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ちびまる子ちゃんから始まった日本との縁”日本で暮らすパレスチナの人、ワジドさん

京大生行き交う百万遍の交差点。日本で初めて出会うパレスチナ人との待ち合わせはセブンイレブンの前だった。(8月22日加筆修正)

彼女、ワジドさんは、京都大学で博士課程に在籍して約3年になる(正確には研究生期間という準備段階も含めて)。ワジドさんが日本で何をしているのか。日本の印象は?将来の夢は?サイゼリヤのフォカッチャをつまみながら彼女の話に耳を傾けた。顔出しはNGなので、アラブの女性の顔(といってもいろいろだけれど)を思い浮かべながら読んでみてください~。

バックグラウンド

勉強も結婚も好きにさせてくれるオープンマインドなご両親のもとに育った彼女。生まれは別の国ですが、思春期に家族でパレスチナに戻って来ました。お父さんはとても料理上手で、特にクネフェ(パレスチナの伝統菓子。写真参考)の名手だそう・・・!(これはガイドブックには載せられませんがパレスチナ好きが聞いたらテンション上がること間違いなしの情報です)

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ワジドさんは日本で何をしていますか?

2017年に来日して以来、ワジドさんは研究生期間を経て京都大学で研究をしています。神経科学(Neuroscience)を専攻していて、動物の視線の動きを実験&解析するのが毎日の仕事です。この分野では実験にも解析にもプログラミングが必要だそうで、日々必死に覚えていますと…。プログラマーの仕事にあこがれを抱きつつも、出来る人が世の中にたくさんいるので、ポジションを探すのは簡単じゃないとも思っています。

来日したての頃はほかの留学生とパーティに行ったりして、行った先で日本人の友達を作ろうともしてましたが、実験と授業が忙しくなり、今はすっかり家と大学を自転車で往復する日々。

なので趣味も今はそんなにないそうですが、時間があるときは日本語を勉強したり、体を動かしたり、テレビでスポーツ観戦をしたり。音楽を聴くのも演奏するのも好きですが、スポーツ派の彼女。特にオリンピックなんかは一日中でも観てられますと。

日本に来た理由は?

彼女が日本に来たのにはたくさん理由があるそうです。とにかく行ったことのない遠い所へ行きたかったのと、研究室の設備がきちんとしているかどうか、そして小さい頃にお姉さんと一緒に日本のアニメを観て、いつか行きたいと願っていたからだそうです。今でこそアメリカのアニメもちらほら入ってきましたが、ワジドさんが幼かったころは中東ではアニメといえば日本だったそう。テレビでやっていたものは全部観た(!)。アニメを観れば暮らしの様子も分かるし、漢字の勉強にもなりました。彼女が一番好きだったのはちびまる子ちゃん。アラビア語でも「まる子ちゃん」として親しまれているそうです。野球アニメの星夢くんというのを観て、野球選手になりたい!と幼心に思ったりもしていたそうです。

おお、よくわからないけどたしかに「まるーこ」と言っている!

日本の印象はどう?

日本食は口に合うし、人も優しいし、外国人もたくさんいて多様性があるし、全体的に住みやすいそうです。でも言葉がわからないのがちょっと壁なんだとか。「自分で受け答えしたり、何が起こってるかすぐ把握できるとストレスフリーなんですけど、難しい…」。

なぜか言葉にできないけど、広島に行ったときにすごく落ち着いたんだそう。「京都も好きなのですが、もし京都以外に住むならあそこがいいです!」

原爆の資料館もとても印象的でよく記録されていたといい、長崎のほうも行ってみたいそうです。九州自体めちゃめちゃ人から推される人気スポットらしく、ワジドさんが目下訪ねたい場所です。

それから、⤵

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「特徴的な味ですよね。食べた時は結構びっくりしたんですけど、また挑戦したいと思ってます」

日本の印象番外編

最初の頃は京都は京都でも大学まで自転車で30分のところに住んでいたワジドさん。「みささぎ」っていうところだったそう。京都民に後で聞いたら、「あそこは京都とは言えん!」と。京都府民のつもりで暮らしてたのに、認められてなかったらしいのがおかしかったと振り返ります。
今は引っ越してきて十全な京都府民です、と胸を張るワジドさん。

パーティで日本人と知り合ってLINEを交換し、友達作りをしようとした彼女。

でも後でじゃあ次はいつ会いましょうかと聞くと、たいがいの日本人は一生懸命スケジュール帳をチェックして、その結果2か月先まで予定が埋まってたりするんだと衝撃を語ってくれました。笑

日本で「パレスチナ出身」だというと

最初のうち、彼女にとって結構ショックなことがありました…。

「どこ出身?」「○○」みたいな話を最初にしますよね。彼女が「パレスチナ出身です」というと、多くの日本人はきょとんとするのだと。それで、しょうがないから「エルサレムです」というとそのうち何人かは分かってくれる。こっちのほうが多少有名なので。でもそれでも伝わらない時は、中東ですと言って済ませて。アラブへの「砂漠とラクダの国」というステレオタイプも悲しいんですが…。ちゃんと四季があるし、砂漠以外の美しい自然もあるのになぁと話してくれました。

世界にどんな国があるかって、学校で習って、それから他の国に住んでいる人への敬意としてざっくりと頭に入れると思うんですと彼女は言います。「加えて、パレスチナって、ある意味有名な場所。皆名前だけは知ってるものだと思っていたのに…。まぁもう慣れましたが、ちょっと悲しかったです」

将来の夢

ワジドさんは元々学士と修士の5年間薬学を学んでいました。なので、薬の開発や改良に携わってみたいと思っているそうです。一度パレスチナの製薬会社でインターンをしたこともあるそうで、製薬と言っても、まるっきり新しい薬を開発するのか、副作用を抑えるようにするのか、薬の形を改良するのか、仕事は様々。パレスチナには薬の味わいを改良して薬ぽさを無くし、患者さんの負担を軽減することに心血を注いでいる先生もいたりして、夢が膨らみます。

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途中でアラビア語の方言の多様性だったり(同じ町の中ですら違うという学習者にとってはもはや涙も涸れる底なし沼)、彼女のディズニーランド台風直撃騒動記(ワジドさん「おかげでスプラッシュ系の乗り物も気にせずトライできた♪」)みたいな脱線もしつつ、サイゼリヤの閉店まで3時間をかけた取材は終了しました。

以前からポケモンGOにはまっているワジドさん。彼女がポケモンを集めるかたわら、私は日本のパレスチナ人を集めるパレスチナGOに邁進する第一歩です。


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架け箸はこれからも継続的にパレスチナを訪れ、日本に出回らない生の情報を発信したいと思っています。いただいたサポートは渡航費用や現地経費に当てさせていただきます。