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淡白女

「noteを毎日投稿しよう」と掲げているのに、最近の投稿時間は午後10:00〜11:00の間が多い。別に日中忙しいというわけで訳ではないのに、いつもこの時間帯になってしまう。まあその分思いも籠っているが。

今日は前日の追記でも書いた僕の通っている通信制高校の話をしよう。僕は前も書いたが高校一年生の1学期後半ぐらいから不登校になり、2学期の10月に正式に退学した。その後翌年の4月から今通っている通信制高校に入学した。(現在高校2年生)本来よくあるパターンとして、1学期の単位を引き継いで2学期から通信に行くというのがあるのだが、僕の場合は1学期の単位が2学期に引き継げる程取得していなく、2学期から通信というプランが取れなかったので、泣く泣く翌年の4月からの新一年生としての入学をする事になった。入学にあたって一応試験は存在している。(まあ無い様な物だけど)試験内容はあるテーマについて原稿用紙1枚分の作文と面接だ。これだけだ。簡単。(こんな事を言っているが当時の僕は家から出る事ですら出来なかったので、試験1ヶ月前から少しずつ外出を始め、試験1週間前にようやく会場まで行ける様になったので、正直ギリギリだった。)僕の場合は、作文でテーマは忘れたが、父が家でしてきた事を殴り書きしたのは覚えている。そして面接でも僕の家庭環境の事を何も考えずに言っていた事も覚えている。でも受かった。嬉しかった。また学校に通えると思って涙が止まらなかった。別に学校が嫌いという訳では無い。無理して生きていた事が辛かっただけだ。そんな思いで入学式を迎えた。意外にもしっかりとした体育館に(僕の通信制高校は開校してまだ2年程しか経っていない新しい所だったので、まだ綺麗な状態を保った体育館だった。)全校生徒数百人とその保護者と定時制の生徒、保護者が立っていた。とても異様だった。一見普通の入学式の様に思えるが、生徒の年齢層の差異。保護者の顔付き、生徒の顔付き、何故か希望を持っていなさそうな人達ばかりだった。そりゃそうだ。彼らも何らかの理由でこの場所に来ている事ぐらいは分かる。そして校長先生の挨拶があってその時に「これからもう一度もこうやって集まる事は無いと思いますので、しっかりと目に焼き付けて下さい。」と言われ、確かに、授業はそれぞれが履修して受けて行き、体育祭や文化祭なども無いので集まる機会はこれが最後となる。初めて来た場所で終わりを告げられた。「こんなの初めて!」と思い興奮したのを覚えている。そして1学期がスタート。初めの身体測定の時に、あんなに小、中良かった視力が格段と下がり、体もめっちゃ硬くなっていて、新しい自分に何故か面白みを感じまた興奮した。授業を履修する行為はとても楽しかった。自分で自分の受ける授業を決めて、自分でその場所に行き授業を聞く。自分主体の行為に嬉しさを感じた。校内では一切喋る事は無い。(中には、ゴリゴリのヤンチャそうな人達や、トー横グリ下にいそう地雷系の奴や、僕みたいな奴や、主婦、大工仕事やってそうな奴、お婆ちゃん、お爺ちゃん、など様々だ。意外にも明るい人達も多かった。皆自分をまだ纏っている様だった)授業中以外は常にBluetoothイヤホンを付けて、好きな音楽、ラジオ、昼ご飯の時はネトフリ、アマプラで過去のお笑い番組、映画などを見て過ごしていた。(これは現在も同じ)とても楽しかった。これが本来の自分。無理に筋肉を使っていた時よりも、筋肉が緩み、本来の使い方を習得できた気がした。嬉しかった。そして数日経過した時にある事に気付いた。それは僕が以前通っていた中学の同級生がまあまあの数うちの通信に在籍していた事だ。これは本当に衝撃だった。僕だけだと思っていたからだ。滅茶苦茶サッカーが上手くて幾つかの高校から推薦を貰い、皆んなと和気藹々としていて僕とも仲良くしてくれたあいつ。中1からずっと勉強が出来て学年でもTOP5ぐらいをずっと維持してたあの子。いつも体育の時間、体育館の隅で真夏でも長袖長ズボンを着ながらこちらを見ていたあの子。少し話しかけてくれたな。「私、リスカし過ぎてもう誰にも足とか腕とか見せる事出来ないの、だけどコラムニスト(仮)くんには見せたいな。」と言って足、腕を見せてくれた。いつも隠れているから大体想像していたけど、想像を遥かに超える傷の量でこの子を抱きしめたくなった。その日からこの子とはLINEで連絡を取り合う様になった。好きな音楽。好きなyoutubeの動画。好きなゲーム。何故かどれも気が合う彼女が徐々に好きなっていった。だがその数日後。学校の階段の踊り場で彼女が倒れているのを彼女の友達が見つけて直ぐに救急車で運ばれた。周りの生徒達は「あいつまた病みアピしてるだけやろ。」「体育の時、あいつずっと見てきてキショかったわ。」など罵り合っていた。僕は気になって下校中に「もしかしら近くの病院に居るかもしれない!」と衝動に駆られて近くの病院に駆け込もうしたが、冷静になって迷惑だなと気付いてゆっくりと家に帰って行った。後日彼女が退院後LINEで「ODし過ぎたわ」と連絡が来た。その瞬間彼女の人生を守りたくなって、突発的な衝動では無く、しっかり考えた上で彼女の事を強く叱ってしまった。守りたかった。その日から彼女は一度も既読も付けず、学校にも来ず、そのままコロナが流行り出したので皆んなと会う事も無くなって中学生を終えた。そんなあの子が僕と同じ通信に居た。見た目はとても大人になり、自分の意思をしっかり持った人の歩き方をしていた。僕は生きていた事に嬉しくなり校内のトイレの個室で泣いた。(お前が泣ける立場では無い。)そして、6時間目が終わり、電車を使って帰宅しようとした時、同じ在来線を使っていた彼女が居た。ずっと彼女に目を向けていると、彼女が少し線路に近い事に気付いた。その瞬間自意識が爆発した。急いで彼女に駆け寄り飛び込みを阻止しようとした。しかし彼女は飛び込みなどせず久しぶり僕に、「チッ」と舌打ちをして電車に乗って行った。

淡い。淡い。淡い。淡い。
体内が溶けた。
淡い。淡い。淡い。淡い。
あの日の夢を見せてくれた。

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