議員から都知事に転身するとき、自分の娘(青島美幸)を後継に立てた(青島美幸は落選したが)。

その姿を見て、当初の支持者たちも離れていった。


青島は都知事を1期でやめ、鳩山邦夫を後継指名したが、鳩山は落選し、石原慎太郎が当選した。

都知事をやめたとき67歳で、現在の百田と同じ年齢だ。

青島はその後、衆院選と参院選に立候補したが、いずれも落選し、74歳で亡くなった。

(タイトル画像はYouTube「百田尚樹チャンネル」より)



<参考>






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