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創作小話

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コント『オレがみえるのか』

コント『オレがみえるのか』

(公園のベンチに男が座ってスマホを見ている。その様子を後ろから幽霊の男がのぞいている)

【幽霊の男のモノローグ】

 オレは幽霊だ。気がついた時にはこの公園で幽霊になっていた。生前の記憶はほとんどない。しかし、幽霊について強く思っていることがある。

 ベンチに座っている男がスマホで動画を見ている。ホラードラマのようだ。動画の中の少年が言う。「お兄ちゃん、ぼくのことがみえるの?」
 これだ、「ぼ

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人魚サメ【創作童話】

 人魚サメは人魚姉妹の末っ子です。先祖の隔世遺伝で上半身がサメ、下半身が人魚の姿をしています。人魚たちは人間に身を隠すため深い海で暮らしていました。
 ある嵐の夜のこと。人魚サメは嵐の様子が気になり、海面に出てみました。するとそこには、気絶した人間の男の子が浮いているではありませんか。嵐で船が難破して投げ出されたのでしょう。人魚サメは男の子を助けるべく、男の子を抱えて荒れる海を必死に泳ぎました。

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かぐやサメ【創作童話】

 昔々、ある所におじいさんがいました。おじいさんは山に入って竹を切り、色々なものへ加工する仕事をしていたため、『竹取の翁』と呼ばれていました。
 ある日、おじいさんが竹林に入ると、不思議なことにまばゆく光る竹を見つけました。光る竹をそっと切ると、中には美しく光る小さなサメが入っているではありませんか。子どもがいないおじいさんは、サメを連れて帰り育てることにしました。

 おじいさんが見つけたサメは

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白雪サメ【創作童話】

 ある国の王家に、白雪のように美しいサメが生まれました。『白雪サメ』と名付けられたサメは、心優しい可憐なサメに成長しました。

 しかし、白雪サメの母である王女は、白雪サメの美しさに嫉妬していました。
 王女は魔法の鏡に訊ねます。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」
「王女さま、世界で一番美しいのは白雪サメでございます」
 ついにブチ切れた王女は、白雪サメを殺そうと画策します。白雪サメは森へ逃げ

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